2006年10月02日
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過去の不満を吹き飛ばす! W-ZERO3は奇跡の名機なのか!? 圧倒的な第1印象を(今さら)語ろう!

Written By: 川俣 晶連絡先

 W-ZERO3を買いました。

 そうしたら、過去にPDAとPHS/携帯に感じていた不満が一気に吹き飛ぶような感じがあったので、今さらながらにびっくりしました。

 そういう話を書きます。

なぜ購入に踏み切ったのか §

 単純に、FOMA SH900iが壊れてきたためです。

 ボタンを押しても何も表示されなかったり、使用中にいきなり電源が落ちたりします。

 別のFOMAに乗り換えるという選択肢もあったのですが、以下の2つの理由からW-ZERO3購入という選択肢が浮上しました。

  • 散歩中などに気付いたことをメモするデバイスが欲しかった (打ちやすいキーボード必須!)
  • スケジュール管理に使っていたPDAのJornada 548がへたばりかけている

 つまりW-ZERO3は、単なる携帯の後継機として買ったものではなく、PDAの後継機としての位置づけも与えられていたわけです。

 単行本の印税があるうちに買ってしまおう、というタイミング的な意味合いもあります。

[es]という選択肢 §

 当初、いろいろな評価を聞いたり読んだりした結果、W-ZERO3 [es]の方がW-ZERO3よりも使いやすいらしいとあたりを付けました。

 値段も3万円程度と、出せる範囲内で買えます。

 そこで、実際にヨドバシの店頭で購入の寸前まで行ったのですが、サイズに比して驚くほど打ちやすいW-ZERO3のキーボードに対して、[es]のキーボードは快適に効率よく打てそうにないことを発見。もちろん、打てる打てないは人それぞれだし、キーボードが重要なファクターであるかも人それぞれです。しかし、「私自身が」「メモを取る」という項目を最重要のテーマとした私としては、私にとって打ちにくいというだけで十分に却下の理由になります。

 というわけで、[es]は買えない……という結論は出たのですが、W-ZERO3は[es]よりもずっと価格が高く、予算3万円では買えません。

まさかの値段が出た §

 優柔不断のまま思考がぐるぐるとまわり、今はもう安いFOMAを買ってお茶を濁すか……とまで考えたのですが。

 ふと目先を変えて検索してみたところ、思わぬ情報を見つけました。

 土日限定、ブラックのみ(シルバーはない)という条件で、W-ZERO3(WS003SH)が29800円という衝撃のプライス。場所は要町のティーエスモバイル

 この値段なら、[es]の予算でそのまま買えます。色も、もともとブラックを買うつもりだったので問題無し。

 しかし、それに気付いたのは日曜日の17時頃。土日限定という言葉に偽りがなければ、今日買わないと次の土曜日まで買えない……。既にFOMAは壊れているのにそれはまずい!

 というわけで、行くなら今しかない!

 しかし在庫はあるのか……と思ってFOMAで電話してみると、すぐに切れてしまいます。

 自宅に戻って電話をしたら、親切にも商品を確保してくれるというので、そのまま電車に飛び乗って行ってきました。

 そして、手続きに時間を要したものの、しっかりと購入完了しました。

帰りの電車の中での衝撃 §

 バッテリ残量は少なかったものの、帰りの電車の中で電子メールのオンラインサインアップを行いました。

 それは分かっていたはずなのに、実感としては衝撃的な出来事になりました。

 要するに、希望電子メールアドレスを入力して、それを送信して、登録完了となるだけの手順です。

 なぜそれが衝撃的なのか。

 以下、その理由を遡って説明します。

ある時代で最高クラスの通信環境 Jornada 548+Paldio 611S §

 PDAのJornada 548とPHSのPaldio 611Sの組み合わせを以前から使っていました。

 この組み合わせは、ある時代には最高クラスの通信環境だったのではないかと考えています。

 なぜかといえば、能書きではなく実際に使った使い勝手が非常に優れているからです。

 具体的に言えば、Jornada 548のCFスロットに、Paldio 611Sをグサッと差し込むと、片手で持ってデータ通信が可能だったのです。(もう1本の手は、操作するために必要)

 しかし、ケーブルで接続する方式だと、手が足りなくなります。(ネックストラップを併用するとできるが)

 しかし、これは最終的に使わなくなりました。

 Jornadaはスケジュール管理専用機となり、メールやWebブラウジングなどは行わなくなりました。

 それはなぜか。

 その理由を説明するために、通信の準備手順を以下に書き出してみます。

  • Paldioのカバーを外し、そのカバーをなくさないように大切に仕舞う
  • JornadaにPaldioを挿入
  • ダイヤルアップ接続を指示する
  • Webブラウザを開くorメーラを開く
  • やっと通信開始

 つまり準備手順が多すぎるのです。しかも、Paldioのカバーを無くさないように扱うという神経を要求する手順すらあります。

携帯の10キーという問題 §

 一方、FOMAの方にも決定的な問題がありました。

 それは、携帯の10キーが効率よく打てないということです。

 Jornadaのソフトキーボードをポチポチ押すのも効率が悪いのですが、10キーは最悪でした。もちろん、それは私個人の問題に過ぎません。10キーでも素早く打てる人はいくらでもいます。

