2010年07月09日
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終末ブームと本当の終末とヤマトの関係

Written By: トーノZERO連絡先

 以久科鉄道志学館というサイトがあり、たまに見るのですが、たとえば「数は力」~~車種統一は鉄道の基本のような話は私の京王に関する話とも重なります。だから、車両を上位下位に分けないで、9000系一本で勝負するのがいいわけです。

 それはさておき、最近では(これを書いている時点の最近)、以下のような文章を見てハッとしました。

 より

 くどいようだが何度でも記す。人口増減率という指標ではかる限りにおいて、日本社会が置かれている状況はきわめて深刻である。なにしろ日本経済の頂点は昭和47(1972)年にまでさかのぼり、それ以降は下り坂をたどるばかりなのだから。40年近い下り坂を経た今日にあっては、人口減少対策を打ったところでもはや手遅れと懸念されてならない。

 ここで問題は1972という年です。これは、1974というヤマトに極めて近い存在です。つまり、この時点で既に「明るい未来」ではなく「終末」に対する予感のようなものがあり、「人類滅亡」を前提とするヤマトを受け入れる余地が社会にあったのではないかと思えてきました。つまり、「人類滅亡」が絵空事ではなく、日本の破局の一種の隠喩として説得力を持ったのかもしれません。

 そこでハッと気づくのは、この時期には終末ブームとでも言うべきものが存在することです。

  • ノストラダムスの大予言(五島勉の著書) 1973
  • ノストラダムスの大予言(映画) 1974
  • 日本沈没(小松左京の小説) 1973
  • 日本沈没(映画) 1973
  • 日本沈没(TVドラマ) 1974
  • 日本以外全部沈没(筒井康隆の小説) 1973
  • 宇宙戦艦ヤマト 1974
  • 猿の軍団 1974

 更に、日本沈没を調べていてこういう文章もありました。

 TV 日本沈没 - allcinemaより

この枠の前の時間にはアニメ『宇宙戦艦ヤマト』が放映されており、当時視聴者は、滅亡していく地球の後に沈没していく日本を見るという、独特の滅亡美に彩られた2作品を続けて見ていたのだ。

 つまり、TV日本沈没からヤマトを逆照射する視点もあり、その場合は「滅亡美」がキーワードになるわけです。ヤマトからTV日本沈没を見ると「わだつみ」や「ケルマデック」の他に「おおくに」のようなオリジナルの飛行メカが目立つわけですが、(自動車を搭載できる飛行艇だったかな?)、人を助けるために奮闘するメカよりも、滅亡に目が行くのが日本沈没視点なのでしょう。どちらもタイムリミットを切られた終末話ですが、結末は180度違い、その結果としての見所も違うわけでしょう。

ということは? §

 日本滅亡へのカウントダウンは実質的に1972年頃から始まったものであり、それに呼応する形での「終末もの」ブームが起こったのであり、ヤマトもその中の1つであったと言えます。

まさか! §

 まさかと思って調べてみると、松本先生が描く「日本の終末」である「ワダチ」も、1973年から1974年まで講談社の『週刊少年マガジン』連載だそうです。ワダチも日本人が世界中から孤立して、日本列島が滅び、瀬戸内海を宇宙基地に埋め立てて膨大な宇宙船団を組んで大地球に全ての日本人が移住していきます。

とすれば §

 だから、1972年頃以降の「日本の栄光」などというものは全てが嘘くさいわけですね。半分詐欺みないなものです。個別の人、組織の話はともかく、国家や民族としては終わり始めているのかも。過去の遺産を食いつぶしながらやってるようなものです。食いつぶせる遺産が割と多いから、「1年」のような短い時間でカウントダウンされないだけ。しかし、遺産は無限ではないので、徐々に日本は終わっていくということでしょう。

 従って、ヤマト復活編が大宇宙船団を率いて新天地を目指して飛んでいく「終末もの」のバリエーションになるのも必然。今の「日本の栄光」なるものが茶番であり、実際の状況は厳しいと思えば、そういう「終末もの」の方が説得力があるわけです。

