ガンダムSEEDのガンプラはよく売れているというので、ちょっと興味がありました。それで、バンダイ1/144 『ランチャー ストライク ガンダム』を買っておいたのですが、ずっと放置していました。ちなみに、一番安いシリーズです。高価な1/60などには興味が無く、普通の子供が作っているものに興味を感じていました。
とはいえ、もはやガンプラで感動を味わう日など来るはずもないと思っていました。PGの登場や、あまりに高度化しすぎたMGの日常化に伴って、凄いのは当たり前という感じがしていたし、その裏返しとして、手間が掛かりすぎて暇無しのと～のに作れるはずもない領域に入ったとも感じていました。しかも、それだけの手間をガンダムに掛ける価値があるか?と言われると、やっぱりウィリスMBあたりに注ぎたくなります。
ところが。疲れた拍子に、ちょいと『ランチャー ストライク ガンダム』の箱を開けて、ニッパー1つを片手に組み始めてみると、これが異様に面白いのです。その理由は、一言で言えば、安っぽさです。何しろ部品が少なく、可動部分も非常に少なくなっています。それゆえに、大きな大砲の射撃ポーズを取らせると、かなり無理のある姿勢になります。ちょっとショックを与えると、肩から右腕が取れそうです。形状やカラーリングにも不満が残ります。
しかし、しかしですよ。
その安っぽさ、その不完全さこそが、逆説的に魅力なのです。
それは、今から30年ぐらい前の子供向けのプラスチックモデル全盛期を思い起こさせるのです。当時も、実に馬鹿馬鹿しい安っぽくて出来の悪いプラモがたくさんありました。でも、それは魅力が無かったわけではありません。というよりも、今時の主流のガンプラよりもワクワク感が大きかったような気がします。
そのワクワク感を今一度味わうことが出来たという意味で、このガンプラはなかなか凄いと思いました。
安っぽいということは、別の言い方をすれば間口が広いわけです。誰でも容易に入ってくることができます。買うのも簡単。組むのも簡単。あっという間に素組は完了しました。暇無しのと～のでも素組までなら簡単にできます。
しかし、それで終わりではありません。ちょっと手を加えるだけで、グッと格好良さがアップしそうな隙が多いので、何かをしてやろうかという気が起きます。MGあたりではもともと隙が少ないので、こうは行きません。手を加えるにしても、それなりの質を考えて道具も揃えて取り組まないとならない気分になりますが、これは違います。どうせ安っぽいので、サーフェーサを吹かなきゃ、とか、マスキングしなくちゃ、といった考えを持つ必要は全くありません。
更に、子供が作るという視点で考えると、このプラモが安っぽく不完全であると言うことは、子供にとって次に取り組むべきチャレンジへの道しるべになる点で良いと思います。このプラモに残る隙を埋めるために、もっと高額のガンプラを買いに行くだけかもしれないし、あるいは色を塗ったり改造したりする方向に進むかもしれないし、あるいはもっと別の何かに取り組むかもしれません。これが完璧でありすぎるモデルだと、そうは行きません。素組だけで満足して終わってしまう可能性も有り得ます。そういう意味で、この安っぽさは、子供の健全なる成長の1つの体験として、とても価値があるような気がします。
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