「実写版ヤマトをうだうだ無目的に語ろう」
「うん」
「それで君の期待度は?」
「高いぞ」
「その理由は?」
「なぜなら、ヤマト第1シリーズで絶対イチオシのエピソードは第22話 決戦!!七色星団の攻防戦!!でもなければ、第24話 死闘!!神よガミラスのために泣け!!でもない。まして第25話 イスカンダル!!滅びゆくか愛の星よ!!でもないし、第26話 地球よ!!ヤマトは帰ってきた!!でもない。ヤマトが一発も撃たないどころか敵も出てこない第10話 さらば太陽圏!!銀河より愛をこめて!!だからだ」
「なるほど」
「ノベライズが実際の映画に忠実だとすると、この通信エピソードを飛ばしていないのが、強力に期待する理由だ。つまり、旧劇場版よりも、私の心は……。はるかに実写版に近い」
「デスラーみたいに顔を真っ青にして力説しないでよ」
「まあ、実際に見ないと何事も分からないけどな」
「でも、きっと映画が公開されると『XXがXXじゃないからダメだ』的な意見がぼろぼろ出てくるね」
「きっと、ヤマト愛に満ちているふりをしたアンチからね」
「ははは」
「映画が面白くなかったら自分は面白くなかったと言えばいい。単純な話だ。映画が客観的に間違ってるとか、作り手が無能とか、無理矢理屁理屈を付けようとしなくていい。それよりも、少しは頭を使ってなぜ違うのか違う理由を考えてみろよ」
「それはきっと無理だろうね。前提となる知識や見識があまりも足りない」
「ははは。まあ2011年の正月映画なんだから、ここ2~3年の映画の流れを見た上じゃないと適切かどうか判断できないけど、ちゃんと映画見てる人もあまりいない感じだしね」
「萌え映画なら見てますってことかもよ?」
「映画界のトレンドが分かるというにはあまりに脆弱」
「上映劇場少ない映画ばかりらしいしね」
「あるいは、昔のヤマト見て、ガンダムの映画全部見て、突然復活編とか実写版とか見に来ても分かるわけがない。おそらく、想定されている観客層はそういう人たちじゃない」
「XXがXXじゃないヤマトって、ヤマト2時代から既に山ほどあった話だしね」
「それをいうなら再編集の劇場版で既にあった話だ。だからそういう文句を言う連中はその時代を既に乗り切れてないわけだね」
「乗り切れてないのに、大きな顔ができるの?」
「ガ○ダムという魔法の呪文を唱えるとできちゃうからね」
「難しい話だね」
「難しいけどよくある話だよ。そもそも、コミック版ナウシカの結末を、いい結末として理解できず、乗り越えられない人は何ら珍しくない。その上で、あれだけ観客を動員したもののけ姫を失敗作と切り捨てようとする」
「コミック版ナウシカの結末的な世界観があらためてフィルムに定着したのがもののけ姫ってことだね」
「かもしれない」
「失敗作でこれだけ客が呼べたら、どんな映画もこけないで済むね」
「言ってることがどこかおかしいが、結局、問題にならない。なぜかといえば、最初からあり得ない結論を言いくるめようとする詐術の中で浮上した表現に過ぎないからだ」
「それも、酷い言い方だな」
「だからさ。映画なんてたかが娯楽、嗜好品なんだから、好き嫌いがあって当然。俺は面白くなかったって言えば簡単に終わるんだよ。無理をして映画の出来が悪かったとか、スタッフがバカだったか、西崎がバカだったとか、宮崎がバカだったとか、そういう屁理屈をこねるから話がこじれておかしなところに行く」
「でもさ。一度その世界にはまるともう戻れないんじゃない?」
「どうして?」
「1回そういうことを言っちゃうとさ。もう訂正できない。訂正すると、まるで自分がバカでしたと認めるようなものだから、同じ路線で最後まで貫徹するしかない」
「いいじゃん。どうせ人間はみんなバカなんだからさ。認めちゃえよ。俺もバカ。君もバカ。OK?」
「その勇気がないんだよ」
「やれやれ」
「じゃ、映画館行くか」
「バーカー、やってちょうだい」
「はい、お嬢様」