2014年10月15日
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【作品解説】全ての物語に終止符を打つ最終英雄ドリアン・イルザン

Written By: 遠野秋彦連絡先

 これは、Kindle電子書籍全ての物語に終止符を打つ最終英雄ドリアン・イルザンの巻末の作品解説です。解説を読んでから読むか決めるという読者の便宜のために公開されています。

解説 §

 小説には本来解説など必要ない。読者のあなたが信じる解釈こそがあなたにとっての真実なのだ。作品は書き上がった時点で作者の手を離れて読者にものになるのだ。だから作者本人は解説などしない。解説を要するとしたら、小説作品中で必要なことを全て描けなかったことを意味し、単純に表現力不足であり敗北だからだ。

 しかしながらそれにも関わらず、解説を求める読者も存在し、それを読んで安心したいと思う気持ちも存在する場合がある。その状況を踏まえて、10個のヒントを解説の代わりに10HINTSとして付け加えておこう。ただしネタバレになるので、それを望まない読者は先に読まないことをお勧めする。またこれは【正解】ではない。あくまで作者の解釈だ。

 ちなみに、【10個のヒント】は、【マルホランド・ドライブ】という映画で【デヴィッド・リンチ監督】が観客に提示した【10個のヒント】に倣っている。デヴィッド・リンチ監督はDVDのインタビューで、必要なことは全て映画で描いているからそれ以上の説明は不要と言い切っているが、それでも解説を欲する観客のために【10個のヒント】を提示している。この10HINTSも同じことである。見なくても良い読者は見る必要が無い。見たい読者だけ見て頂きたい。もちろん、【ネタバレは嫌だ】という読者は、読みたい場合でも読後に見て頂きたい。

10HINTS §

1)

 この物語は、オルランドという架空の国家が登場する宇宙史シリーズの1作ということになるが、これらの作品は背景となる世界や、一部の登場人物が共通しているだけで、それぞれが独立している。それぞれの作品はどれを最初に読んでも良いし、どれを読んでもそれ1作で完結している。安心してお読み頂きたい。少なくとも、ドリアン・イルザンを主人公とする小説はこの1作しか存在しないので、これを読むだけでドリアン・イルザンの物語は始まって終わる。これで完全に完結する。他に何が要るというのだろう?

2)

 しかし、この作品は【全ての物語に終止符を打つ最終英雄】についての小説だ。シリーズの完結編ではないのだろうか。その答えは、一読した読者全員が容易に答えられるだろう。答えは否だ。まだ読んでいない読者は、ネタバレを厭わないなら、エピローグをカンニングしてみよう。主人公は結婚し、石屋の武器店の新しい店主としての人生がスタートするところだ。つまり、物語は続くことが明快に示されているはずだ。これで疑問は解消された?

3)

 完結編ではないとしたら、この小説は何をテーマにしているのだろうか。それは【物語の終わり】だ。超越者アリシアが。自然の理よりも延長された寿命を持つ者達全ての物語の終わりを告げる。しかし、そのことは様々な反応を引き起こす。死すべきではない者まで殺してしまう者、懐疑する者、こっそり延命を画策する者。そして、全ての死すべき者の終わりが見えた時点で、アリシアは死んでしまう。だが物語は終わらない。単にアリシアが望む【全ての物語の終わり】への目処が見えただけで、何も問題が解決されていなかったからだ。真の物語はむしろそこから始まる?

4)

 アリシアの敵は、悦人形のマルレーンだ。アリシアは生命を尊重し、悦人形は無生物の人形を尊重する。アリシアの戦士、オルランド軍が、悦人形とその使徒を倒せる力が得られたら、最終戦争が行われ、悦人形を打倒する……というのが超越者アリシアの理想だった。アリシアによって不死の身体が与えられたオルランドがアリシアの軍勢となり、主人公ドリアンが持つレンズが悦人形のいる世界への扉を開く鍵として機能するのだ。それは、一種の宗教的な最終戦争だ。だが、母親からリアリズムを叩き込まれた主人公ドリアンはその綺麗事に疑問を抱く。単純に割り切れる善悪の最終戦争などがこの世に存在するのだろうか?

5)

 超銀河団の泡構造の向こうに待っていたのは悦人形の作り出した人形達の世界だった。しかし、人類がアリシアの言いなりではなかったのと同じく、人形達も悦人形の言いなりではなかった。そして、ドリアンと同じくマスターキーとして機能するレンズを持つ英雄が人形世界にもいた。戦争ゼロを願うウォー・ゼロだ。はたして、ドリアンはウォー・ゼロと戦う必要があるのだろうか?

6)

 この小説には、【大文字の彼】という狂人が登場する。女性を実験動物扱いし、怪物と性交させてはデータを取り続ける永遠の童貞だ。彼が登場する理由は、アリシアの予言を曲解した者としてだ。アリシアは物語の終わりが来ることを告げたが、彼は死ななくても良い者や、まだ死ぬべき時ではない者を殺そうとした。しかし、あくまで本人はアリシアの意向に沿った行動をしているつもりだったのだ。彼こそが、主人公ドリアンに立ちふさがる最悪の敵かもしれない?

