やはりアニメが持つべき資質とは以下のようなものだろうと思います。
- 子供が見ても面白い
- でも、子供をなめない
- いろいろな意味での制約は甘受した上で作品を作る
- でも、あり得ないものを見せてくれる
ところがそういう制約を付けていくと、意外とそういう条件を満たすことは難しいことが分かります。
しかし、本当にノーマークのところで1つ出てきたのかも知れません。
『爆丸 バトルブローラーズ ニューヴェストロイア』です。
『B-伝説! バトルビーダマン 炎魂』の第1話で松本零士風のガンマンが出てくる酒場で銃撃戦(ビー玉のだ)をやってくれた橋本みつお監督の新作ですね。
子供向け作品を作らねばならない制約の中で子供が見ても面白い作品を作りつつ、そこで子供をなめない作りをしている点が良いところです。
見ているのは世界か? §
『爆丸 バトルブローラーズ』のシリーズは2作目で、1作目は見ていません。というのは、複数ヒロインで設定も玩具的すぎて印象が弱いなという感じがあったからです。複数ヒロインから選べるのは萌え文化的であり、小さく閉じています。
一方で、戦える根拠を持ったヒロインが1人だけ、というのが世界的に通用する「戦うヒロイン」の基本パターンだとすれば、1作目のヒロインが付いて来ず、2作目ではあまり可愛くはないがアクティブなタイプのヒロインが1人だけという路線は世界に向かう上での正しい方向性なのでしょう、たぶん。
そういう意味で、アメリカにいる妹が日本のお土産に「BAKUGAN」を欲しがったりした経緯と合わせて、これは本当に「日本はオマケ」ぐらいの感覚のビジネスの一環であり、狭い世界のお約束を守ろうという意思はないのでしょう。(もちろん、狭い世界とは日本のことではない。日本よりも更に狭い、別の世界のことだ)
ちなみに、可愛いキャラとしてヒロインではなく男の子であるマルチョが付いてくる点も興味深いところです。もはや、ヒロインは「可愛いキャラ」のポジションではない、ということです。(この点は、ベイブレードで可愛いキャラが実質的に男の子であるキョウジュであることとも通じる)
だがしかし! §
敵の戦艦がかっこよすぎる!
対して、味方の移動する車両はただの白い箱でかっこよくなさ過ぎる!
しかも、敵には金髪美形のエースがいる。(エースという名のキャラは別にいるようだが、一般名詞として)
……となると、ダンガードAを思い出すじゃないか! 子供時代に見たプラネスターとジャスダムとトニーハーケンの印象と重なるぞ!
だから、かっこよくなさ過ぎる白い箱をあえて描いている? それを補うための変形機構?
いや、この場合はただの白い箱の方がいいぞ。大拍手だ。
そういえば「空操 弾馬(くうそう だんま)」という主人公の名前も通称「ダン」であって、「ダンガード」に似通ってるし、「キャプテン・ダン」に通じるのかもしれません。いやむしろ、主人公がダンだから、ダンガードっぽいネタを入れてくるとか?
他にも某時間旅行するアニメの名台詞を途中まで言ったり。
味方の移動する車両は、何となくボーンフリーを連想させたり。
第2話も、「いいわね、男の人って」という感じで終わるし。(それとも、バカだね、男の人ってというべき?)
本当にいいところは §
しかし、本当にいいところは社会にとけ込んでいる敵と戦うという困難さや、腕に装着するメカに日本語放送でも英語で喋らせる格好良さを描こうという気概です。
この先どうなるか分かりませんが、もうちょっと見ていようかな。
そういえば『B-伝説! バトルビーダマン 炎魂』も『爆転シュート ベイブレードGレボリューション』も見ていたしなあ。(どちらも本郷みつる監督作品だ)
「ドランザー!」
やはりカイはかっこいいね。
(リリース済みの回転しているコマが、手も触れないのに名前を叫ぶだけでパワーアップしても、海の広さに比べれば小さなことさ)
というわけで §
可能性を感じさせるアニメを見つけて喜んでしまったけれど、この先のことは一切知らないからね!
