2014年08月17日
川俣晶の縁側歴史と文化歴史資料館巡りtotal 665 count

江戸東京博物館・思い出のマーニー×種田陽平展

Written By: 川俣 晶連絡先

江戸東京博物館・思い出のマーニー×種田陽平展

「この種の企画展は通常見に行かないのだが、今回は見に行くことにした」

「理由は?」

「通常、この種の企画展は人が集まりすぎて見るのが辛い。しかし、思い出のマーニーに関してはそれほどの人が集まらないと踏んだ。更に、コミケ期間なのでマニアはあまり来ないだろうからゆとりは通常よりもありそうだ」

「実際に行ってどうだった?」

「午前中だった、という事情もあるにせよ、十分にゆとりを持って見られた。適正な人数だったと思う」

「でも、夏の大物企画展としての客の入り方は少なめなのだね?」

「そう思うよ」

感想 §

「この手の企画展では、音声ガイドは通常借りない。自分の目でしっかりと展示を見たいからだ。しかし、今回は借りた。映画の声優のガイドだからだ」

「それでどうだった?」

「音声ガイド付きで見るこの企画展は、映画本編より面白かったよ」

「それはどういう意味だい?」

「種田陽平とジブリの美術チームが作り上げた世界は、映画の枠を越える大きさを持っていたわけだ。いるのかいないのか分からないマーニーを探して自分が主人公になって世界に浸ると、映画が持つ矮小化された人間ドラマよりも世界が広がる」

「それは簡単に言うとどういうことだい?」

「映画の物語はあくまで最初から最後まで他人の物語なのだ。しかし、セットや大きな絵を通して世界を見ている客からすれば、これは自分がマーニーを探す物語なのだ」

「結局マーニーって誰なんだ?」

「実はね。マーニーって1人じゃないんだよ」

「えー」

「マーニーはどこにでもいるし、どこにもいない」

「わけわからん」

「逆にいえば、マーニーというラベルが貼り付けられた金髪少女は1つではない。話者や状況に応じて出現するマーニーは別物なのだよ。だから、【マーニーとは誰か】という問いかけは繰り返し発せられる必要がある」

「でもさ。【あなたマーニーでしょ?】って台詞もあるのだろう?」

「そうだ。なぜなら主人公の杏奈もまたマーニーだからだ。本人は自覚していないけどね」

「えー」

更に感想 §

「実は、作品としてのマーニーがなぜ破綻したのか分かった。昔、コクリコ坂でもレイアウト展を見て何が起きているのか分かったのと同じような意味で、今回もこの企画展を見て分かった」

「何が分かったんだい?」

「志の高さを末端まで浸透できなかったのだよ。本当はどうかは知らないけどね」

「それはどういう意味だい?」

「実は昔からよくあるパターン」

「もっと具体的に」

「米林監督のイメージが完全に映像に落とし込めていない」

「借りぐらしのアリエッティでは問題無かったのだろう?」

「いや実は問題があったのだ」

「えー」

「作品として無理なく見られるだけで、実は問題があった。家があって森があって川がある位置関係がとても分かりにくい。自分は池や傾斜地という記号から位置関係を脳内で合成して無理なく見られたが、普通の人は傾斜地と川は直結しない。そのあたりの表現は上手くできていなかった。だからこそ、今回は【借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展】の大物種田陽平を起用したのだろう」

「【借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展】ってなに?」

「東京都現代美術館でやってた。見に行ったよ」

「それで美術は成功した?」

「美術は成功したと思うが、それは裏を返せばアニメ的な記号表現の世界を逸脱した広がりのある世界になってしまい、逆にアニメという分業システムにきしみを持ち込んでしまったのだろう」

「きしみか」

「ただし、この種の【きしみ】は、これが初めてではなく、ジブリで言えば【耳をすませば】のイバラードの世界の利用あたりから既にあったものだろう。宮崎吾朗監督の作品でもあったはずだ。ただ、【耳をすませば】の場合、そこから広がる展開が存在しない。近藤監督作品はこれっきりなのだ。宮崎吾朗監督にしても、どちらかといえばアニメに関して良い仕事をしても理解されないタイプになってしまっている。かなりの軋轢はあったものだろう」

「じゃあ、ジブリのアニメ制作撤退は当然の結末?」

「そうだな。映画は常に枠組みからの離脱を求められるのだが、ジブリはジブリという枠組みそのものになって、窮屈になってしまったのだろう」

「枠組みをぶち壊し続ける長老クラスの人材が老いてくると、もう終わっちゃうわけだね」

両国 §

「実はね。googleの路線検索が面白い経路を第4候補として提案してきた。馬喰横山経由だ」

「両国だろ?」

「そうだ。でも、実は両国から歩けるぐらいの距離ではある」

「へー」

「東日本橋の駅まで歩いて地下に入って都営新宿線に乗って帰ったよ」

「馬喰横山じゃないのかよ」

「地下道でつながっているんだ。すぐ近く」

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江戸東京博物館・思い出のマーニー×種田陽平展

「この種の企画展は通常見に行かないのだが、今回は見に行くことにした」

「理由は?」

「通常、この種の企画展は人が集まりすぎて見るのが辛い。しかし、思い出のマーニーに関してはそれほどの人が集まらないと踏んだ。更に、コミケ期間なのでマニアはあまり来ないだろうからゆとりは通常よりもありそうだ」

