「この話題は、もっと早く公開する予定だったが、遅れた」
「そうか」
「けっこう大きな話題だぞ」
「誰にとって?」
「おいら」
「一体何に驚いたの?」
「では話を始めよう」
「頼むよ」
ショック §
「実はショックを受けた」
「どこに?」
「キネマ旬報のヤマト特集で、さらばの最後は舛田利雄監督の『零戦黒雲一家』なのだと書いてあった」
「なるほど。元ネタがしっかりあるとすれば、特攻描写の是非の判断が揺らぐね」
「でも、そういう説明がさらっと入るのがキネマ旬報ってことだろう。アニメ雑誌なら入らないかも知れない」
「確かに」
「で、もう1つ気付いたのだ」
「なに?」
「押井守監督のパトレイバーの第1作(アーリーデイズ)の第1話に、篠原が言っているのだ。うろ覚えだけど、零戦なんとか一家っていう、整備員がみんなヤクザで、飯盒炊飯やって、友情するクサイ映画って」
「まさか……」
「この映画かもしれない」
「ええっ?」
「とすれば、押井守が浸った映画世界と、ヤマトの世界は隣接している地続きの世界だってことになる。というか、より大きな映画世界の中にまとめて包含される立場なのかもしれない」
「それは驚きだ」
「いや、驚くのはまだ早い」
「というと?」
「零戦黒雲一家の主演は石原裕次郎。我が青春のアルカディアのファントム・F・ハーロックだよ」
「スタンレーの魔女もびっくり」
「こうして世界はつながっているんだね」
というわけで §
「いずれこの映画も見てみたいな」
「12人の怒れる男達も午前10時の映画祭で見られたし、いずれ機会はあるさ」
「そうだね。焦らず待つことにしよう」
「しかし、これはミッシングリングが見つかった感じだね」
「どうも居心地が悪かったさらばのラストを解釈する方法がついに出てきた感じだね」
オマケ §
「こういう話題に反応できるのは今だからかも知れない」
「昔なら目に入っても意味不明で頭を通過したかも知れないってことだね?」
「あと、子供時代に戦争映画もけっこうテレビで見たよ。SFっぽいのとは別にね」
「そうか」
「劇場で見たのもあるな。ミッドウェイとか」
「でも、零戦黒雲一家は見てない訳か」
「その頃、子供が見やすい時間にテレビでやらなかった。それだけだ」
「運が悪いね」
「黒雲が漂って、あるはずなのに見えなかった」