「とても凄いものを見たんだ」
「テレビの見過ぎ?」
「いやテレビの話」
「なに?」
「家族が歌番組を見ていた。すると、ささきいさお大先生登場。なんとヤマト熱唱」
「ほほう」
「しかも、バックは立派なオケ」
「なんと」
「そして、2番まで行った! これぞ戦う男の燃えるロマン!」
「すげえ」
「しかも、間奏にアドリブ入ってる。ヤマトの間奏じゃない」
「なんですと」
「ホルストの惑星の火星かな。咄嗟のことでよく憶えてない。というか、どの曲が思い出す前に終わってしまった。聞き覚えのある曲っぽかった」
「なるほど」
「大人の懐かし歌番組で、渋い演歌や歌謡曲と並んで、ヤマトやささきいさおが認知されて歌えるのはやはり時代なんだなあ」
「そういう時代か」
「あと、実写版公開間近という時代背景もありそうだ」
「今がいちばんいい時代というわけだね」
「しかしさ。ここで今思ったのは、こういう実写系テレビの世界では、ヤマトの受けが凄くいい。ストレートにヤマトいいね、と言う感じで受け止めてくれる」
「そうか。アニメ方面に行くとヤマト禁止法だもんね」
「うん。アニメ方面や出版方面でのヤマトの受けはあまりいい感じではない」
「でも、映画館や実写のテレビは違う訳か」
「うん。どうやら違うみたいだ」
「あっちは、ケッ。しょせんキムタクかよ、みたいな感じかね」
「それを言うと、キムタクを声優に抜擢したアニメも傍流の感じが否めない」
「ハウルを含むジブリ作品は完全に我が道を行ってるし、レッドラインも新聞に載ったりした割には知る人ぞ知る感じだね」
「でも、オレに言わせればよ、キムタク蔑視は踏み込みが一歩足りねえ解釈だな」
「出た、リアルジョリリ」
「ちなみに、好きな飛行機はジョリーロジャース・カラーのF-14トムキャット(大嘘)」
「それはいいから」
「もちろん、だからといって一般人が根本杉山で一晩しゃべれるとは思ってない。というか、そんな名前は知らない」
「うん」
「でもさ。ヤマトの3文字を言った瞬間に罵詈雑言を聞かないで済むという安心感はありそうだ」
「それは重要だね」
「それがコミュニケーションの起点だからね」
「相手の話を聞く前に相手を貶めて優越感に浸ろうとしたら、コミュニケーションなんて成立するわけないもんね」
「その場でいい気分に浸れるだけで、あとあと損をする(かもしれない)のは自分だって発想はきっと無いよ」
「じゃあ最後にまとめてくれ」
「キャプテン(艦長)、今日の格言!」
- 「ささきいさお大先生も年を取ったが、やはり歌を聴くと泣ける!」
「以上、(ぽぽん)」
「なんかもう引き返せない世界に入った感じだな」
「そうさ。引き返せないぜ流星ボーイ!」
「わお」
オマケ §
「で、引き返せないのは分かったけど、どこまで行きたいの?」
「完全燃焼で真っ白に燃え尽きること」
「あしたのジョーじゃあるまいし」
「実はヤマトで完全燃焼ってしたことがないんだ」
「おっと」
「昔のヤマトの時は、まだ若すぎてムーブメントの中核には乗れなかったし、復活編の時は少し距離があった。ダメでもともとという感覚で見てしまった。だから今回が完全燃焼できる最初でおそらく最後のチャンスなんだ」
「で、完全燃焼すると何が起こるの?」
「たぶん、ヤマトを卒業できる」
「おっと。それは大事だね」
「そうさ。重大事だ。重爆撃機に匹敵する重大事だ」
「ドリルミサイル装備のね」
とはいえ §
「実は真剣に憂慮すべき事態が起きている」
「なに?」
「赤坂サカスの波動砲発射が朝鮮半島の戦争の煽りで中止になっているらしい」
「なんと」
「タイミング悪すぎ」
「でも、因果関係が良く分からないね」
「まあね」