「ヤマトには基本的に護衛の駆逐艦は付かない」
「うん」
「完結編でちょっと同行するが、すぐ単独航行艦に戻ってしまう」
「そうだね」
「サラミス一隻すら付かないのだ。寒い時代だとは思わないかね?」
「サラミスって、どこのガ○ダムですか」
「サラっとミスしちゃった。てへ」
「マゼラン所長! またハンニャバル副所長がとんでもないミスを!」
「いや、そのネタはもういいから」
「それで?」
「だが、戦艦クラスの大型艦で、しかも戦闘行動中に護衛艦が付かないのは変だ」
「ビスマルクは沈んだときに単独だったよね」
「いろいろな経緯で結果として単独になってしまっただけで、計画上は僚艦と一緒に行動しているはずだった」
「なるほど。意図したわけではないのね」
「しかしだ。実は大型軍用機の感覚だとすると、これは分かるのだ」
「というと?」
「単独進入するB-29などもあり得るし、そもそも爆撃機に常に護衛戦闘機が付くわけでもない」
「というと?」
「爆撃機のスピードが上がって戦闘機ではついて行けない、という時代すらあったのだ」
「なるほど。戦闘機無用論の時代だね」
「しかも、百式重爆『呑龍』など、実際に戦闘機抜きで運用できるように設計された機体すらあるわけだ」
「実際には、戦闘機無用は無理だったみたいだけどね」
「だが、重武装重装甲で護衛戦闘機まで搭載しちゃうヤマトなら、無謀とまでは言えなくなってしまう」
「つまりヤマトこそ理想の重爆?」
「そうか分かったぞ」
「なにが?」
「ひおあきら版に出てくる爆撃装備。これを含めると、まさにヤマトは理想の重爆なんだよ」
「敵本土を爆撃して友邦国に着陸して補給を受けて地球を一周して帰還だね」
「でも、実はそういう側面は実際のフィルムからは削られていく」
「爆撃しないものね」
「だから、むしろヤマトは理想の重爆というよりも、理想の大型戦闘機のように扱われていくわけだ」
「なるほど」
「結局、ヤマトは自分を守ろうとしただけで、それは戦闘機的な行動だ。けしてガミラスを壊滅させようとはしていない。そういう意味で爆撃機的ではない」
「ガミラスの地上を破壊したのは、天井都市の全ビルをミサイルとしてヤマトの頭上から見舞ったけれど外れたからだしね」
「爆雷も滅びに手を貸した懸念があるしね」
「だからさ。松本ヤマトはあくまで大型戦闘機であるべきなんだろう。爆撃機であってはならないのだろう。目的はあくまで放射能除去装置を受け取ることにあるのだから。敵を滅ぼすことではない」
「そうか」
「だから、血路を開く波動砲はあっても、爆撃装備は無い方が良いのだろう」
「でも、荷物を受け取る以上、小型戦闘機のイメージであってはならないわけだね」
「うん。だから、大型戦闘機として護衛駆逐艦は要らないが、小型護衛戦闘機は必要だ。それゆえに、松本ヤマトは駆逐艦の護衛無しで飛んでいくが、コスモゼロとブラックタイガーの支援は必要としている」