下記書籍で筆者が最初に出会ったSFを【カロリーヌのつきりょこう(原題: Caroline sur la lune)】とした。
だが、現在刊行されている版は以前のものと出版社が異なり、内容に変更の可能性が存在することが分かった。
そこで好奇心により、再読することにした。
その結果、ほぼ記憶通りの内容と分かったが、予想外のことに気づいた。
子どもの頃、不自然でよく分からなかった部分に説明が付くことが分かった。
子どもの頃の不明点は以下だ。
- どこまでが仲間で、どこからが家畜かはっきりしない
- 月面に林檎の木を植えたり、ニンジンの種を蒔いたり、ねずみ取りを設置するのは不自然
第1の問題は、新しい版でははっきりと【ゆかいな8ひき】となっていて、仲間は犬、猫、熊、豹の計8匹に限定されることが分かった。月に行く宇宙船に乗るヤギ、小鳥、ニワトリは仲間ではなく家畜扱いである。
第2の問題は、確かに不自然ですっきりしないが、大人になった今の目から見ると【あとから差し替えられた疑惑】を持った。
黒猫が宇宙人のふりをするシーケンスが不自然なのだ。
どう不自然なのか。
- 伏線が存在しない
- 唐突に始まって唐突に終わる。前後のつながりが存在しない
- 本来なら、種蒔きなどの各自の月面ミッションの結果を見てから帰るべきだが見ていない。白猫が地球でニンジンを抱いて喜んでいる理由がはっきりしない (本来種蒔きに失敗した描写があったのではないか)
- ニワトリの出番がない
- 小鳥は、宇宙人が正体を明かしたページでは既に宇宙船に戻っていて、地球に戻れたことが示唆されるが、その前には風船に入って林檎の木に止まっていた。いつどうやって戻ったのか理由が良く分からない
仮に、黒猫の宇宙人が後から差し替えられた展開だとすると、宇宙人出現のページの本来の内容は種蒔きなどの各自のミッションの失敗である。そして、宇宙人の種明かしのページの本来の内容は、もう地球に戻ろう、ではないか。そうすると、前後のつながりが非常に良くなる。
このような変更があったとすれば、60年代ぐらいの古い方の日本語版でも修正後となるので、相当早い時期の原語版にしかない、あるいはそもそも出版されてすらいない可能性すらあり、検証は相当難しい。