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2010年04月09日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 4231 count

世田谷線前史のまとめ

Written By: 川俣 晶連絡先

 きむらたかし@三田用水さんより世田谷区郷土資料館の特別展の図録に記載があると教えていただき、移動のついでに上町で下車して見てきました。

 『特別展「玉電」一玉川電気鉄道と世田谷のあゆみ一 発行年月日 平成元年12月13日』ということは、これほど昔に詳細な調査が既にあったとは。在庫はもう無いそうですが、図書コーナーで閲覧してきました。

 簡単にまとめると。

  • 元々あった玉川電気鉄道と玉川砂利電気鉄道の計画が統合されたものが、実際の玉電である
  • 玉川電気鉄道は渋谷を起点に三軒茶屋を経て玉川、溝の口に至る計画であり、後の玉電本線とほぼ同じものである
  • 玉川砂利電気鉄道は世田谷村を起点に現世田谷通りを砧村、岡本、大蔵、喜多見、狛江。岩戸、猪ノ方、和泉、登戸、生田に至り、相当する路線は存在しない。世田谷村以東は武相中央鉄道(小田急に似た計画の路線)に接続予定。本社は世田谷村を予定
  • 統合後の建設計画では渋谷から多摩川への路線の他に、三軒茶屋から上町付近までの路線が既に描かれている (経路は今より世田谷通りに近い)
  • 大正9年頃から、世田ヶ谷村の住民等により、陸軍自動車学校(現農大)への延長の働きかけが始まっていた
  • 大正10年6月、三軒茶屋~世田谷、世田谷~下高井戸の免許申請
  • 大正14年1月、三軒茶屋~世田谷開通
  • 大正14年5月、世田谷~下高井戸開通

 というわけで、以下のことが分かります。

  • 2つの別個の計画があり、うち玉川砂利電気鉄道の拠点は世田谷村である
  • この2つは1つに統合された
  • 実際に建設された玉電は、玉川電気鉄道のものであり、世田谷村に便利とは言い難い
  • 世田谷村に便利な支線の建設は必然性が高く、おそらく必須であったのだろう
  • 馬事公苑は当時存在しないが、農大の前身である自動車学校は存在した。従って、駒場との連絡を良くする路線はあると良いと思われたのだろう
  • 砂利輸送ビジネスは、割と上手く行っていた。大正9年に1372mmに改軌してそのまま貨車が市電に入れるようにしたほどである。しかし、玉電と親しい関係の京王は1372mmと市電に乗り入れられる軌道であったが市電との接続は果たしていなかった

 ですから、以下のことが言えます。

  • 三軒茶屋~世田谷は、途中経路は少し変わっているが、当初からの計画通りである
  • 世田谷~下高井戸は、砂利輸送の関係から後から出てきた構想である
  • 世田谷~自動車学校は、期待されたが実現されなかった構想である

 とすれば、三軒茶屋~世田谷、世田谷~下高井戸と申請が分割されていることも解釈できます。

 結果として三軒茶屋~下高井戸は一体として運用されていますが、計画された経緯や意図は全くの別物です。

 従って、世田谷線の世田谷~下高井戸は、世田谷までの計画に便乗し、そこから最短経路で京王に接続する構想として計画され、上町の大曲も、接続駅として下高井戸が選ばれたこともまず「世田谷駅ありき」ということだと思われます。

お礼 §

 きむらたかし@三田用水さん、桜上水Confidentialさん、てさん。ご意見、情報感謝です。

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