「厳密な位置を特定する詳細の調査には、大きな図書館で古い住宅地図でも調べないとダメだと思っていたが、そうでもなかった。世田谷古地図を何気なく見たら、割と正確に天神社の範囲を特定できることに気づいたのだ」
「これは現在の地図で言うとどのへんにあたるの?」
「大ざっぱに言えば、以下の通りだ」
「つまり、烏山神社氏子参集所はまさに想定範囲のど真ん中ってことだね」
「そうだ。現在の氏子参集所よりもやや広い範囲が天神社であったと思って良いだろう」
「それで話はおしまい?」
「いいや。これはあくまで昭和30年の地図での範囲特定だ。より古い時代も同じ範囲であったかどうかは分からない」
「なぜそう思うの?」
「実は氏子参集所に止めてあるトラックには清水屋の表記があるのだが、烏山周辺には清水屋ないしそれに似た店舗が多い。このあたり一帯を同一の地主が持っていて、神社はその氏神である可能性がある。それから近くの大きな民家に明治神宮崇敬会役員と張り出してある民家があった。無関係とは思えない」
「分かった。土地を一杯持っていれば、どこに神社を置くかもかなり自由に決められるわけだね」
発展的課題 §
「実はきむらたかしさんよりいくつか情報をもらったので、統合されて消えた他の神社の所在地も分かった。そのへんはこの先の発展的な課題だ」
「まだまだ終わらないわけだね」
ところが意外なことに §
「しかし、更に地図を見ていて意外なことに気づいた。ここに鳥居とヒョウタン型の池があったのだ」
「出典は?」
「世田谷古地図の昭和4年と14年。現在では以下の場所に相当する」
「君の考えは?」
「実は、ここで話題になっている統合されたどの神社とも一致しない。池が存在することから弁天様が祭られていた可能性もある」
いつまで続くのか §
「烏山は奧が深いぞ」
「いつまで続くんだ?」
「さあ」