2014年10月16日
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ヤマト2199追憶の航海はヤマト2199を肯定しているのか否定しているのか【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「うん、もの凄く分かり難い話に入ると承知の上で語るぞ」

「何をだ?」

「ヤマト2199追憶の航海はヤマト2199を肯定している」

「たとえば?」

「女性乗組員が増加したことを否定しない」

「そうだね。新見も岬も出てくるね」

「しかし、【萌えキャラ軍団ヤマトガールズ】は否定されているのだよ」

「確かに、森雪を除外すると新見は出るしユリーシャ岬も出るけど、他のキャラはほとんどいるだけだね」

「ヤマト2199のTVシリーズは自分も肯定するし、80点の合格点を上げて良いと思っているが、それは完全無欠を意味しない。これはちょっとね……という部分も残るのは事実」

「それは、どういう意味? たとえば【萌えキャラ軍団ヤマトガールズ】に照らして言うとどういうこと?」

「ユリーシャではない岬百合亜は否定されている。キャンキャン騒がしく子供っぽ過ぎてヤマトに似合わない。コスチュームがエロすぎる上に、しばしば振る舞いが変なところに逸脱しがちな原田も否定される。もちろん、存在を抹消されるわけでは無いが、主要キャラクターからモブキャラになる」

「でも、モブキャラになったら2199否定じゃないか」

「そうだ。2199らしさを肯定して描こうとする行為は、2199否定そのものだという矛盾した構造が浮かび上がるのだ」

「な、なんだって?」

「だからさ。その否定された要素こそが2199だと思っている客は、追憶の航海を裏切りだと思うかも知れない。2199の否定者だ」

「ひ~」

「でも、追憶の航海は2199を肯定している」

「どっちなんだよ。肯定してるのかよ、否定しているのかよ」

「これはね。実は同じコインの表と裏なんだよ」

「は?」

「明確に良くない部分は切り捨てることで、2199は肯定可能な作品に変貌するという要素も実はあったりするのだよ」

「でもさ。その意見を是とすると、2199のテレビシリーズの頭から尻尾まで全てを素晴らしいと思った観客の気持ちは否定されちゃうじゃないか」

「うん、良いところを突いた。自分は、けっこう距離を取ってヤマト2199のテレビシリーズを見た。その気になれば、具体的に【こことこことここは良くない】と指摘できる。実際には指摘してないことも多いけどね」

「なぜ指摘しないの?」

「商売の邪魔になるからね」

「でも、今は語ってしまうわけ?」

「具体的に語りはしないよ」

「じゃあ、何さ」

「自分はヤマト2199を80点と思い、十分の合格点だと思った。終わり方が良いので、肯定して良い作品だと思った。しかし、課題は残した。一方で、あれは120点で完全無欠だと思った人もいる。圧倒的な表現に圧倒されて何もかも受容してしまった人達だ」

「分かった。80点と120点の温度差があるってことだね」

「そうだ。実はこれまで80点と120点の差は顕在化しなかった。とりあえず、ヤマト2199を肯定する振る舞いは同じだからだ。ところが、実は80点を前提とした総集編と120点を前提とした総集編は同じではない。追憶の航海は80点を前提とした総集編だ。しかし、それは120点の人から見ると何かが致命的に欠落している総集編になる」

「屈折しているわけだね」

「でもね。実は120点を前提とした総集編は成立しないのだ」

「なんで?」

「1秒たりとも切れないからさ」

「なんてこった!」

「だからね。彼らから見ると総集編は成立しないことが前提であり、総集編は妥協の産物なのだ。それは美しい思い出を振り返る契機でしか無い」

「分かったぞ。美しい思い出を振り返るには、否定的な要素があってはならないわけだ。一部が無くても妥協するが、否定はされたくないわけだ」

「そうだ。しかし、追憶の航海は否定した。当然だ。否定されるべき要素は存在し、それを否定しないことには2199を肯定できないからだ」

「立場によって状況が矛盾しているね」

「そうだ。実は追憶の航海がヤマトファンを2つに分けてしまったと言っても良いだろう」

「それだけではないだろう?」

「そうだ。新解釈も入った。当然、新解釈は旧解釈の否定者として機能する」

「美しい思い出を振り返りたいファンには厳しすぎるね」

「そうだ。しかし、客観的に見た欠陥を正す行為が間違いとも言い切れない。それは一般性のある価値の獲得でもあるからだ」

「どっちが正しいのだい?」

「この種の問題に正解は無いよ」

「ひ~。それは難しい」

「ではあくまで自分の評価を述べよう」

「君の評価はなんだい?」

「追憶の航海を肯定する。必然的にテレビシリーズの一部が否定されることも肯定する。自分も否定したかったからだ」

「つまり、否定は追憶の航海によって突きつけられた刃ではなく、もともと自分の中にあった価値観ということだね」

「まあ、そういうことになるな」

「それはテレビシリーズよりも追憶の航海を見たい、と理解して良いのかい?」

「当然だ。それで良い」

「でも、同じ価値観を持っていないヤマトファンはいるわけだね?」

「確かに存在する」

「この矛盾をどう解決する気だい?」

「別に解決する気は無い」

「どうして?」

「アニメは感性で見るもので、感性は人それぞれだ」

「具体的にはどういうことだい?」

「他の誰かの感想を変更させよう……などとは思わない。そんな暇があればもう1回追憶の航海を見るよ」

「なぜ追憶の航海を無条件で見る?」

「見ていて気持ちが良いからな」

「それはテレビシリーズは気持ちが良くないという意味?」

「そうは言わないが、良くない要素は列挙していけばいくらでもある」

オマケ §

「というわけで、今日はヤマトークだ。トークの前にまた追憶の航海が見られる」

「そこがヤマ場なんだね」

「いや、そこまでは分からない。トーク面白い可能性も大きいしね」

新約オマケ §

「そうだ。新解釈も入った。当然、新解釈は旧解釈の否定者として機能する」

「それはどういう意味だい?」

「新約ってことだ」

「は?」

「つまり、カミーユは結末で狂わない。ZZにつながらない」

「まさか。追憶の航海は方舟に繋がらないってことか?」

「プロがちゃんと作ってる以上、それはないだろう。ちゃんとつながるし、新作映画の前座としての機能性も持っているだろう。が、TVシリーズの下位互換、ダイジェストにはなっていないってことだ」

「映画を見てTVシリーズに興味を持って見てはいけないの?」

「そんなことはない。追憶の航海に収録できなかった要素もいろいろある。それらの全てが否定されたわけではないよ。興味を持ってTVシリーズを見るのも良いことだろう」

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