オマケ §
「萌える趣都より爆丸シュート、という標語を思いついたんだが」
「それってただのダジャレ」
「しかし、これはやはりダンガードAが好きだった人はのけぞるかもしれないぞ、と思ったね」
「ある意味、これも邪道の感想だね」
「そもそも、これが意図されたネタかも明確ではないしね」
「たまたまそう見えてしまっただけ、という可能性もゼロではない」
「でも、いいんだ」
「どうして?」
「この文章は、おいらが見た感想を書いているのであって、作品の解説ではないからだ」
「作り手の心の中は知らないが、感想を書くときにそれは関係ないと言うことだね」
「で、どうして感想を公開したのが月曜日なの?」
「月曜日に公開すると火曜日の放送までに録画予約を入れるチャンスがあるからさ」
「もっと早くても良かったのでは?」
「早すぎると忘れられるかもしれない」
「ネットで見るという選択肢はなかったの?」
「ははは。泥棒行為を支援する気は無いさ。少しは真面目にやっていこうという気概があれば、ネットでアニメを見ようなどと思うなよ。正規にライセンスされた有償サービスや、そいうサービスがたまたまキャンペーンで無償提供している場合は別だけどね」
「世の中には登録を要求する怪しげなサービスもあるしね」
「ニコニコしながら手ぐすね引いて、個人情報の登録を要求してくるが後で何が起こるか分かったものではない」
「うちみたいなサイトに、情報や質問を書いてくる際、連絡先がないのは、はっきり言って困るけどね」
「でも、タダでアニメを見られるという都合の良い選択肢は……」
「それはあり得ない。スポンサー様が肩代わりしてくれる場合は表面的にタダに見えるが、もちろんタダではない。アニメを作るには金が掛かるからだ」
「やはり金か」
「金だ。鉄雄。甲斐。山形ってね」
「それもネタが難しいよ。今時AKIRA? 芸能山城組?」
「ダンガードAに比べればずっと新しいさ」
「それは古すぎ!」
「で、爆丸だけど」
「見ると良いわけ?」
「さあ。それは保証できないな」
「じゃあどうして書いたの?」
「味方の基地が変形して複雑な形からシンプルな白い箱になった瞬間に、ジャスダムだ!とずっこけたからだ。あれはびっくりした」
「第1話で敵の戦艦がかっこよすぎることに驚いていたけど」
「第2話で味方は白い箱だぜ」
「つまり?」
「思わず素晴らしすぎて文章を書いたけど、すぐに公開はしなかったわけだ」
「それで良かったの?」
「うん、かなり手直しも入れられたしね」
「それで?」
「こんな世の中だけど、たまには面白いこともある」
「邪道の楽しみ方だけどね」
さして意味のないオマケ §
「炎魂の第1話の面白さは凄いと思ったけど、ぜんぜん世の中に盛り上がりがないので、完全に自分は別の人種だねと思ったよ」
「そんなに面白かったの?」
「そうそう。きゃー、ハジャさま素敵!ってぐらい面白いぞ」
「は、ハジャさまって……」
「子供向けだから許される露骨なおっぱいネタといい。ハジャさまの女装といい」
「でも、世間では全く盛り上がりが見られない」
「なぜだろう?」
「最近分かってきたのだが、子供向けのアニメを大人が見るという趣味というものは確かにある。大人のためのドラえもん映画上映会とかもあるしね」
「ふむふむ」
「でも、その世界に行けるのは子供と大人だけなのだ」
「というと?」
「僕は子供じゃないという証明を必要としている者達は、子供としては見られたくないし、大人として振る舞うだけのゆとりもない。だから、その世界には行けないわけだ」
「それって気の持ちようってやつじゃないの?」
「そうだ。でも、私ボディだけレディーという層は気持ちが阻害されてしてしまう」
「って、それキテレツかい」
「つまり、身体だけ大人になっても心が子供だと、その世界には行けないわけだ」
「そうなの?」
「そうだ。実際、ワタルの頃に良く分かった。等身が低いというだけで、子供向きだから見る必要がないと見ないで通った連中が多かった。しかし、後番組のグランゾートあたりでやっと面白さが浸透して見られるようになってきたようだ」
「ははあ、こいうことか。もう僕は子供じゃないとアピールしたいから子供向けっぽいアニメは敬遠しているけど、アニメばかり見ている時点で精神的に未熟かも知れない。つまり、大人ではないし、かといって子供とも見られたくない」
「この場合、アニメを見ていることが未熟さの証明ではなく、見るアニメを差別化することで大人に見られようとする態度が逆説的に大人ではない証明になるわけだね」
「本当に大人として見られたければ、大人として振る舞って社会的な役割を担うだけでいいはずだ」
「そのためにアニメを見る時間が削られることも仕方がない」
「つまり、大人になるためにアニメは卒業するものなんだね」
「でも、卒業した後でOBとして見に来るのは構わないわけだね」
「そうだ。でも、もうOBは主役じゃないよ。いつも来られる訳じゃないしね」
「それで、あんたは卒業したの?」
「したよ。まあ、けっこう粘って留年した方だとは思うけどね。今はもう、映画ファンに転向した」
「映画ファンって大人なの?」
「それなりの財力がないと映画館通いはできないという意味で、やはり大人の趣味だろうね」
「いよっ! お金持ち!」
「金は無いんだけどね。でも、いざ本気で取り組んでみると安く見るための方策がいろいろあって、割と金は掛からないことが分かった。それを知るまでに時間を食われたというのもあるかな」
「はっ。ってことは、今更ドラえもんの映画を見に行ったというのも、まさにOB気分? そういう解釈でいいの?」
「OBだ。もとい、OKだ!」