録画してから見るまでにかなり時間が経過して、見終わってから感想を書くまで更に時間が経過していますが……。まあそれはそれとして。
ドラえもん のび太の魔界大冒険 §
劇場版ドラえもんの初期の作品群については、かなり高い評価と注目を行っていました。それはドラえもんとして、あるいは藤子作品としてという意味ではなく、映画としての秀逸性によるものです。
そのような思い入れが、究極的に炸裂したのが「ドラえもん のび太の魔界大冒険」でした。
しずかちゃんではない美少女ヒロイン。魔法が使える世界でも何ら思い通りにならない厳しさ。その中で、予定調和としての結末を自ら否定し、途中まで出かかった終わりの印を引き戻させ、あえて困難な道へと自らの意志で踏み出すのび太。それは、ある種の「のび太の自立」であり、正しい映画としての進化であり、ドラえもんという作品が持つエンドレス感覚に対する爽快な裏切りでもあります。
(そのような点から言えば、翌々年の「ドラえもん のび太と鉄人兵団」や、更にその3年後の「ドラえもん のび太の日本誕生」はかなり物足りなく、このあたりで劇場版ドラえもんに対する注目は冷めてしまった)
魔王の心臓は別の場所にある、といったある種のマニアックな西洋ファンタジー的なお約束すら取り込みつつ、それでも子供にも分かりやすい物語として成立させたところも見事。
このような経緯から、自分にとっての最高のドラえもん映画は文句なく「ドラえもん のび太の魔界大冒険」です。
ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜 §
というわけで、劇場版ドラえもん新シリーズの第2作目がいきなり大魔境も海底鬼岩城も飛ばして「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜」になると知ったときは驚きました。そして、やはり魔界大冒険はいろいろな意味で特別な存在なのだと納得しました。
さて、今更劇場まで足を運んで子供達と一緒に見る状況でもないので、TV放送を録画して見たわけですが……。
驚くほど旧作に忠実に作られていると思いました。見た目の印象の違いから、もっと大胆に変化させていくかと思いましたが骨格部分は驚くほど忠実です。
しかし、違う部分もあります。特に石像をドラえもんのポケットに収納する展開は、旧作にはありません。当初、なぜそのようなことを行うのか理由が分かりませんでした。しかし、石像収納→ドラえもん腹痛→22世紀→セワシとドラミが心配→ドラミ救出に登場という展開を見てハッと感激しました。
つまりですね。旧作でドラミ登場は何の伏線もありません。ひみつ道具のおかげで察知して来てくれたということで、ドラえもん世界としては辻褄が合っていますが、映画の構成としては破綻しています。この破綻を回避するために、石像はドラえもんのポケットに収めねばならなかったわけです。
これはもう、本当にこの作品を分かっている人が作った映画だと思いました。
美夜子の色気 §
旧作映画でも美夜子は色気のある年上の女の子でした。しかし、描き方はどちらかといえば記号的です。
しかし、今作では生々しい肉体の存在感を与えられた強烈な色気を感じさせる女の子になっています。
それにも関わらず、着ている服は大差ありません。花びらをモチーフにした(?)隙間の多いスカートです。それゆえに、色気のある太ももが堪能し放題。
実に素晴らしい。
作品を愛するスタッフが作ったことは間違いないでしょう。
特に、魔界で料理される直前、台の上に固定されている美夜子の放つ色気がいい。こんな衝撃的なシーンを描いてしまって、トラウマになってしまった子供が出たらどうするのでしょう? いや、それはそれで将来の優れたイラストレーターを生み出す礎石として価値があるかもしれません。
まとめ §
というわけで、とても良かったと思います。
問題は、TV放送ではどうもカットがあるようで、特に結末の部分がしっくり来ません。そのうちに、ノーカットで見たいものだと思いつつ。