よく複数の本屋をチェックしますが、「ネギま! 26巻を目立つ位置に長期間平積みにしている書店が割と多い」と感じます。
ネギま!に関して、過去にもそういう事例が無いわけではありません。しかし、それらはおそらくアニメ化等の宣伝効果も含めたものだろうと思います。26巻はそういうメディアミックスの影響無しだという点で、何となく特異に見えます。(見えるだけ。本当かどうかは分からない)
そこで、なぜ最近のネギま!は支持が手厚い印象を受けるのか……と考えてみると。どうもラカンがカギではないかという気がしてきました。
なぜラカンか §
ネギま!という作品は、まず主人公がくそ真面目であり、周辺の女の子達もきつかったり、マイペースだったりして、「ゆとりのある楽しさ」にはあまり縁がなかったような感があります。もちろん、それは作品が全力投球しているということであり、マイナス評価にはなりません。
とはいえ、全力投球されたボールを全力で打ち返そうと待ちかまえる読者以外には、ボールが速すぎて打てないから面白くない可能性があり得ます。
そこでラカンです。
ラカンには「ゆとり」があります。
しかも最強クラスに強いのです。
たとえラカンが戦っていない場合でも、ラカンが一言コメントするだけで場にゆとりが生まれます。全力でネギが戦うシーンがあっても、ラカンがいれば「本人は必死だがまだまだ」という落ち着いた距離感が生まれます。読者は、必死のネギくんに感情移入する義務感から解放されます。
そして、ラカンは物事を的確に要約するために、状況がとても分かりやすくなります。たとえば強さの表などです。情報量の多いこの作品は情報把握という点で新規参入ファンには辛いのですが、ラカンがその壁を破壊してしまいます。
しかも、ラカン自身は素直で我が儘な性格です。思ったことをそのまま言い、思った通りに行動し、金を要求します。これは、分かりやすく感情移入できる魅力的な登場人物像だと言えます。
※ 素直で我が儘という性格付けは、仮面ライダーディケイドの主人公とも共通するかもしれない
更に重要な情報をわざと隠して嘘をつくようなトリックスター的な性格も持ちます。
まとめ §
以上をまとめます。
- 物事を分かりやすくしてくれる
- 強い
- 意外性がある
- 人格的に魅力がある
- 感情移入しやすい
これは、もしかしたらナギも同じかもしれませんが彼の出番はほとんどありません。ラカンは、ネギま!という作品ではこれまで出てこなかったタイプではないでしょうか。
それを得たことで、ネギま!という作品が持つ素材の持ち味に親しみやすさが加わったとも考えられます。
26巻とは、ラカンの魅力が浸透し、幅広い支持が成立した時期に出版された巻である、という解釈も可能かも知れません。