「事前に情報があった雑誌を3冊こうてきたで」
「3誌も!」
「大人買いって奴だね」
「安い大人買いだ」
「そもそも、ヤマトだけで独り立ちした本はまるで出てこない。雑誌の一部にひっそり出てくるのが精一杯。夢想ですらロマンアルバムを想像できなかった1974年頃の状況を思い出すね」
日経エンタテインメント!4月号 §
「2ページだけなんだろ?」
「それでも買った」
「なぜ?」
「ヒーロー特集でライダーとウルトラの記事もあったから」
「ぎゃふん」
「さて。問題はヤマトだ」
「そうそう。そこが重要」
「それで何が分かったの?」
「実はとても重要なことが書いてあった」
「何?」
「ヤマト2199のビジネスモデルは、先に劇場公開とBD/DVD販売を行って、あとからTV放送を目指すスタイルだそうだ。野心的な挑戦だな」
「そんなので上手く行くの?」
「少なくとも、DVD→TV放送という形態を取ったアニメはある。たとえば、SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCKなどがそうだね」
「そうか」
「それで上手く行きそうなの?」
「おいらに分かるわけが無い」
「それで?」
「お手並み拝見と行きますか」
「そんなブラックタイガーの森雪が相手みたいなことを言ってない!」
ニュータイプ4月号 §
「雑誌そのものはパラパラっと見て、絵に力がないキャラが多いな、というのがまず感想」
「それはいいから。ヤマトは?」
「うん。これも重要なことが分かった」
「何?」
「ヤマトの制服。腕に横の線が入ってるだろ?」
「うん」
「そこに、文字が入ってる設定なんだ」
「えっ?」
「森雪が3段でこう」
「古代も3段でこう」
「へえ」
「つまりさ。なんで上腕部に横線が入っているかというと、そこに文字が入るからという設定なんだ」
「なるほど」
「あと、古代はYAMATO UNCFというエンブレムが入っている」
「UNCF?」
「国際連合統合軍(United Nations Combined Force?)、みたいなイメージなんだろう」
「そうか。それだけ?」
「もう1つ。2199の脚本に森田繁という名前も分かった」
「森田繁って誰?」
「1959年生まれなので、自分より年上。モロにヤマト世代。しかも、WikiPediaによりと、学生時代にガンダムセンチュリーの編集に参加し、そのまま業界入りしたスタジオぬえ所属って、ディープすぎるだろ」
「ガンダムセンチュリーって何?」
「説明しよう(昔の古代の声で)。ガンダムセンチュリーとは、ガンダムの初期に刊行されたムック本である。AMBAC機動など多数の独自解釈で無理矢理様々な設定をこじつけたが、いつの間にかそれらが丸ごとオフィシャルに取り込まれていたという伝説的なムックである。ちなみに、このムックでエッチな話のイラストを描いていた人が、いつの間にやらガンダム0080のキャラをデザインしていたらしいぞ」
「へー」
ニュータイプエース2012Vol.7 §
「パラパラとめくってみて、読みたくなる漫画が1つもない」
「えー」
「しょせんガンダムエース増刊。ガンダムエースそのものをぜんぜん読んでないし」
「なぜ読まないんだよ」
「だって、ガンダムは出てくるのにヤマトは出てこないんだよ」
「ガンダム雑誌なんだから当たり前だ!」
「ケロロ軍曹ならヤマトネタ出てくるのに」
「ともかくどんな構成だった?」
「基本的な2199紹介が2ページ。発進式の紹介1ページ。それから連載漫画第1話」
「盛りだくさんだね」
「突っ込みどころも盛りだくさんだぞ」
「えー。でも楽しそうだぞ」
「そうだ。勘違いされて突っ込みどころ満載で扱われて、そこを突っ込むのもヤマト的な娯楽の一形態だろう」
「ぎゃふん」
「じゃあ、基本的な紹介について」
「うん」
「特に目新しい情報は無いみたいだ」
「じゃあ、そこは飛ばそう」
「いやいや。飛ばしちゃだめ」
「なんで?」
「そこがいちばん笑えるから」
「説明してくれよ」
「キャラの紹介はまずガミラスがいちばん目立つ。デスラーが紹介されている(あとデストリア級とハイゼラード級)」
「ちょっと待て。いいのかガミラスがいちばん目立って」
「2番目はイスカンダル。スターシャが紹介されている」
「ガミラスに負けるのか」
「そして最後に地球側」
「おいおい。ヤマトの主要登場人物は地球人じゃないのかよ」
「そして、出てくるのが佐渡、山本、新見、原田、岬」
「えっ? よく聞こえなかった。もう1度言ってくれ」
「これはガミラスのだ」
