「ファミマからヤマトが消えた話はもうしたな」
「うん」
「でも、全ての店から消えたわけではなかったようだ」
「えっ?」
「久我山駅南店だ」

「なにこれ」
「レジにもヤマトの宣伝が残ってたぞ」
「なるほど。確かに5分や10分でなくなるものでもないわけだね」
まだまだある §
「実は、テレビでもCMが入ったのを見てしまった」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトのCM?」
「いや厳密に言うと違う。撮影で使った古代の服をプレゼントとかなんとか、そういうキャンペーンのカレーCMだったようだが、まあテレビの画面でヤマトが飛んだことは確かだ」
「へぇ」
「まさに、5分や10分でなくなるものではなかったわけだね」
「うむ」
「でも、今にも消えそうな勢いだぞ」
「溶けきる前に火山脈を発見して波動砲を撃てればヤマトの勝ちなんだろう」
「そうすると、デスラーも笑って喜んでくれるね」
「ヒスがおかしくなられていると誤解するぐらいにな」
「じゃ、発見できなかったら?」
「デスラーが期待はずれでがっかり。思わず言うんだよ」
「なんて?」
「うっすらぱーですら」
「何か違う」
感想 §
「しかし、客観的に見てヤマトの勝機はあるのだろうか?」
「1つだけ言えることがある」
「なんだい?」
「年末年始は映画のかき入れ時だ。従って、GWとか夏休みと並んで重要なタイミングだ」
「それで?」
「だから、各社ともラインナップを充実させてくる。特に子供向けを意識した映画は集中する。長期休暇の時期がかき入れ時だからね」
「そうか」
「だから、年末年始にアニメや特撮の映画がどっと来る。オーズ、戦隊、イナズマイレブン、トロンもその範疇だな。あと、なんだっけ、熊のアニメとか、チェブラーシカとか。更に通常の実写映画もこの時期に大作をぶつけてきたりする。映画館のラインナップも大混雑さ」
「だから何がいいたいわけ?」
「つまりさ。年末年始の映画は12月の中旬以降から1月中旬ぐらいまでに、おおむね上映を始めることが多い。でも、SPACE BATTLESHIP ヤマトはそういうった年末年始の映画よりも早く12月1日に上映を始めた」
「早すぎて腐っていたと言いたいわけ?」
「いや、そんなクロトワが巨神兵を論評するような話をしたい訳じゃない。多数の映画が並んで印象が散漫になる前に上映できたことは、SPACE BATTLESHIP ヤマトにとって良かったのではないかと思うんだ」
「強い印象を残せたってことだね」
「その代償として、群雄割拠の現在、SPACE BATTLESHIP ヤマトの存在感が古びて後退してしまうのは致し方がない」
「新鮮さでは、上映開始直後の映画に見劣りしちゃうってことだね」
オマケ §
「ところで、やっと分かってきたのだが、オーズのテーマは欲望らしい」
「欲望か」
「だからオーズの主人公はその対極として欲望が希薄な人間となる」
「明日のパンツがあればいい、という欲のない主義だね」
「そこで、はたと考えた」
「何を?」
「ヤマトと欲望だよ」
「ヤマトはあまり欲望とは関係無いだろう。死にたくないから放射能除去装置を取りに行っただけで」
「うん。そうなんだけどさ。実は凄くストレートに『素晴らしい!』と褒め称えられるような凄くストレートな欲望が出てくるんだ」
「どこ?」
『ヤリタイコトヲ オサエテイテハ ボクハ コワレテシマウ』
「なるほど。アナライザーだね」
「それを抑えるのが人間だと諭されるけどね」
「でもさ。沖田艦長はアナライザーのスカートめくりを止めようとしないんだ。森雪が直訴してやっと何かそれらしいことを言って誤魔化すだけ」
「ええっ?」
「ヤマトはそういう意味で、ある種の欲望を乗せた船なんだ」
オマケめくり §
「今気付いたのだが」
「なに?」
「なぜアナライザーはヤマトに乗れたんだろう」
「はて、なぜだろう」
「押しかけて乗り込んだ唯一の乗組員なんだ。少なくとも最初の旅では」
「そうだよね」
「でも、アナライザーの勝手な口上を聴いただけで、沖田は乗せることに同意する」
「そうか。それはおかしいわけか」
「そうだ。でも1つのアイデアが浮かんだ」
「どういうアイデア?」
「森雪はアナライザーより先にヤマトで待っていた。沖田と一緒にね」
「うん」
「何を話していたんだろう」
「さあ、なんだろうね」
「森雪は島の部下だから、沖田が島抜きで仕事の話をするわけがない」
「うん。じゃあ何だろう。世間話?」
「どんな世間話だと思う?」
「そうだな。ヤマトに来る前の職場の話とか」
「佐渡の話はここではできないよ。だって、ヤマトの人事に関わる話になると島抜きではできないから」
「じゃあ、アナライザーの話だ。まだ乗るとは決まっていないから人事関係無い」
「そうだ。アナライザーというロボがスカートをめくって困るという話をしたかもしれない。あるいは、そういう職場からヤマトに乗れて、アナライザーから縁が切れて良かったと言ったかも知れない」
「ちょっと待てよ。おい」
「なんだ?」
「それじゃ、沖田はアナライザーがスカートをめくると知った上でヤマトに乗せたみたいじゃないか」
「そうだ。沖田は森雪のスカートめくり要員としてアナライザーを乗せることに同意した可能性がありえる」
「ええっ!?」
「長い航海、それぐらい羽目を外す要素は必要だと思ったのかも知れない」
「なんと」
「だから、アナライザーにはスカートをめくれという密命が下され、森雪には乗組員の目を楽しませるためにファッションショーをやるという示唆が与えられていたのかも知れない。沖田の手に寄ってね」
「計画的スカートめくりじゃないか。なんてセクハラだ」
「だから、沖田が実権を握ったヤマトでしか、スカートはめくられない。完結編の短期航海でもスカートめくりの指示は出ていない。短期なら志気を維持する必要がないからだ」