7)

 本作のキーパーソンは、アフレイダ・イルザンという食えないおばさんだ。そして、主人公ドリアン・イルザンの叔母なのだ。つまり、本物のおばさんなのだ。その超天才ぶりは、死んでもなお世界に大きな影響を与え続ける。アフレイダの遺した言葉が、彼女が死してなお状況に大きな影響を与えるとは、誰が想像できよう?

8)

 主人公ドリアン・イルザンは宇宙船で女性達とばかり一緒に旅をする運命にある。しかし、ドリアンと深い関係になるのは、ヒロインのサリアだけだ。いくら周囲に女性が多くても、けしてハーレムにはならないのだ。むしろ、自己主張の強い女性達に囲まれて、ドリアンの肩身は狭い?

9)

 本作では最大級の宇宙戦艦戦が展開される。オルランドの最強戦艦である全長70kmにも及ぶ超大陸級戦艦ユーラメリカBS(Battle Ship)が、悦人形の使徒を名乗る艦隊から宇宙船スカイラークを守るために全力戦闘に入る。だが、スカイラークを守るために盾となったユーラメリカBSは回避行動が取れない。回避行動を取っては、敵弾がスカイラークに当たってしまうからだ。徐々に破壊されていくユーラメリカBS。救援に向かうオルランドの主力艦隊は間に合うのか?

10)

 アリシアの死後、様々な者達は本来アリシアが望まなかった行動を取る。死んだ以上、アリシアの意向に従う意味など無いからだ。ところが、アリシアは既に滅んだ人類の創造主が作り出した一種の人形だったのだ。悦人形は、埋葬されたアリシアの遺体を掘り出し、枯渇したエネルギーを注入した。するとアリシアは復活した。そのアリシアが見たのは、自らの意に沿わない行動を取る者達ばかりという現実だった。自らの軍勢であったはずのオルランドや、自分の最終英雄だったはずのドリアンにまで裏切られたと感じたアリシアは、自らの間違いを悟り、仇敵だったはずの悦人形と手を組む。未来を見通し、ドリアンにレンズを与え、全てを支配しているように見えた超越者アリシアまでが敵にまわって、ドリアンは生き延びることができるのか?

注釈 §

 これは、Kindle電子書籍全ての物語に終止符を打つ最終英雄ドリアン・イルザンの巻末の作品解説です。解説を読んでから読むか決めるという読者の便宜のために公開されています。

追記2017/03/04 §

 本作は、宇宙大戦争: 超銀河団のスカイラークに改題されました。

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 これは、Kindle電子書籍全ての物語に終止符を打つ最終英雄ドリアン・イルザンの巻末の作品解説です。解説を読んでから読むか決めるという読者の便宜のために公開されています。

解説 §

 小説には本来解説など必要ない。読者のあなたが信じる解釈こそがあなたにとっての真実なのだ。作品は書き上がった時点で作者の手を離れて読者にものになるのだ。だから作者本人は解説などしない。解説を要するとしたら、小説作品中で必要なことを全て描けなかったことを意味し、単純に表現力不足であり敗北だからだ。

 しかしながらそれにも関わらず、解説を求める読者も存在し、それを読んで安心したいと思う気持ちも存在する場合がある。その状況を踏まえて、10個のヒントを解説の代わりに10HINTSとして付け加えておこう。ただしネタバレになるので、それを望まない読者は先に読まないことをお勧めする。またこれは【正解】ではない。あくまで作者の解釈だ。

 ちなみに、【10個のヒント】は、【マルホランド・ドライブ】という映画で【デヴィッド・リンチ監督】が観客に提示した【10個のヒント】に倣っている。デヴィッド・リンチ監督はDVDのインタビューで、必要なことは全て映画で描いているからそれ以上の説明は不要と言い切っているが、それでも解説を欲する観客のために【10個のヒント】を提示している。この10HINTSも同じことである。見なくても良い読者は見る必要が無い。見たい読者だけ見て頂きたい。もちろん、【ネタバレは嫌だ】という読者は、読みたい場合でも読後に見て頂きたい。

10HINTS §

1)

 この物語は、オルランドという架空の国家が登場する宇宙史シリーズの1作ということになるが、これらの作品は背景となる世界や、一部の登場人物が共通しているだけで、それぞれが独立している。それぞれの作品はどれを最初に読んでも良いし、どれを読んでもそれ1作で完結している。安心してお読み頂きたい。少なくとも、ドリアン・イルザンを主人公とする小説はこの1作しか存在しないので、これを読むだけでドリアン・イルザンの物語は始まって終わる。これで完全に完結する。他に何が要るというのだろう?

2)

 しかし、この作品は【全ての物語に終止符を打つ最終英雄】についての小説だ。シリーズの完結編ではないのだろうか。その答えは、一読した読者全員が容易に答えられるだろう。答えは否だ。まだ読んでいない読者は、ネタバレを厭わないなら、エピローグをカンニングしてみよう。主人公は結婚し、石屋の武器店の新しい店主としての人生がスタートするところだ。つまり、物語は続くことが明快に示されているはずだ。これで疑問は解消された?

