「ICE1を見たわけだが、あまりに面白い内容でのけぞった。こういう衝撃的なアニメとの出会いは、そうそうあるものじゃない」
「比較できるものはある?」
「強いて比較するなら細田守監督の劇場版デジモンアドベンチャー。何気なく録画してみたら、あまりの凄さにビックリした。それ以来、細田守監督は特に注目している名前だ」
「じゃあさ。ICE1も、作品を見て監督に注目しようと決めたわけ?」
「そうじゃない」
「無視するわけ?」
「違うよ。ヤマト復活篇で既に注目すると決めた名前だから、ずっと注目をしていたんだよ」
「えー」
「ICEはね。見ようと思ってレンタルのリストに入れていたわけ。しかし、戦闘妖精雪風の方が先だった。でも、2枚単位で送ってくるからもう1枚に何気なくセットしてあっただけなのだ」
「特に、期待してリストに入れたわけではないのね」
「そうだ。女だけが残った未来社会という設定そのものがベタベタで、それほど強く期待するようなものではないと思えた」
「ふーん」
「ともかくだ。これは通常なら自分が気に入らないはずのアニメだ」
「どのへんが?」
「女だらけもロボットも君は気に入らないわけだね」
「そうだ。ある意味で、どれも気に入らない要素だ」
「ならば、なぜこのアニメを気に入った?」
「つまりね。ロボットの位置づけが擬似的な男なのだよ。そして、男を失った虚無が女を戦わせる。そして、男を失うという時代は過去に存在しない以上、それは未来社会の話であるべきだ」
「それって何?」
「つまりね。通常ならば弱点となる要素でありながら、相互の弱点を補完する位置に配置することで、逆にストーリーを強化する方向に作用しているわけだ」
「だからなに?」
「作品の構成がとてつもなく上手い。並みのアニメでは比較にならないぐらいに上手い。売れ筋要素であるはずの女だらけとかロボットとか未来とか、そういう要素を取り込みつつ一切破綻させていない。いや、実は破綻しているのだけど、破綻すらも強烈な見せ場になっている」
「もっと分かりやすく言うとどうなんだ?」
「FFUで、おまえに相応しいソイルが決まった、というのと似たような雰囲気の場面も出てくるが、こっちの方が上手い」
「えー」
「宝塚的な戦闘ヒロイン集団はサクラ大戦的なのだが、サクラ大戦よりもこっちの方が上手い」
「えー。でもさ、声優の演技がイマイチな部分もあるじゃないか」
「声優じゃないし、演技がイマイチって言うのは実は声優らしい演技ではなく、それだけ別の新鮮味が出ているとも言えるのだ」
「いいのかよ」
「型にはまった職業声優の演技を聞くよりも刺激がある」
「なるほど」
「キャラクターにも1人1人個性と魅力があるが、サブタイトルもいい。WikiPediaから引用しよう」
- 1.一日目:はと-HEART-
- 2.二日目:るる-RULE-
- 3.三日目:あさ-ANSWER-
「ひらがなだけのタイトルは嫌いじゃなかったっけ?」
「そうじゃない。HEARTはハートで、鳩つまりはとに通じるんだよ」
「じゃあ、るるがルールで、あさがアンサーかよ」
「ここまでやってくれるとは最高じゃないかね」
「オヤジギャグじゃないの?」
「もしも、ハートと書いていたらオヤジギャグ。でも、HEARTと書いているのでワンクッションある。ワンクッション入ると芸術的な味わいのあるタイトルになる」
原石の問題 §
「デジモンアドベンチャー(1999年)を最初に見たのはたぶん西暦2000年だけど、細田守ブランドがオタクにブレイクしたのは2006年の時をかける少女」
「つまりなに?」
「原石を見出しても、他者の共感はまず得られない」
「つまり、いくら君がICEを見出しても、共感はまず得られないってこと?」
「そうさ」
「君は先行する者?」
「そうじゃない。そもそも、デジモンアドベンチャーでも、劇場でやってるときは気付かず、TV放映してやっと気付いた。とてもスローなんだ。ICEも、2007年のアニメで2013年にやっと見たスローぶりだ」
「じゃあ、スローな君よりも世界はもっとスローなのか?」
「笑っちゃうがそうらしいぞ」
「えー」
「だから自分が他人に先んじて何かを知る者だとは全く思っていない。むしろ出遅れた者なのだよ」
「では、世界はICEの水準に追いついてくると思うかい?」
「そいつは難しいな。Amazonのレビュー見たら『女だけの世界という点ではガルフォースに、足元もおよんでません』なんて書いてあるけど、ガルフォースなんて見たいという気がまるで起こらず、義務感でも見てもさっぱり何も印象に残ってないアニメだからな。あれと比較して違いも分からない連中がオタクの平均レベルじゃないかな」
「そこまで酷評する根拠は?」
「あのへんのマニア層って本当はアニメファンではなく、声優ファンなんだよ。だからTVシリーズとの連携性がまだしもあって職業声優使ってるデジモンアドベンチャー以上に、ハードルは高いと思うよ」
秋元問題 §
「企画・原作 - 秋元康ってことに何か言うことは?」
「別にないぞ。っていうか自分には否定的な要素ではない」
「ほんとに?」
「『アニメじゃない』を馬鹿にしたクソ舐めた文章を見て、それ以来モデグラ買ってないおいらが言うのだから本当。あんな文章が平然と載る雑紙なんぞ、買わなくてもいいや」
「重ねて聴くがほんとに?」
「ほんとのことさ」
「AKB48メンバーが含まれる問題は?」
「マジすか学園を喜んで見てた自分には別に問題でも何でもない」
「マジっすか!」
DVDの問題 §
「とりあえず、中古DVDをAmazonでポチったぞ。3巻まで」
「ひ~」
「たぶん、1巻目は需要予測を誤ってプレスしすぎたな。中古価格が1円って、そりゃないぜ」
「それで?」
「3巻は中古でもけっこう高いが、需要を上手く読んで市場に流しすぎないようにしたんだろう。本来はこの水準が適正な中古価格だと思うよ」
「で、君は1円の1巻をポチッたのか?」
「……うん」