2019年06月21日
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新日本宇宙軍重巡洋艦『高尾』8: 高尾対幽霊戦艦大和と高尾第3シリーズ

Written By: 遠野秋彦連絡先

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 本作の特徴は、美少女のペアが活躍することにある。ヘソ出しコスチュームの爆乳ペアである。片方は新日本宇宙軍の新米少尉の牧野あんこ、もう片方はガーディアンが始球式用に製造したアイドル歌手詩宮四季。性格も出自も違う二人がコンビを組んで大活躍である。

 そうなったのは、昔あったダーティーペアという作品のようなものを一度書きたかったからだ。つまり、ヘソ出しの美少女ペアのSF冒険である。

 ……というのは真っ赤な嘘で、実は本作の企画にダーティーペアは全く関係ないのである。

 本作の企画の最初の段階にあったのは高尾第3シリーズをどうするかであった。いくつかの謎を残して第2シリーズは終わったので、第3シリーズの企画は必然であった。では第3シリーズでは【謎解き】以外に何をすべきか。

 そこでまず出てきたのは用語集に思い付きで追加した【ガーディアンが始球式用に製造したアイドル歌手詩宮四季】という設定である。こんなに面白いキャラを活躍させない手はない。

 もう1つ気になったのが聖牧野王国のアンナ一世牧野アンナの活躍が1巻以降全く描かれていないことだ。しかし、ギフターとの接触後の世界を描こうと思えばアンナ一世はとっくに死んだ過去の人である。そこで、子孫のアンナ七世牧野あんこを登場させることにした。しかし、王政を取っていない新日本で牧野あんこはただの人である。そこで、宇宙軍の新米少尉という設定とした。なぜ新米少尉なのかと言えば、アンナ一世は【若い美少女】として第1巻に登場したのでそのイメージを踏襲するためだ。

 さて、この二つのアイデアを生かすとすれば、必然的に新米少尉牧野あんこと、アイドル歌手詩宮四季の美少女ペアが活躍する作品となる。

 しかし、それでは立場も出自も性格も異なる二人に接点が無い。

 そこで、爆乳という特徴を導入した。

 立場も出自も性格も異なる二人だが、爆乳という共通点があるのだ。その切り口から二人は親密になって無二の親友となっていく。

 そして、二人は野球の宇宙シリーズの開会式で歌を歌うことになる。ガーディアン代表と地球人代表のペアが同じコスチュームで歌うことで両者の親密か関係をアピールするためだ。つまりシビアな外交だ。外交の機微を理解する宇宙軍士官として牧野あんこがその役目を命じられるのである。

 さて、第2シリーズで大暴れした押川先生であるが、第3シリーズでも暴れて頂くと物語の進行が楽になるが、それはやめることにした。今回は爆乳を作品の顔に据えたのだ。押川先生が目立ちすぎるのは好ましくない。そもそも、いつまでも押川先生では飽きられる。そこで、押川先生は既に死んでいることにした。その代わり、【押川の日記】という謎の日記を残して人々を惑わせる存在とした。高尾第3シリーズは【押川の日記】を解き明かすシリーズでもある。

 さて、高尾第3シリーズの主役宇宙艦は賓客送迎用巡洋艦高尾NJS-CA7GSである。ギフター探索に作られた高尾はギフター発見後は用済みなので、改造を受けたという設定である。多数の科学装備を搭載した区画から装備を降ろし、そこに貴賓室を作って賓客輸送用に特化した軍艦になったという設定である。末尾のGSはGuest Shipだ。であるから、詩宮四季は始球式に向かうために高尾に乗り込む必然性が生じる。そして、宇宙軍の士官である牧野あんこも高尾に乗り込む可能性がある。二人が高尾で冒険する準備は整ったのだ。

 今回の敵はムームー星人である。ムーワン、ムーツーの二つの星の住民を総称してムームーと称するという設定である。ただし、アロハ男爵は出てこないし主役メカは別にジャンプしない。ムームー星人違いである。ムームー星人のネーミングの意味は第3シリーズが進むにつれて徐々に明かされていく予定である。ムームーの力は恐ろしい禁断の力という設定での登場である。

 本作は爆乳艦長と高尾が幽霊戦艦大和に勝利して終わるという構成である。そういう意味で最後には勝ってスカッと終わるように意図して書かれている。しかし、完全に勝利して終わってしまうと主人公牧野あんなは高尾艦長をやめねばならない。緊急時でなければ、新米少尉が艦長になる必然性がないのだ。そこで、最後にとある仕掛けを一つ入れてある。それが何かは読んでのお楽しみだ。

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補足 §

 ちなみに、7巻の表紙も8巻の表紙も3代目巡洋艦高尾だが仕様が違う。

 8巻の方はGuest Ship改造後でかつ拡張部分のパージ後なので船体下部が大幅に違っている。

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