「新OPが来た」
「感想はどうだい?」
「最初は、これはどうかと思ったけど、意外と盛り上がる」
「ビジュアルが既存品ばかりというのは?」
「別にいいと思うぞ。切り方次第で映像はいくらでも生き返る」
「編集の技ってことだね」
「そうだ。編集は重要」
「編集は良かったと思う?」
「うん。いい仕事をしていると思う」
「改めて音楽と編集を語るとすればどう思う?」
「これはヤマトに似合わないというのは、それこそさらば宇宙戦艦ヤマトの時代から繰り返された定番の問題で、そんな古くさい話を持ち出すのは無粋だ。おいらは、これでいいと思うぞ」
「ふーん。この歌でいいわけ?」
「そう」
「批判してる人は多いよ」
「実は批判しているうちに足を滑らせて、『それがヤマトに似合っているか』という話ではなく、音楽の方法論が間違っている的な話に落ち込んでしまった人を見かける場合がある。でも、音楽の方法論はジャンル固有のものであり、素人のうっかり一言が音楽の特定ジャンル全体を敵に回す可能性がある。そういう覚悟があっての批判かというと、それは分からない」
「やっぱり、足を踏み外しただけなんだろ?」
「かもね」
「映像について語ってくれよ。具体的に」
「うん。今回の新OPの映像の特徴はね。1カット1カットが短いこと。これが緊張感と盛り上がりを上手く演出している」
「1カットが短いとそれだけで良くなるわけ?」
「そう。たとえば、ジブリのコクリコ坂の関連情報を見ていると、早回しにすると面白いことが分かったので、そういうテンポで作ってあるという話が出てくる。同じコンテでも早く回すとそれだけで印象が違う」
「つまり、1カット1カットが短くなるわけだね?」
「そう。カットの長さは重要。印象に直結する」
「それが画期的な新しい演出というわけ?」
「いや、昔からあるテクニックみたいだ」
「ぎゃふん」
MADみたい? §
「一部にMADみたいという意見があるようだけど」
「それは本末が転倒している」
「どういう意味?」
「MADは本物を真似て作られるから、MADと本物は似ているのが当たり前」
「それでも、MADみたいという感想が今回は出てくる理由は?」
「MADの1つの方法論は、既存の映像と全く関係ない音楽を組み合わせる。実は、今回の新OPは、全て既存の映像に過去にヤマトで使用されたことがない歌が合わさるという意味で、このパターンと結果的に一致している。でも、『だからMADみたい』というのはやはり本末転倒。そう思うよ」
それでも §
「それでもさ。この歌は年配ヤマトファンに届いていないのではないか、という気がするけどね」
「かなり届いていないと思うよ。そもそも、年配ヤマトファンに向けて語っていないと思う」
「それでいいの?」
「年配ヤマトファン向けの語りは劇場でいっぱいやってるから、若いヤマトファン向けの語りぐらいはテレビでやってもいいと思うよ」
「でも君は年配のくせに、新OPを肯定しちゃったよ」
「おいらは年配ヤマトファンではないから」
「自分だけ若いつもりかよ」
「いや、年配ヤマト研究家なので」
「ぎゃふん」
第16話感想 §
「16話の本編はどうだい?」
「よく出来てるね」
「どこがいいの?」
「伊東が島に銃を突きつけるところ」
「なんで?」
「原理も明確ではないビームが、材質も明確ではない宇宙艦を貫通したところで、それが面白いのかというと、良く分からない。でも拳銃が人に突きつけられれば、それは生々しいドラマであることが良く分かる」
「でもさ。伊東が反乱を起こした動機が良く分からないし、保安部員が賛同した理由も良く分からないよ」
「尺が短すぎて、舌足らずの部分があるという問題は無いことも無いのだが、そのあたりは第七章が終わってからの話だな」
「なんでそこまで話を遅延するの?」
「だって、第七章で何かを補足してくる可能性もあるし」
「伊東死んじゃったのに?」
「ふっ。甘いな。回想シーンでいくらでも死者は登場できる」
「えー」
「実際に、島の父ちゃんとか、既に死んでいるのに登場できたぞ」
オマケ §
ubject: ヤマトのファイナルファイブを探せ
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20130721083944
名前: トモネコ
本文:
「期待しても良いのでしょうか?」
2199ノベルは豊田巧氏がお書きになるそうですが
http://ln-news.com/archives/2867/%E8%B1%8A%E7%94%B0%E5%B7%A7%E5%85%88%E7%94%9F/
鉄道、ガンプラ、バイクに深い作家様のようですが・・
鉄とヤマトの相性は良いとは思いますが・・
トーノ様は豊田巧氏の活動と作品はご存じですか?