「じゃなくて」
「名前か? 佐渡、山本、新見、原田、岬」
「佐渡と山本しかワカラン」
「甘いな。山本は君が考えた『山本機帰還しました』の山本じゃなくて新キャラの女性の山本玲だ」
「とても怖い考えになったけど」
「その通り。佐渡、山本、新見、原田、岬の5人のうち、4人が新キャラ女性。佐渡先生だけが男で昔からのキャラ」
「ちょっと待て。ヤマトって主人公古代だろ? ヒロイン森雪だろ? 古代と森雪はどこにいるんだ? 沖田は? 島は?」
「何回見ても見つからない」
「背景にいるだけのどうでもいい萌えキャラが、主人公もヒロインも押しのけて載るのか?」
「ギャグ担当の佐渡先生もな」
「ひ~。なんて恐ろしい!」
「これが今時のオタク相手ビジネスをやってる連中の感性ってことだろう」
「怖いぞ。っていうか、大笑いだ」
「よし、ウケが取れたから編集者としてはオッケーなんだろう」
「きっと予期せぬウケだと思うよ。ギャグのページじゃないはずなのに」
「ははは」
「じゃあ、イベントレポートは?」
「やはり声優が過剰に目立ちすぎる構成。その件は既に語ったのに繰り返さない」
「そうか。じゃあ漫画は?」
「2199の第1話をほぼ踏襲しているけど、旧ヤマトっぽいテイストも少し入っている。独自描写もけっこう多い」
「じゃあ、良かったの?」
「そうだな。キャラの描写はいい。おっさんを渋くきちんと描けている。とはいえ、宇宙艦の描写はイマイチ。コスモゼロの描写はそれほど悪くないが、宇宙艦と宇宙艦隊の描写はかなりがっかりレベル。コピペで増殖させたような大艦隊は工夫も無いし密集しすぎてバランスも悪い」
「どうして?」
「たぶん、反撃して来ぬ模型のヤマトを手に持ってこういう角度から見ると格好いいとか、いろいろ試したことがないと思われる。まあ別にヤマトに限定されないけど」
「どうしたらいいと思う?」
「去年放送されたバトルスピリッツ・ブレイヴでも見て飛ぶ船の描き方を研究するといいと思う。今年の映画の海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIEでもいいけど」
「えっ?」
「ゴーカイジャーもギャバンも見なくていいから、ひたすらガレオンとドルギランを見ておれ、ってことだ」
「ひ~」
発見の続き §
「さてこのコミックで分かったこともある」
「それは何?」
「作戦名の正確な表記。ね号作戦かと思ったが、メ号作戦であった」
「なぜメなんだい?」
「さあ。たぶん馬鹿メのメだろう」
「ぎゃふん」
「それから、実はもう1つ変な発見をした」
「何?」
「旧シリーズの第1話で『艦尾損傷。シアンガス発生』と『動力ストップ』の間の台詞が聞き取りにくかったのだが、『フェーザー砲』だった」
「変な発見だ」
「というか、部分的にはとても忠実にやりすぎ」
銀色のオマケ §
「NTエース。読む気になれそうなマンガが無いといったけど、2199以外に1つだけ読んでいる」
「何を?」
「オマケが挟まっていたページがたまたまそれだったのだ。開いたらそれが目に入った」
「何?」
「トミノ伝」
「まさか、あのトミノか!」
「そうだ。旧ヤマトで1回だけ絵コンテ描いてプロデューサと喧嘩して海に飛び込んだあの人だ!」
「いや、喧嘩して海に飛び込んだのはおよげたいやくきんであって、トミノ監督じゃないから」
「そうか? しかしまあいい。そのマンガではZガンダム時代の話をやっていて、森口ピロコなる歌手が銀色ドレスを歌うのだ」
「銀色ドレスって何?」
「Zガンダムの2枚目のCD(LPとLPの復刻CDだと3枚目に相当)の最後に入ってる歌だ。といっても、主題歌として使われたことはなく、挿入歌でちょっと使われただけなのだ」
「それで?」
「綺麗な歌っぽいのに、歌詞が壮絶」
今度出会えれば間違わないだろう
良い日であったと抱き合うだろう
「え? 間違わないで抱き合えば良い日って意味じゃ無いの?」
「だからさ。それは『今度』であって、『今回』ではない。今回は実際は間違った悪い日であり、とても抱き合える状況じゃなかった、ということを反語として歌ってるわけだ」
「げー。それはえぐい」
銀色のオマケ2 §
「銀色ドレスのヤマト版を考えた」
「どうするの?」
「まず森雪が銀色のドレスを着る」
「食事が単調でも楽しむことを考えるべきなんだね?」
「そうそう」
「分かったぞ。アナライザーがスカートをめくるんだ」
「ふふふ。甘いな」
「なんで?」
「銀色のドレスとは鋼鉄の鎧。アナライザーの力で持ち上げられない」
「そんな重いの森雪も着られないよ!」