右岸の用水③より
1.の郵政グランド隅に祀られた弁才天の小祠付近には、昭和20年ころまで、三田釜(三泉渕とも)と呼ばれる湧水池がありました。「新編武蔵風土記稿」は小名池袋の項で、「北邊に廻り九尺許の古井と見ゆる所あり、土人の傳へに昔はかゝるさまにもあらで、廣かりし池にてありしや」との書き出しで、池に住み着いた大蛇の伝説を紹介、また、「武蔵名勝図会」にも取り上げられています。
「『郵政グランド隅に祀られた弁才天の小祠』とは衝撃的な記述だ」
「そこは歩いたことが無いの?」
「まさか。2本の平行した水路は給水と排水だとひらめた場所に近い。しかし、屋敷神に目覚める前によく歩いた場所だ」
「それで?」
「今日になって行ってみた」
「結論は?」
「確かにあった。柵と草のせいでとても見にくいがあった」
「そうか。場所は?」
「郵政グランド北部、水路跡っぽい道がT字になったところ」
「すらすら説明できるね」
「ところが、そこで、ひらめいた」
「何が?」
「『三田釜(三泉渕とも)と呼ばれる湧水池がありました』という記述だよ」
「遊水池があるとどうなの?」
「だからさ。ここは不自然なT字水路なんだ」
「水路がT字になっているところは多いよ」
「そうじゃなくて、不自然なT字」
「じゃあ、何が分かったと言うんだい?」
「T字に見えるけれど、本来はT字じゃなかったのだ」
「どういうこと?」
「稜線に沿った神田川本流に平行の水路が一本。それから、湧水池から神田川本流に流れる水路が1本。その2つは別の水路だったんだ」
「えー」
「前者の水路と、後者の湧水池がとても近いから連続しているように思えるが、本来はそうじゃなかったのだ。そう考えると不自然さの辻褄が合う」
「昭和22年の航空写真だと繋がって見えるよ」
「昭和20年頃に枯れているから、枯れた後かも知れない。しかし、その水は使っていたから神田川支流を繋いでその水を流したのかも知れない。それ以前から湧水不足を補うために水路をつないでいた可能性もある」
感想 §
「しかし、これは驚きだ」
「なぜ?」
「かつて散々歩いた場所だからだ」
「そこに発見があるのは逆に新鮮だってことだね」