「というわけで、もう6月だぞ」
「うん」
「いつまで続くんだ」
「そんなケロロのOPみたいなことを言っても終わらないものは終わらないのでありますよ、ギロロ伍長」
「ケロロ関係ない。このサイトのヤマトネタの話だ」
「そうだな。あと一ヶ月分ぐらいはネタのストックはあるかな。原稿として既に書かれているのが26本。書いていないネタが20個ぐらい。まあ書くか、あるいは書けるかは別の問題だが」
「ヤマトは永遠に不滅?」
「不滅の宇宙戦艦ヤマトはディスコアレンジ。じゃなくて、実は不滅ではないと思えて来た」
「というと?」
「話のゴールはおそらく存在する」
「というと?」
「ヤマトというのは、単純な子供の理屈で割り切れない難しい存在だ」
「うん」
「しかし、割り切る方法が無いわけではない」
「ええ!?」
「というか、そんな方法はない、と思っていたが今はあるという方向に意見を変えつつある」
「いったいどうすれば割り切れるんだい?」
「視野を広げればいいのさ」
「もっと具体的に言ってよ」
「たとえば、戦闘機であって対艦攻撃機ではないブラックタイガーがガミラス艦を沈めるのはおかしいとか、死んだはずのスターシャがべらべら喋るのはおかしいという話があるとする」
「うん」
「しかし、ヤマトの宇宙艦とは実は大型軍用機であるという解釈が入ってきた瞬間に、戦闘機で仕留めてしまうことがおかしくなくなってしまう。常識の範疇だ。また、多くの他の映画でも死人が喋るのが普遍的な表現だと気づくと、スターシャが死んでから喋っても奇異ではなくなる。常識の範疇だ」
「なるほど。スターシャの話はちょっと先取りだけどね」
「予告編だと思ってくれ」
「そうしよう」
「ヤマトは戦艦だから戦艦のイメージで解釈しようとか、死人に口なしとか、そういう小さな硬直的な常識に拘束されているとヤマトは解釈できない」
「だから、もう後半戦に入ったわけだね」
「うん。もう折り返し点は過ぎた感じだ」
「そこまで分かってしまえば、あとは決着まで一気に飛ぶだけだね」
「いやいや。どこでデスラー艦が突っ込んでくるか分からないぞ。あと1回のワープで地球だからと言って油断は禁物だ。百里の道を行く者は九十九里を持って半ばとせよだ」
「今の君に当てはまる言葉だね」
「酒瓶は持ってないけどな」
「若いカップルの記念撮影も眺めてないし」
「まあ、全ては終わってみないと何も分からないってことだ」
「ところで、終わってしまったらどうするの? もうヤマトは見ないの?」
「どうなるのかはさっぱり分からないが、分かっていることもある」
「それは何?」
「ヤマト魂は心に残るだろう。そして、それで十分だということだ」
「ヤマト魂ってのは、ヤマトという作品に燃えるという話ではないわけだね」
「うん。もっと普遍的で大きな話だ」
「それで、万が一またヤマトの映画が出てきたらどうするの?」
「たぶん見るだろうが、ヤマトだから特別ということはもう無いだろうね」
「でも見るのか」
「おそらくな」
「じゃあ最盛期にヤマト映画に行くのと、どこが違うの?」
「気持ちの入れ方が違うだろう」
「というと?」
「特別な何かを見に行くという心情は、おそらく無くなる」
「他の映画を見るのと、心構えにさほど違いはなくなってしまった、ということだね」
「うん。だから去年の年末に4本の映画を見ているが、復活編とレイトン教授では気持ちの入れ方が違っていた。しかし、これからは差が無くなってしまうかもしれない。わかったかね。ルーク」
「なるほど。謎解明!」
「そうだ。フォースを使えばこの問題は簡単だ」
「そのルークじゃない」
「ちなみに、Windows SDKのHeapWalkerは、昔、Luke HeapWalkerと言っていたと記憶するが定かではない」
「既にHeapWalkerなんて付いてないしね」
「話を戻そう」
「というわけで、ヤマト魂だけ残ればいいと」
「うん。逆に言えばさ。視野の広さでのみヤマトは解釈できるということだ。宇宙でものが上から下に落ちると馬鹿にするしったかぶりのオタクも、右翼と叩く左翼も、実は視野が狭すぎた。ヤマトが解釈できなかった昔の自分も視野が狭すぎた。だから、視野を広げていくしかないし、視野が広がってヤマトが解釈できるようになると、もうヤマト卒業ということになる」
「既に卒業したと言ってなかったっけ?」
「学徒動員で暫定的に卒業証書をもらって防空壕掘りにかり出されたけど、終戦で学校に戻って今度こそ本物の卒業証書をもらうような気分だ」
「その頃はまだ生まれてなかったくせに」
「でも、穴を掘って物置を埋めてそこを防空壕にしたという家が生家で、そういう時代のリアリティの空気は何となく受け継いでいるのかもしれない。昭和40年代にできた家に引っ越したあとで生まれた弟の世代ではもう無理だろうけど」
「それで、このあとはどうなるの?」
「まあ書いた原稿が尽きるまでは続くな。少し熱意は落ち始めているが、書いたときの熱意がある文章は熱いぞ」
余談 §
「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語は他人事ではなかった」
「というと?」
「40代になって子供の頃の夢を叶えて運転士になるということは、40代になってヤマトファンとしてどーんと飛躍するという状況も他人事ではないと感じたよ」
「飛躍したの?」
「さあね。それは分からないけど、気分的には飛躍したよ。波動エンジンを始動して離水した気分だ」
「じゃあ次は翼を出すの?」
「そのまま海底軍艦に変形してどこまでも飛んでいきそうだ。じゃなくてだな」
「じゃあなに?」
「光速を突破するようにヤマト世界も突破しそうだ」
「突破してどこに行くの?」
「さあね。でも新八犬伝のように犬の惑星じゃないことは確かだ」