実はTV第1シリーズのヒロインは森雪ではなく古代であり、古代が男としてはどうかという女々しい性格であるのも当然。兄さんと家族の復讐に凝り固まった後は男らしくも見えるが、本来は戦いたくない性格の彼はヒロインです。ヒロインの性格としては、古代君の女々しさもありです。従って、古代人気が高いのも当然です。OUTのヤマト特集のアニパロマンガで古代ファンクラブの女の子達が全員古代無罪の評決を下すのも、ヒロインなら当然です。「ヒロイン」ではなく「主人公」なら罰を受けるところです。
ヒロインは、「あーん、まちがえちゃった」「可愛いから許す」とドクター秩父山の可愛い女医の先生のように許されるわけです。
そして、沖田が「古代、部屋に来ないかな」とみんなが通信しているときにそわそわ艦内をうろついたり、「いっそ、艦長代理に指名したら来る機会が増えないかな」と思うのも当然です。島が何回ワープしても森雪がスカートを自分でめくって挑発しても艦長代理に指名しませんが、古代が波動砲を撃つと指名してしまいます。そして、仲間を強く思いやるヒロイン精神は、実は艦長/艦長代理に向いています。最近、宇宙艦の艦長席に女が座る(ガンダムSEEDなど)理由の多くは乳を揺らすためだと言われますが、それだけではないはずです。上に立つ者は、女性的な精神をもっていた方が上手くいくわけで、その点でも古代は向いています。艦長/艦長代理の役目は自分が戦うことではなく、部下に「死ね」と命令することですから、ヒロイン的な立場の方が似合っています。(しかし、「死ね」はちょっと書き間違えると「死ぬ」になって「さらば」の結末に至ってしまうのだ)
そして、沖田の貫禄を持たない古代は、ヒロインとしての性格で埋め合わせてついに「オレがヤマト艦長古代進だ!」といえる立場まで上り詰めたわけですね。(髭さえ剃らなければ、まだそれなりの貫禄もあったのに)
従って §
島と古代の関係も微妙に修正されます。喧嘩しても最後は仲良しになって海峡を突破するのは「男の人っていいわね」というのは誤解であって、男性的な性格の島と、女性的な性格の古代は相性が良かったと見るべきでしょう。将棋で島に待ったを掛けるのも、勝ちたかったからというよりも、「それぐらい甘えてもいいだろ」という相手との尺度を測る行為。そのまま喧嘩になるのは古代が期待する尺度で島が甘えさせてくれないから。一方の島は理屈で割り切ろうとして、古代との間にある甘い空気が見えていません。そりゃもう、殴り合いになるわけです。
また、女性形で語られるフネを制御する者は男性的である方が相性が良く、古代の性格は「ツンデレ的」であって、島につんつんしてもいざ海峡が見つかるとうきうきしながら見に行ってしまうわけです。
だから、2人で一本の操縦桿を握って海峡を突破すれば仲良しも回復です。
更に言えば、男性的なデスラーと女性的な古代の相性も良く、男性的なデスラーの暴走の後を追いかけて支援することも花束を投げることもできます。ズォーダーの前でいい格好をしたい2までのデスラーは敵ですが、2でもミルやサーベラーが間に入って大帝との関係にわだかまりができると、古代とも仲良くできます。これが目の前に来てくれない大帝と、目の前に来て構えろと言ってくれる古代の差でしょう。
だからガミラスでは §
第1艦橋でふんぞりかえっていればいいものを、ガミラスの最終決戦ではいつの間にか主砲に行って他の乗組員と一緒に撃っていたりするのもヒロイン的な性格でしょう。従って、形式上のヒロインである森雪も、やはり第1艦橋でふんぞりかえっていません。2人は、一緒になって廃墟と化したガミラスを見ることになります。
ここで、いくら銃を投げてくそでもくらえと言ったところで、女性的な古代はステキなおじさま(藤堂長官)から「ヤマト出航させてね」と言われるとほいほいと出航させてしまうのでした。
だから復活編では §
ヤマト乗組員の女性や、アマールの女性元首がいても、本当の意味でのヒロインはいません。雪は行方不明だし、娘はヤマトに乗り組んでいません。それでも作品として成立してしまうのは、古代がそもそもヒロイン的だからでしょう。(他に、ヤマトそのものがヒロインであるという解釈もあり得るが。船は女性形だし)