3)

 完結編ではないとしたら、この小説は何をテーマにしているのだろうか。それは【物語の終わり】だ。超越者アリシアが。自然の理よりも延長された寿命を持つ者達全ての物語の終わりを告げる。しかし、そのことは様々な反応を引き起こす。死すべきではない者まで殺してしまう者、懐疑する者、こっそり延命を画策する者。そして、全ての死すべき者の終わりが見えた時点で、アリシアは死んでしまう。だが物語は終わらない。単にアリシアが望む【全ての物語の終わり】への目処が見えただけで、何も問題が解決されていなかったからだ。真の物語はむしろそこから始まる?

4)

 アリシアの敵は、悦人形のマルレーンだ。アリシアは生命を尊重し、悦人形は無生物の人形を尊重する。アリシアの戦士、オルランド軍が、悦人形とその使徒を倒せる力が得られたら、最終戦争が行われ、悦人形を打倒する……というのが超越者アリシアの理想だった。アリシアによって不死の身体が与えられたオルランドがアリシアの軍勢となり、主人公ドリアンが持つレンズが悦人形のいる世界への扉を開く鍵として機能するのだ。それは、一種の宗教的な最終戦争だ。だが、母親からリアリズムを叩き込まれた主人公ドリアンはその綺麗事に疑問を抱く。単純に割り切れる善悪の最終戦争などがこの世に存在するのだろうか?

5)

 超銀河団の泡構造の向こうに待っていたのは悦人形の作り出した人形達の世界だった。しかし、人類がアリシアの言いなりではなかったのと同じく、人形達も悦人形の言いなりではなかった。そして、ドリアンと同じくマスターキーとして機能するレンズを持つ英雄が人形世界にもいた。戦争ゼロを願うウォー・ゼロだ。はたして、ドリアンはウォー・ゼロと戦う必要があるのだろうか?

6)

 この小説には、【大文字の彼】という狂人が登場する。女性を実験動物扱いし、怪物と性交させてはデータを取り続ける永遠の童貞だ。彼が登場する理由は、アリシアの予言を曲解した者としてだ。アリシアは物語の終わりが来ることを告げたが、彼は死ななくても良い者や、まだ死ぬべき時ではない者を殺そうとした。しかし、あくまで本人はアリシアの意向に沿った行動をしているつもりだったのだ。彼こそが、主人公ドリアンに立ちふさがる最悪の敵かもしれない?

7)

 本作のキーパーソンは、アフレイダ・イルザンという食えないおばさんだ。そして、主人公ドリアン・イルザンの叔母なのだ。つまり、本物のおばさんなのだ。その超天才ぶりは、死んでもなお世界に大きな影響を与え続ける。アフレイダの遺した言葉が、彼女が死してなお状況に大きな影響を与えるとは、誰が想像できよう?

8)

 主人公ドリアン・イルザンは宇宙船で女性達とばかり一緒に旅をする運命にある。しかし、ドリアンと深い関係になるのは、ヒロインのサリアだけだ。いくら周囲に女性が多くても、けしてハーレムにはならないのだ。むしろ、自己主張の強い女性達に囲まれて、ドリアンの肩身は狭い?

9)

 本作では最大級の宇宙戦艦戦が展開される。オルランドの最強戦艦である全長70kmにも及ぶ超大陸級戦艦ユーラメリカBS(Battle Ship)が、悦人形の使徒を名乗る艦隊から宇宙船スカイラークを守るために全力戦闘に入る。だが、スカイラークを守るために盾となったユーラメリカBSは回避行動が取れない。回避行動を取っては、敵弾がスカイラークに当たってしまうからだ。徐々に破壊されていくユーラメリカBS。救援に向かうオルランドの主力艦隊は間に合うのか?

10)

 アリシアの死後、様々な者達は本来アリシアが望まなかった行動を取る。死んだ以上、アリシアの意向に従う意味など無いからだ。ところが、アリシアは既に滅んだ人類の創造主が作り出した一種の人形だったのだ。悦人形は、埋葬されたアリシアの遺体を掘り出し、枯渇したエネルギーを注入した。するとアリシアは復活した。そのアリシアが見たのは、自らの意に沿わない行動を取る者達ばかりという現実だった。自らの軍勢であったはずのオルランドや、自分の最終英雄だったはずのドリアンにまで裏切られたと感じたアリシアは、自らの間違いを悟り、仇敵だったはずの悦人形と手を組む。未来を見通し、ドリアンにレンズを与え、全てを支配しているように見えた超越者アリシアまでが敵にまわって、ドリアンは生き延びることができるのか?

注釈 §

 これは、Kindle電子書籍全ての物語に終止符を打つ最終英雄ドリアン・イルザンの巻末の作品解説です。解説を読んでから読むか決めるという読者の便宜のために公開されています。

追記2017/03/04 §

 本作は、宇宙大戦争: 超銀河団のスカイラークに改題されました。

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