「吉祥寺に展示された1/1パトレイバーは以下の問題を残したようだ」
- 人気を集めすぎた (目立った。中止になるぐらい)
- あ、ガンダムだという人がけっこういたようだ
- 動かないロボットに警察は金をかけて、けしからんという一般市民も多かったようだ
- そこまで含めてパトレイバーらしいと喜ぶオタクが多い
「それで?」
「1つめは、これだけ人気を集めているにも関わらず劇場での集客に結びついていない点が問題だが、まあ横に置こう」
「では2つめは?」
「ガンダムが巨大な機械人形を示す一般名詞化している」
「ガンダムは一般名詞だと言ったどっかの国の司法を笑えないわけだね」
「そうだ。ガンダムが一般名詞化すると、ガンダムでのビジネスが成立しにくくなる」
「たとえば?」
「作り手がガンダムと言わなくても、お店で『そのガンダムちょうだい』『あいよ』という会話が違和感無く交わされるようになると、実はガンダムを取引するためにガンダムは不要になるわけだ」
「ひ~」
「3つめは、いくら映画の撮影用の実物大の模型といっても、一般市民の前に警視庁と書いて展示すれば警察のものだと思われる可能性がある。当たり前だ。関係者は一般市民への迷惑というものを全く考えていない」
「アニメの時とデザインは大差ないよ」
「アニメなら本物と間違える奴はいない。でも実物大で警視庁と書かれたでかい物体があれば話は別だ」
「じゃあ4つめは?」
「要するに、ここは喜んではいけないところだ。怒っている一般人は本当に怒っているのであって、お約束でも設定でも何でもない。要するにオタク文化は創る必要の無い敵をせっせと作ったということだ。当然自分の首を締めるマヌケな行為だが、そこまで考えないで喜んでいう奴が多いのは泣けるね」
「だけどさ。それってパトレイバーの話じゃん」
「そうだ。そこだっ!」
「どこどこ?」
「実は同じことはヤマトでも起こっているのだと気付いた」
「というと?」
「一般人がパッと見たとき、ガンダムとパトレイバーの区別が付かないのと同じで、戦艦大和と宇宙戦艦ヤマトの区別も付かない」
「えっ?」
「だからさ。宇宙戦艦ヤマトは軍国主義復活の象徴になってしまう」
「ひ~」
「更に悪いことに、宇宙戦艦ヤマトを軍国主義の象徴として祭り上げるファンまでいる」
「難しいね」
「そこまで来ると、宇宙戦艦ヤマトとは間違った解釈を広める悪なる表現になってしまうわけだ」
「実物大の宇宙戦艦ヤマトは存在しないよ」
「でも巨大な15mヤマトなら赤坂に展示された」
「ひ~」
「結局、どこが問題かといえば、宇宙戦艦ヤマトは戦艦大和に似ているという意味で分かりやすすぎるのだよ」
「分かっていないにも関わらず分かってしまうことができるわけだね」
「そうだ。正義のために軍国主義復活の象徴は叩かねばならぬと思い込んだ正義の人は、そう思い込んだ時点でもうオシマイだ。宇宙戦艦ヤマトは永遠の敵になる」
「結局何が悪いの?」
「本当に軍国主義が復活しそうだってこと。それと連動してヤマトが復活したから、とても象徴的に叩かれやすいポジションに立ってしまった」
「誤解を解くために努力すればいいんじゃない?」
「誤解じゃ無い人たちもいるから難しい話になる」
「ひ~」
「だからね。宇宙戦艦ヤマトは、戦艦大和のイメージに助けられている面もあるが、逆風になってしまった面もある。そこは功罪相半ばして、どちらとも言えない」
「しかし、もう戦艦大和のイメージから離れられないよ」
「そうだな。それは仕方がない。それはヤマトファンが死ぬまで背負っていかねばならない十字架だ」
オマケ §
「悪いイメージも持ってしまった十字架だね」
「悪の十字架」
「君が行くその施設は10時にならないと開かないぞ」
「開くの10時か」
オマケ2 §
「結局オチはダジャレかい」
「砂の十字架ではありません」
オマケ倶楽部 §
「結局、ヤマトは意図せずして軍国主義の尻を押す立場にいるわけで、戦前の少年倶楽部的なポジションだろうな」
「それで?」
「いやね。そこで気付いた」
「何だよ」
「少年倶楽部で書いていた高垣眸は宇宙戦艦ヤマトの小説を書いている」
「じゃあ何だよ」
「身寄りの無い古代のらくろ少年は、軍隊に入るんだよ」
「で、軍隊をやめて大陸に行くんだね?」
「そうそう、浮遊大陸に……って違う」