 とはいえ、練習して慣れるという選択肢もあります。しかし、本気で文章を打つことを考えれば10キーでは効率が悪いのは明らかです。

 別の手段を模索する方が良いのではないか……ということは漠然と考えていました。

 ちなみに、このFOMAは事実上「時計」と非常用の「デジカメ」の役割しか担っていませんでした。他の役目に使うには、力不足であったと同時に、文字入力が不可欠だったのです。

W-ZERO3という奇跡 §

 上の2つの事例で出てきた問題は以下の通りです。

  • 通信準備手順の煩雑さ
  • 文字入力の効率の悪さ
  • 文字入力の不慣れさ

 実は、W-ZERO3のオンラインサインアップで、希望メールアドレスの文字列を打って送信した瞬間に、これらの問題の全てが完璧に消失していることに気付いたのです。これまで、モバイルデバイスを使う場合には必ずつきまとっていた煮え切らない感じが、ものの見事に消滅していたのです。

 まず、「通信準備手順の煩雑さ」は完全に消失しました。そもそも準備のための手順そのものが存在しません。

 「文字入力の効率の悪さ」もありません。底部をカパッと開くだけでキーボードが出てきます。通常のローマ字入力のタイプ数と大差ない回数だけキーを叩けば、文字が入ります。

 「文字入力の不慣れさ」も問題にならない水準です。何しろ、使い慣れたQWERTY配列ですから、どこに何の文字があるのかだいたい分かります。ちょっと詰まるのは記号類ですが、それの使用頻度は高くありません。

 そして、その差は愕然とするほど大きなものでした。

 頭では分かっていても、実際に自分の手の中で操作してみると、衝撃的とも感じられました。

 おいらの過去の苦労は何だったのだ!

通信機能はコンピュータにとって必須の基本機能である §

 ずっと昔、まだパソコン通信もLANもほとんど無かった時代に、通信機能はコンピュータにとって必須の基本機能である……という主張を読んだような記憶があります。

 それが正しいことは、当時も理解できました。

 しかし、今になって、再び実感としてよく理解できたような気がします。

 つまり、PDAだろうと携帯だろうと、それをコンピュータと見なすならば、ビルドインされた通信機能を持っていなければ本来の価値を最大限に発揮できないわけです。

 そして、まさに通信機能がビルドインされたPDA(コンピュータ)と見なしうるW-ZERO3はその条件を満たすわけですね。

 しかし、Jornada 548+Paldio 611Sは、たとえ「ある時代で最高クラスの通信環境」という主張が事実であっても、この条件を満たしません。

 コンピュータと通信が、別の業界、別の企業、別の商品として担われている限り、満足はあり得なかった……ということなのでしょうね。

余談・Javaの憂鬱 §

 実はFOMAに挫折したことがもう1つあります。

 それはJavaによるアプリ開発です。

 もちろんFOMAを買った時点で、既に「今さらJavaかよ……」という状況でした。明らかに問題の多いプログラム言語であり、敬遠するのが賢い選択という判断は既に下されており、それは間違いではなかったと、(少なくとも技術的には)実証済みでした。

 しかし、Javaで書かねば動かないものはしょうがない……というわけで、かなりのレベルでJavaで書くことを覚悟しました。クラスライブラリも調べたし、サンプルソースも見て、「こんな感じになる……」ということを把握した上での選択でした。

 しかし、実際には携帯のプログラムは1本も書いていません。

 それはなぜか。

 実は、覚悟する際に見落としたものがあったのです。

 それが開発環境です。

 純正の開発環境は貧弱で使い勝手も悪いし、かといってEclipseあたりの上にカスタマイズした環境を構築して開発する……という手間を掛けてまでやりたくはないし……。そもそも、慣れない環境で書くということそのものが、大いなる効率ダウンの源泉になります。

 そして、挫折したというわけです。

 そのような背景をFOMAに対して持っている状況から見たW-ZERO3とは、開発環境面での問題を解消する夢のデバイスそのものです。何せ、使い込んだVisual Studioと使い慣れたC#でアプリを書けるわけですから。

 しかも、W-ZERO3と言えば超人気アイテムですから、プログラムを書けば幅広く使ってもらえる可能性もあり得ます。

 というわけで、実はプログラム開発という側面から見ても、W-ZERO3は過去の問題を払拭してくれる可能性を秘めているわけです。

余談・時代はSHARPなのか!? §

 実は、Paldio 611S, FOMA SH900i, W-ZERO3は全てSHARP製です。

 意図したわけではありません。

 機能性等で選んでいったら、結果としてこうなったということです。

 昔は、SONY製品をよく買いましたが、今はSHARP製品が多くなってきた感があります。時代は、SONYからSHARPなのでしょうか。

 100%全く欲しいと思わないPS3とW-ZERO3を見比べると、同じ"3"の付いた機器なのに大きな違いだな……と感じます。(まあ、ACE COMBAT新作がPS3で出たら買わざるを得ませんが……)

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