劇場版「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」を見たいと思った理由の1つが音楽です。
実は、20年前のTV版Zガンダムの音楽には特別な思い入れがあります。
その思い出は、CDという音楽メディアと深く関わりがあります。
そうだ、CDプレイヤーを買おう! §
最初にCDプレイヤーを買おうと思った時には、それなりの種々の理由があります。
しかし、その中の1つに、アニメ関連の音楽がCDでも発売されるようになった、という事実がありました。
特に、Zガンダムのサントラが発売されている、というのは強力な理由になりました。
というわけで、ポータブルCDプレイヤーのSONY D50MK2を購入。
意識していなかったのですが、実はこの機種は、電池駆動時に凄い高音質を発揮する名機だったようです。
しかし、「よしZガンダムのサントラを買おう!」と思ってCDの売り場に行くと、買おうと思っていた1枚目のサントラ(LPの1枚目と2枚目からセレクトした内容)は品切れで売っていませんでした。やむをえず、2枚目のサントラ(LPの3枚目に相当)を購入しました。
同時に買ったのは、私の記憶が確かなら、「ジャムトリップ ルパン三世」と、ノベラの「ブレイン・オブ・バランス」で、計3枚購入しました。
注「ブレイン・オブ・バランス」はアニメ関係ではありません。が、ノベラは多田かおるのコミック「愛してナイト」の主役となるバンド、ビーハイブのモデルになったとされ、この作品はTVアニメ化されていますので、必ずしもアニメと無関係とはいえないかも……。ただし、TVアニメのビーハイブはノベラの歌ではなく、ボーカルの声を当てた「ささきいさお」の歌でもなく、アイ高野が歌っています。更に余談を付け加えると、「ブレイン・オブ・バランス」は後期のノベラの作品であって、コアなノベラのファンからは不評であるらしい。私は好きなんですけどねぇ。
一撃必殺CD布教コンボ、水の星に愛を込めて §
当時は大学生でしたが、クラスメートに「CDなんて……」という意見が多かったのも事実です。デジタルの音など聞けるか、という感情的な反発も多かったと記憶します。
しかし、D50MK2に電池とZガンダムのサントラ2枚目を入れて、これを聞かせると誰もが一瞬で顔色を変えました。
CD世代の初期ですから、音楽も特に力を入れて作っていたのだと思います。最初の1曲、後期オープニング主題歌「水の星へ愛をこめて」のイントロは、広がりと軽やかな厚みと透明感があって、それをノイズレベルの低いCDで聞くと、明らかに従来のオーディオでは味わえない音響空間が得られます。この一瞬で、衝撃を与え、その後に続く美しいメロディーとややケレン味を効かせたリズム感、そして森口博子の確かなボーカルが続くと、もう聞く者はCDの虜です。
これによって、少なくとも数人が、もともと買う気の無かったCDプレイヤーに手を出しているはずです。(聞かせた相手は10人には達していないはずなので、かなりの高確率です)
サントラCD2枚目の音楽本体は暗い……が、しかし? §
このように最強を誇ったコンボではありますが、実は買った本人は不満足でした。
なぜかといえば、知人に聞かせて貰ったZガンダムのサントラ1枚目(LP)に見られるような、華やかさ、爽快さがサントラCD2枚目には見られないからです。
ともかく、サントラCD2枚目は暗いのです。
気が滅入ってきます。
正直、とても後悔しました。
しかし……。
繰り返し聞いているうちに、その印象は違うということに気付きました。
暗い世界の中に、確かなリズム感や癒しのメロディーがあります。
つまり、暗い世界の中でも力強く信じる道を進むという、希望の音楽が織り込まれていると、感じられるように変わってきたのです。
そうか、音楽とはこう聞くべきものなのか!という勉強をさせてもらい、そして感動を与えてくれたものとして、私にはとても印象深いものがあります。
そして、20年を経て §
そのような経緯がありますから、劇場版「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」でも、音楽がどうなっているのかが特に気に掛かりました。
これについては、TVシリーズと同じ三枝成章の名前が書かれていたので、少なくとも同じ音楽性が引き継がれているのだろう、ということは推測できました。
では、20年を経て聞く今時のZガンダムの音楽とはどのようなものか?
それを確認するために、劇場版「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」を見に行きたい気持ちがあるのです。