宇宙戦艦ヤマト全記録集TVシナリオ編での発見です。
「宇宙の望郷!!母の涙は我が涙」です。
ここでは森雪ではない看護婦が出てきます。
しかも、タイミングよく佐渡先生に酒をついで、自分も飲み、あろうことは自分も酒瓶を抱えて寝込むほど飲んでしまいます。
このエピソード、他に、「生活班員(女子)」という森雪とは別の女性も出てきます。相原にホログラムを見せるのは森雪ですが、実際に機械を操作するのはこの女子です。
実際のフィルムでは、シナリオ段階であったこういった女っ気が排斥され、森雪が紅一点にされたことが良く分かります。
ということは、複数の女性が出てくるシーンは、単純な「作画上のミス」とも言えなくなります。実際は、「作画した人が間違えた」という単純な話ではなく、「設定変更の変更の伝達が不徹底であり、その結果として旧設定のまま描かれてしまったカットが存在する」のかもしれません。
余談 §
「なぜシナリオと違って、実際に放映されたフィルムでは紅一点になってしまうのか、という問題は実は重要だ」
「というと?」
「名前が無いか、名前があっても無名の登場人物はどんどん出番が減らされていく傾向がヤマトにはある。根本、杉山あるいは山本のようなキャラはあくまで太陽系内でのみ出番がある。太陽系を出たあとで、あえて出てくる名前のあるキャラはレギュラー以外では林ぐらいじゃないかな」
「なるほど。できるだけキャラを絞り込んで、描写していくと女という記号を背負ったキャラは森雪だけでいいと」
「更に言えば、ヤマトは地球に戻らねばならない。第2の地球探しに行ってはならないのだ。それを担保するのは花嫁の有無だ」
「そうか。女が多いとそのリスクが高くなるのか」
「森雪はそういう意味で裏切らないという確信が持てるからヤマトに乗せたが、他の女は乗せたくなかったのだろう」
「そうだね。その方が合理的だ」
「まあ、男のチームに1人ぐらい女がいた方が上手く行くという話もあるので、1人ぐらいは欲しかったのかもしれない」
「うん」
「でも、1人で十分だったのだろう」
「なるほど」
「あ、分かったぞ」
「なにが?」
「つまりだ。減った女性乗組員の代わりがアナライザーなんだよ。立場的に」
「ええっ?」
「森雪の部下であり助手として働くのはアナライザー。しかも、最初は名前すらなく、2話までエンディングではロボットという表記だ。アナライザーになるのは3話以降だ」
「そうか。分析ロボット・アナライザーは本来なら分析するものがアナライザーという普通名詞であり、固有名詞ではなかったわけだね」
「女性乗組員の大幅カットの欠落を埋めるために、アナライザーの出番が大幅に増え、そしてアナライザーが固有の名前に昇格した訳か」
「そう思えば、実は第3話の艦内巡検でフラダンスを踊っていたアナライザーだが、あそこでホログラムと一緒に踊っているのがノリの良い部下の女性乗組員でも良かったわけだ」
「チーフの森雪に、こらと怒られたりしながらね」
「あるいはにっこり笑って背景を変えられちゃったりね」
「それも怖いぞ」
「そうなると、また印象が変わってくるね」
「更に言えば、復活編に女性乗組員が複数いることは、こういうカットされた設定の恨みが出てきたとも考えられる」
「森雪の席に座った折原真帆には、複数の女性の部下がいるわけだからね」