「うわ、すんごい面白い映画だ」
「えー」
「152分と長いのに、長さを感じさせない映画だ」
「見始めたときの感想は?」
「昭和のトッキュウジャー。安直な企画に見えて、かなりマニアック」
「どこがマニアックなんだ?」
「いきなり96がタブレット交換してる。東池袋の都電。寄居方面は秩父鉄道方面で、志村方面は都営三田線方面。あの辺の高架の三田線の駅の雰囲気がよく出ていたよ」
「じゃあ最後まで見ての感想は?」
「これはね。新幹線の映画じゃないの。犯罪者の映画なの」
「えー」
「新幹線の出番はあまり多くないの」
「本当に?」
「だからね。犯罪者のシーンがとても多いし、新幹線が止まっても映画が続くの」
「えー」
「結局さ。犯罪者の沖田と、運転指令室長が両方とも主人公なんだよ。そして、2人とも人を殺す決断をして敗者になる。実はそういう意味で、警察こそが真の悪であり、理不尽な社会の象徴なのだ。実は良心的な沖田と運転指令室長は同じ世界に住んでいて、理不尽な社会に向かい合って敗北する。敵対していながら同じ世界に住んでいるのは面白いドラマ的な特徴だし、これは好きだ。コミック版のキャプテンハーロック的な結末だ」
「ひ~」
「最後にね、国外逃亡直前になってあっさり射殺されて死んでいく沖田。これがまたいい。あまりにも無情だ」
「無情なのにいいのか?」
「無情なのがいいのだ」
トッキュウジャー問題再び §
「トッキュウジャーの理解にはこれを見る必要があったのだ」
「どういうことだい?」
「WikiPediaの引用だ」
烈車戦隊トッキュウジャー
2014年(平成26年)に放送された東映製作の特撮作品。第8話の「レインボーライン大爆破」でバクダンシャドーがトッキュウ1号の攻撃により倒されるが、のちに烈車に異常事態が発生し、バクダンシャドーの分身により烈車のブレーキがかからなくなり、トカッチに爆弾が仕掛けられ、揺らしたりすると爆発するという。止めるには分身を捕まえ、スイッチを止めなければならない。その中で車掌役の関根勤が千葉真一(青木運転士)の物真似をしていた。
「実際どうなんだい?」
「確かにいつもと雰囲気が違う演技をしていたよ、関根さん。あれが新幹線大爆破の運転士の真似だったのだ」
オマケ §
「沖田が人を殺す決心をしたって?」
「仲間が死ぬときに名乗り出ない。見殺しにしているんだ」
「運転指令室長が人を殺す決心をしたって?」
「死ぬかも知れないことを分かっていながら列車を止める指令を出したんだ」