「実は、ヤマト2199の設定資料集を見ていて、あることに気付いてしまった」
「間違いでもあったのかい? それとも凄い裏設定でも書いてあったのかい?」
「いいや、違うよ。間違いのたぐいでも裏設定のたぐいでもない。サイズが矛盾しているとか、その手の話でもない。あのシーンはギャラクティカに似ているとか、その手の似ている話でも無い。言うなれば暗号みたいなものだ。普通に見ていると絶対に見過ごす重大なメッセージが隠されていた……ような気がした」
「気がした?」
「そうだ。気がしただけだ。本気にするなよ」
「じゃあ、どんなメッセージ?」
「内緒だ」
「なぜだよ。教えろよ」
「言ったら野暮すぎるだろ」
「じゃあ、なんで発見だけは言うんだよ」
「あまりにもショッキングだったのでね」
「それだけ?」
「いいや。ヤマト2199第七章前夜祭上映日に書かれたことなど、誰も本気で見やしないだろうから、思い切って内容のない話題を一発と思って」
「血相を変えて設定資料集めくってる人がきっといるよ」
「ああ、問い合わせられても何が秘密か答えないのでそのつもりで」
「ケチ」
「言ってしまうのは野暮すぎるからな」
「薮すぎる?」
「違うって」
「じゃあ、これだけは教えてよ。秘密って、それは良い情報? 悪い情報?」
「別に悪くはない。否定的な情報ではないよ」
いよいよ第七章 §
「今日は第七章前夜祭」
「気合いが入っているね」
「そうだな」
「何が見たいんだ?」
「ヤマト2199の着地点。この物語はどこに降ろして終わるのか」
「もし、海だったら? 着地じゃなくて着水だったら?」
「そうだ。着水点だったら非常に困る! 私たちにはもう着地点が見えない!」
「着地点は神さま並かよ」
オマケ §
「ところで、昨晩はレンタルしたギャラクティカを見ていたようだけど、ヤマト見なくていいの? 第七章の前夜だよ」
「ああ、そのことか。その方が良いと思って」
「何でだよ。ヤマト一色に染まる方がいいんじゃないか?」
「いや、私はヤマトを見るのではなく、第七章を見るのだよ。この違いが分かるかい?」
「分からないよ」
「ヤマト漬けになっているとヤマトに無感覚になってしまう、という問題もあるしね。やはり劇場では侮りがたいヤマトに遭遇したいじゃないか」
「つまり、適当にヤマトを絶っていた方がよりヤマトを楽しめるってことかい?」
「量を増やすことは常に正しいとは限らないよ」
「でも、設定資料集のあきれるほど膨大な情報は見たんだね?」
「いや、まあ、その……」