「うわ! これは面白い!」
「どこが凄いと思った?」
「どこも」
「それじゃ感想にならない」
「老けた昔の仲間を描いた部分がもの凄く上手い。子供キャラの未来の大人を描いた作品は多いが、それが上手いのはあまり多くない。大人になったNARUTOキャラを描いたBORUTOは上手かったが、UQ Holderもトップクラスに上手いと思った。目の幸せだな」
「なぜ大人になった子供を描くのが上手い作品が少ないの?」
「本物の大人じゃないと大人は描けないからさ」
「一言でまとめると?」
「うわあ。肉丸君」
「他には何かあった?」
「九州があったあたりってなんだ。さりげなく面白いじゃないか」
「なるほど」
「それからガジェット系で言うと、ホーミングレーザーに感心した」
「どうしてだい?」
「ホーミングレーザーはガンバスターの技なんだが、ガンバスターのは基本的にギャグ技なんだよ。感動的な演出で泣きながら見ているオタクばかりだが、本来はバスターホームランと似たギャグ技。普通、レーザーは曲がらないし追尾しない。そもそもレーザーは可視光なんだから、レーザーが曲がるならそれを見ている光も曲がる。でも、追尾魔導光弾という字を当てて魔法と科学が融合したUQ Holderの世界観に持って来ると、レーザーに何かの魔法要素が加味されて光る何かが敵を追尾するのだろうというムードで受け取れる。レーザー推進される光弾かもしれない。物語的設定に無理がない」
「ガンバスターはギャグのためにわざと無理がある設定にしてあるけど、UQ Holderはもっとしっくりと作品世界に溶け込んでいるわけだね」
「物語的に言えば、【大群の襲撃】→【圧倒的劣勢】→【最後の希望】→【大反撃】という流れはガンバスター5話の流れそのものなので、そういうイメージだよと言うことを示す記号としてのホーミングレーザーかもしれない」
「似たようなものだと思っていいのかな?」
「ガンバスター5話はバスターシールドとか、ギャグ展開を演出の力で無理矢理感動的にしてしまって、どこか一貫していない食い足りなさが残るが、今回のUQ Holderに食い足りなさはないよ」
「ところで他作品との比較はネットではトラブルの元になる禁じ手じゃないの?」
「ガンバスターは既に基準となる古典だからまあ許されよ」
「他に何か追加することは?」
「図書艦の着水シーン、素晴らしい着水だ! あれはトップクラスの描写と言って良いのではないだろうか。スケール感、水の感じ、カメラアングル。どれも見事だよ。ああいうのは、宇宙戦艦ものの作品であっても、上手く描けていないものは多い」