
「なんで五十鈴なの?」
「それはね。もともと防空用の巡洋艦に興味があったのだよ」
「どういうこと?」
「アトランタ級があまりにも異質なのでね。疑問が2つ出てきた」
- アトランタ級の三段背負い式砲塔配置はどこから来たのか?
- 日本には対抗する艦があったのか?
「それで?」
「1つめの疑問は、イギリスのダイドー級が答えだった。2つめの答えが高角砲を主砲として積んでいた五十鈴だったわけだ」
「それで作った感想はどう?」
「悪くない」
「なぜ?」
「アトランタもダイドーも問題を出しているからだ。あれがベストの形状ではない。むしろ、三段背負い式砲塔配置のような無茶をしていない五十鈴の方が良かったのではないかと思えた」
「ゆとりのある軍艦の方が良いわけだね」
「そうだ。武装を詰め込みたがる設計の軍艦が日本には多いが、その点でかなりゆとりのある五十鈴は凄く日本艦っぽくない」
ワンナイト §
「これは一晩で作った」
「なぜ?」
「船体と艦底を除外すると、ランナー1枚。しかも未使用パーツあり。フジミ脱退後にタミヤが商品化したキットなので比較的新しく部品の精度も割と高く作りやすい。これは一晩で行けそうだと思った」

「すんなり組めた?」
「マストの組み立てはいろいろ難儀したよ。そこは罠がある」
「戦艦大和の時と同じ?」
「似たテイストはあったよ。どちらもタミヤだ。デザイナーが同じなのか、それとも同じメーカーだから共通の特徴が見えるのかは分からないが。でも、同じパーツを16個作ります的な無茶な工程は無いので、五十鈴の方が楽と言えば楽」
「失敗は?」
「なんだ駆逐艦と大差ないじゃん……と思って組んだら甲板をレッドブラウンで塗るのを忘れていた!」
「ダメじゃん」