「実際に行ってどうだった?」

「午前中だった、という事情もあるにせよ、十分にゆとりを持って見られた。適正な人数だったと思う」

「でも、夏の大物企画展としての客の入り方は少なめなのだね?」

「そう思うよ」

感想 §

「この手の企画展では、音声ガイドは通常借りない。自分の目でしっかりと展示を見たいからだ。しかし、今回は借りた。映画の声優のガイドだからだ」

「それでどうだった?」

「音声ガイド付きで見るこの企画展は、映画本編より面白かったよ」

「それはどういう意味だい?」

「種田陽平とジブリの美術チームが作り上げた世界は、映画の枠を越える大きさを持っていたわけだ。いるのかいないのか分からないマーニーを探して自分が主人公になって世界に浸ると、映画が持つ矮小化された人間ドラマよりも世界が広がる」

「それは簡単に言うとどういうことだい?」

「映画の物語はあくまで最初から最後まで他人の物語なのだ。しかし、セットや大きな絵を通して世界を見ている客からすれば、これは自分がマーニーを探す物語なのだ」

「結局マーニーって誰なんだ?」

「実はね。マーニーって1人じゃないんだよ」

「えー」

「マーニーはどこにでもいるし、どこにもいない」

「わけわからん」

「逆にいえば、マーニーというラベルが貼り付けられた金髪少女は1つではない。話者や状況に応じて出現するマーニーは別物なのだよ。だから、【マーニーとは誰か】という問いかけは繰り返し発せられる必要がある」

「でもさ。【あなたマーニーでしょ?】って台詞もあるのだろう?」

「そうだ。なぜなら主人公の杏奈もまたマーニーだからだ。本人は自覚していないけどね」

「えー」

更に感想 §

「実は、作品としてのマーニーがなぜ破綻したのか分かった。昔、コクリコ坂でもレイアウト展を見て何が起きているのか分かったのと同じような意味で、今回もこの企画展を見て分かった」

「何が分かったんだい?」

「志の高さを末端まで浸透できなかったのだよ。本当はどうかは知らないけどね」

「それはどういう意味だい?」

「実は昔からよくあるパターン」

「もっと具体的に」

「米林監督のイメージが完全に映像に落とし込めていない」

「借りぐらしのアリエッティでは問題無かったのだろう?」

「いや実は問題があったのだ」

「えー」

「作品として無理なく見られるだけで、実は問題があった。家があって森があって川がある位置関係がとても分かりにくい。自分は池や傾斜地という記号から位置関係を脳内で合成して無理なく見られたが、普通の人は傾斜地と川は直結しない。そのあたりの表現は上手くできていなかった。だからこそ、今回は【借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展】の大物種田陽平を起用したのだろう」

「【借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展】ってなに?」

「東京都現代美術館でやってた。見に行ったよ」

「それで美術は成功した?」

「美術は成功したと思うが、それは裏を返せばアニメ的な記号表現の世界を逸脱した広がりのある世界になってしまい、逆にアニメという分業システムにきしみを持ち込んでしまったのだろう」

「きしみか」

「ただし、この種の【きしみ】は、これが初めてではなく、ジブリで言えば【耳をすませば】のイバラードの世界の利用あたりから既にあったものだろう。宮崎吾朗監督の作品でもあったはずだ。ただ、【耳をすませば】の場合、そこから広がる展開が存在しない。近藤監督作品はこれっきりなのだ。宮崎吾朗監督にしても、どちらかといえばアニメに関して良い仕事をしても理解されないタイプになってしまっている。かなりの軋轢はあったものだろう」

「じゃあ、ジブリのアニメ制作撤退は当然の結末?」

「そうだな。映画は常に枠組みからの離脱を求められるのだが、ジブリはジブリという枠組みそのものになって、窮屈になってしまったのだろう」

「枠組みをぶち壊し続ける長老クラスの人材が老いてくると、もう終わっちゃうわけだね」

両国 §

「実はね。googleの路線検索が面白い経路を第4候補として提案してきた。馬喰横山経由だ」

「両国だろ?」

「そうだ。でも、実は両国から歩けるぐらいの距離ではある」

「へー」

「東日本橋の駅まで歩いて地下に入って都営新宿線に乗って帰ったよ」

「馬喰横山じゃないのかよ」

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