三百字小説『駆逐艦暁はただ銀色』

　「我がシン大日本帝国は海軍力が足りないが、建造力も足りない。そこで、帝国海軍の艦艇を全て引き上げて再整備することを決定した。第1号は第三次ソロモン海戦で沈んだ駆逐艦暁である」

　と法的な根拠がかなり怪しい国防大臣が宣言した。

　しかし、引き上げられた駆逐艦暁はただの錆びたガラクタだった。

　「これはまずい。凄い兵器っぽく見えるように銀色で塗れ!」

　駆逐艦暁……の残骸は銀色に塗装された。

　しかし、どう見ても銀色の残骸だった。

　「予算の無駄遣いだ」と世論が沸騰した。

　そこで国防大臣が宣言した。

　「駆逐艦暁ば新型銀色塗装のテスト台として立派に任務を成し遂げました!」

(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)