2010年09月16日
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重巡もとい従順という問題とヤマト

Written By: トーノZERO連絡先

「オタクやネットの害の1つは、従順すぎる人が多いという点にある……かもしれない」

「従順?」

「炎天下でも極寒でも並べと言われると並んでしまうし、怪しげなサイトでもすぐ中身を信じてしまう」

「怪しげなサイトを怪しげなサイトが叩くと、すぐ叩く側を信じるとか。そういう話?」

「Aという主張とBという主張が対立したとき、どちらが正しいかという風に捉えて、批判する側に立ちたがる傾向はあるのかもしれないが、実際のところネット上で起こる論争というのは両方ともトンデモということが多いのではないかな」

「なぜだろう?」

「一方がまともだと論争が成立しないからかもしれんな」

「みんなまともな方に付いちゃうから、議論にならないね」

「それ以前にアホらしいから喧嘩を買わないだろう」

「同じ水準に降りて論争するとアホらしいよね。当然の前提も踏まえていない相手だ」

「うん。そうだ。論拠が明瞭ではないどころか、本人も主張も矛盾してたりしてね」

「でもその話とヤマトはどう関係するの?」

「関係大ありだ」

「というと?」

「さらば宇宙戦艦ヤマトは、ヤマト乗組員が反乱を起こして地球を飛び出すわけだ」

「うん」

「問題はそれついての感想にある」

「というと?」

「まず、反乱は間違ったことで、軍人は命令をこなすべきであるという主張があるわけだ」

「うん。一般論としては間違っていないね」

「その通りだ。一般論としては間違っていない」

「そうだね」

「でもさ。困っている人がいるときに、手をさしのべる余裕があって、手をさしのべることをためらうこともやはり間違いではないかな?」

「それは、愛の問題だね」

「うん。だから、ヤマト乗組員の行動が間違っていたのかといえば、そうとも言い切れない」

「そうだね。さしたる理由もない反抗なら、これほど味方が増えるわけがないよね」

「藤堂も味方なら土方も味方になってくれる。斎藤も味方として参加してくる。コスモタイガーも参加してくれる」

「そうだね。土方が艦長就任を受け入れたのは、藤堂のお墨付きが付く前だ」

「では、それを間違っていると言ってしまえる根拠はどこにあるんだろうか」

「あれ、急に話が難しくなったぞ」

「話を最初に戻そう」

「従順すぎるという問題だね」

「そうだ。従順すぎるということは、秩序への反逆という思想が存在しないことを意味する。発想がないと行動できないからね。そして、秩序への反逆という思想が存在しない者達に、やるべきことを行うためにかりそめの秩序に逆らうという発想は理解できない」

「なるほど。この2つの問題は連動している訳か」

「そうだ。おそらく連動している。今になって分かったのは遅すぎという感じもあるけどね」

「しかし、なぜ従順すぎる子供達が量産されてしまうのだろう?」

「実は戦前戦中戦後に反逆の思想は珍しいものではない」

「226事件とか?」

「そもそも太平洋戦争あるいは大東亜戦争も欧米秩序への反逆だ」

「なるほど」

「そもそも、強烈な思想統制が行われたということは、裏を返せばそこまでして取り締まらねばならないほど強烈な反逆思想があったということだ」

「戦後になっても学生運動とか凄かったものね。片足を戦争に突っ込んでいる」

「ヤマトという作品は、その時代の空気を引きずった最後の作品なのかもしれない」

「ガ○ダムはもう引きずってないわけね」

「だから、ここで1つの世代的な断絶がある」

「でも、それほど厳密ではないよね」

「地域差や個人差もあるから、同い年なら同じとも言い切れない」

「そうか。だから君は境界線のこちら側にいるが、それはかなり同世代にあっても異端ということだね」

「そうだ。だから、女立喰師がレバノンに行って戦っていてもこちらは素直になるほどと思えるけど、たぶん境界線の向こう側にいる人たちは理解できない。頭で理解した気になっても、心情が理解できない」

「あ、それってもしかして。勘違いした押井叩きの理由じゃないか?」

「そうかもしれない。押井守は境界線のこちら側に間違いなくいる。でも、オタクのメジャー層は境界線の向こう側にいる。彼らが無理をして分かった気になっても分かるはずがないので、ダメな押井というレッテルを貼ろうとする。映像は綺麗たっだけど話は意味不明だったと言いたがる」

「じゃあ、そろそろまとめてよ」

「文句も言わず、炎天下や極寒で静かに並んでいるのは、けして褒められることではない。って今思い出した」

「何を?」

「大阪万博批判だ」

「批判されているの?」

「最初から茶番でミエミエで白けていたという話もある。でも、おいらはそれほど悪い印象を持ってない」

「どういうこと?」

「おいらは、月の石を見てないのだ。親が行列の多いパビリオンを避けて空いているマイナーなパビリオンを回ってくれたのだ。右も左も分からない子供のおいらはそれに付いていったのだ」

「そうか。行列に並ぶか並ばないかという問題はそこにつながるわけか」

「万博批判が、本質的に大人しく行列して月の石を見る行為への批判にあるとしたら、おいらも大賛成だ。万博を契機にマイナーな国の文物が持ち込まれて展示されるのなら、それを見るのが人生を豊かにする秘訣だろう。そもそも、並ばなくていいわけだしね」

「マスコミで大人気のパビリオンに殺到することはない、ってことだね」

「ぜんぜん話がまとまらないな」

「ははは。いつものことだ」

「でも徐々に見てきたよ。ヤマトが1974年で大阪万博が1970年。やはり境界線はこのあたりにある」

「でも、厳密な線ではないわけだね」

「うん、曖昧な境界だ」

オマケ §

「ちなみに、行列は嫌いだ」

「へぇ」

「だから、さらば宇宙戦艦ヤマト初日の驚くべき行列に嫌気がさして帰ってしまった」

「もう今回は見られないって言われていて、なお行列して待つ気は無かったということだね」

「考えてみれば行列回避は、大阪万博の時に既に親から刷り込まれていたのかもしれないな」

「なるほど」

「そもそも、世の中の大勢に逆らってのヤマト趣味なのに、こんなに人が集まるのは理解不能だったしね」

「ははは。そこは本当に意味不明のヤマトブームだったね」

「まあ、ブームってのは意味じゃなくてノリなんだろうけどな」

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