 そして、その状況から目を背けて他者を見下して負けてはいないと強弁せず、しかし状況は受け入れず、最後まで必死にあがき、融和と対話と協力と協調で道を切り開く中年古代君こそがヒーローということなのでしょう。

 逆に、人類が滅亡するという可能性がほとんど存在しないガ○ダムは、素直に今時の「日本の栄光」を信じられる人たちにしか説得力を持ち得ないのでしょう。

※ ただ、明らかに文明が退行し、過去の遺産に頼らないとやっていけない∀はちょっと違うかもしれない。が、それゆえに∀はあまり支持されていないのかもしれない。

オマケ §

「というわけで、こんなに素晴らしい日本が終わるというのかい?」

「どこが素晴らしいって? 君の目は節穴かい?」

「ほら、はやぶさだって帰ってきたじゃないか (これを書いている時点の話)」

「うん。はやぶさ帰還騒動がそもそもおかしいのだよ」

「え? 苦難を乗り越えて帰ってきて自分は燃え尽きるって泣かせる美談じゃないか」

「美談だと思うかい?」

「だってよく頑張ったじゃないか」

「はやぶさというのは機械なんだよ。機械が頑張る訳がない。人格も個性も無いんだから」

「じゃあ、JAXAの人がよく頑張った」

「うん。それならまだしも、筋が通るがね。あくまで頑張れるのは人であって、物ではないのだよ」

「そうか、はやぶさを褒めるな、JAXAの人を褒めろというべきなんだね?」

「いいや」

「というと?」

「結局、トラブル続きの機械を作らせた人たちだろ? 彼らは褒めるに値するのか?」

「一生懸命頑張ってトラブルを解決したじゃないか」

「だからさ。そもそもトラブルの原因を作った当事者でもあるんだよ」

「でも、未知への冒険というのは、そういうものだろう? 失敗は当たり前じゃないか」

「そうだ。だから、徹底的に対策を取るのが基本だ。予行演習的なミッションを繰り返してできるだけ未知の要素を減らして、しかも失敗のリスクを想定して二重化多重化するのも基本だ。アポロは月着陸の前に月を周回させているし、そもそも着陸したのは11号になってからだ」

「おいおい」

「ボイジャー等も2機ずつ飛んでいるしね」

「何が言いたい?」

「結局、今回の件は経験不足を露呈しただけで、更に言えば経験を積むだけの予算が日本では確保できないことを示している。つまり、国家予算がそこまで提供できないわけだ。万一に備えて2機セットで飛ばせておく、ということもできていない」

「でも、今回は帰ってきたからいいじゃないか」

「戻ってこなかったらJAXAの存在意義が揺らいでしまうからな。みんな必死に頑張るだろうさ」

「日本の高い品質術と努力があれば、探査は成功するのではないか?」

「おいおい。これほどトラブル続きの探査機を作った日本製品の品質のどこが高いんだ?」

「えーと……」

「今回は奇跡的に戻ってきたけど、奇跡というのは滅多に起きないから奇跡というのだ。同じノリでもう1回打ち上げてまた奇跡が起きる可能性はあまり無いと思うな。奇跡なめんじゃないわよ!」

「いよっ。イワさん!」

「いやそれはいいから。あたしオカマじゃないし」

「さすがに同じ問題はもう起こさないだろう」

「違う問題が起きたとき、どうするのだ?」

「それは……」

「本当なら予行演習であらゆる問題をたたき出すような作業が必要だが、それをする予算もないのだろう」

「何が言いたいんだい?」

「今回の件は、日本の技術や品質が優れているという虚構を信じ込んで背伸びしすぎたのではないか、という気もする。まあ当事者ではないので、気がするだけで本当かどうかは知らないがな」

「つまりどういうことだい?」

「ちょっと背伸びパンツの紐が切れたってことだ。でも奇跡的に結び直すことができただけ。でも次は手が届かない場所で切れるかもしれない」

「ちょっと背伸びパンツって、子供ティファの部屋を家捜しするんじゃない」

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