「活動について、自分は一切知らない。鉄子の旅に出ているというのなら、鉄子の旅はいちおう全部読んだのでどっかで読んでいると思うが、この人は鉄子の旅の作者ではないので、やはり分からないよ」
「期待していいと思う?」
「分からないよ」
「鉄道に深いとか、そういう特徴から何か分からないの?」
「ぜんぜん分からないね」
「では質問を変えるよ」
「うん」
「君はこの小説を買う予定かい?」
「今のところ予定は無い。良さそうなら買う可能性はあるが、必ず発売前に予約するところまでは行っていない」
「それはなぜ?」
「金も無いが時間も無い。体力も無い。どのみち、発売される全てのヤマト関連グッズが買えるほどのゆとりもない。むしろ、買わない方が基本と思った方がいい」
「ヤマト言葉の時代とは違うわけだね」
「そうそう。1冊出れば大事件という時代とは状況が違いすぎる」
「では、どういう本なら欲しいと思うわけ?」
「ヤマト1974ないし昭和ヤマトについての資料性の高い本やCD。こういうのは、まず買うだろう」
「ヤマト2199関連は?」
「さあ。内容や評判次第としか言えない」
「それは発売前には一切評価不能という意味だね」
「そうだな。見たことが無いものについて評価を下せるほど、自分は天才じゃないのでね」
「じゃあ、鉄道に興味がある君は「僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない」を買って読んでみたいとは思うかい?」
「思わない」
「なぜ?」
「表紙が露骨に萌え絵なんだろ? 萌えを扱う気は一切無いのでね」
「ああ、そうでした。聞いた私がバカでした」
「でも、それだけで納得するのは間違っている」
「というと?」
「鉄道趣味というのは、とてつもなく深くて多彩なのだ。鉄道に興味があることと、特定の鉄道グッズに手を出すことの間にはとてつもない深いギャップがある。分かってない人は多いけどね」
「じゃあ君はどうなんだよ」
「京王以外には手を出さないのが基本だ」
「それってどういう意味?」
「碓氷峠とかEF63とか、そういうのには一切手を出さないよってことだ」
「嘘つけ。風立ちぬは10000とか言ってたじゃないか」
「一般常識レベルで『あれは96』とか『青帯は2等車』とか、そういうことは言えるよ。コホナオスマカだってムラサキだって言える。でも、必死に追求する世界じゃないってことだ」
「京王なら必死になる?」
「微妙……」
「おいおい」
「そもそも今の自分はそれほどの鉄道マニアではないのでね。郷土史関連でちょっと京王の歴史にも踏み込まざるを得ないだけだ」
「歴史に踏み込むと何が分かるの?」
「昔は鉄道部門と電力部門があった。でも、鉄道用に発電して余った電気を各家庭に売ったという話は真っ赤な嘘。実は開業時、配電用の電気は自前の発電所で作っていたけど、鉄道用の電気は外部から買っていた」
「なんでだよ」
「電鉄とは、電気鉄道の略ではなく、実質的に電力部門と鉄道部門を持つ会社という意味だったのだろう、たぶん」
オマケ2 §
「ああ、ついでに言っておくがデスラー総統地球への移住計画は大幅に後退を余儀なくされている」
「は?」
「つまりね。ヤマトがなければ、とっくにGMの東武10050を作っていたはずだ……ということ」
「どういうこと?」
「作っていないキットは順次作って終わらせるのが基本計画だったが、ヤマトに割りこまれて頓挫してしまったのだ」
「良く聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
「だからね。自分のヤマトはどこかで終わる。終わらせないと動けないものが他にいくらでもあるからだ」
「ヤマト2199も終わるの?」
「第七章で終わりだ。当然だろ?」
「確かに終わりだけど……」
「ヤマト1974の納得の行く掘り下げが終わったら、たぶん自分のヤマトは終わる」
「もっと分かりやすく」
「口を開けて他人が作ったヤマトが落ちてくるのを待っているだけの人生は、既にちょっともの足りない。他人の意見を聞くのは重要だが、いつでも聞き手では、それもつまらない」
「かえって分かりにくいよ!」
「そうか?」
「じゃあ、君はヤマトのスタッフ側になりたいわけ?」
「それも微妙だ」
「なぜ?」
「自分の中のヤマトを突きつめると、おそらくヤマトではない別のものに化けると思うからだ」
「たとえば?」
「間に合うのが彼らだけしかいない、という理由で囚人輸送船が滅亡回避のためにワクチンを取りに行く話になるとか。しかも、囚人の協力を取り付けないと任務が遂行できないとか」
「囚人の名はザレックとか言うのかい?」
「いわねーよ!」
「じゃあ誰が出てくるんだ? キャラクターはどうなるんだ?」
「古代守みたいなのが艦長。で、沖田みたいなのが牢名主」
「沖田は犯罪者側かよ」
「そもそも、沖田という名前にすらならないかもしれないよ」
「沖田って書くと、それだけであの沖田艦長だと思い込む読者がいるのでね。いくら説明文で違う外見、違う性格を書いてもね」