「燃え尽きたぜ。真っ白に」
「お疲れ様」
「しかし、クロスカウンターを食らって宿題が残った結末であった。ははは」
「なんだいその宿題は」
「まあ待て。話は順番に行こう。劇場に行くまでが長いのだ」
MEN'S NON-NO 3月号の話 §
「劇場に行くには電車に乗らねばならん」
「そうだね。運良く地元に映画館があるなら別だけど」
「自家用車で移動する人たちも別だ」
「それもそうか」
「公用車で移動する人たちもいるかもしれない」
「おいおい」
「船で……」
「いい加減にしなさい」
「飛行機で……」
「もういいぞ。ボケが長い」
「というわけで、おいらは電車に乗るために某駅に出向いた。そして、まだ乗りたい急行までちょっと時間があったので改札前の本屋を覗いた。そこでびっくりした」
「何を?」
「よく知っている顔の男が2人、腕を組んでいる表紙の雑誌があったのだ」
「誰と誰?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトの主演の人とワンピースの主演の人」
「は?」
「よく考えるとこの組み合わせはおかしいんだ」
「木村拓哉は生身でルフィは絵だってこと?」
「そうじゃない。ルフィの声優は田中真弓さんだぜ。ぜんぜん関係無い」
「そうか。SPACE BATTLESHIP ヤマトの主演として顔が出るケースと違って、ルフィと並んで顔が出る理由が無いわけだね」
「ぜんぜん趣旨が意味不明に思えたので、結局買ってしまったよ」
「金欠なのにけっこう高いんだろ?」
「そうだ。でも、買ってみて良かった。理由は良く分かった」
「いったいなぜそんなMEN'S NON-NOが売られているわけなんだい?」
「以下の3つの理由がおそらく複合して実現したマジックだろう」
- 木村拓哉はMEN'S NON-NOの表紙30回目だそうだ。つまり、常連。彼が表紙にいても元々違和感が無い雑誌
- MEN'S NON-NOを出版する集英社はワンピースをプッシュしたい
- 木村拓哉自身、けっこうなワンピースファンらしい
「でもさ。ファッション雑誌だろ? なぜワンピースなんて出していいの?」
「コスパとかさ。あのへんのアパレル関係の業者がやってるキャラクター商品には大きく分けて2つの方向性があるのが分かるかい?」
「2つ? コスプレ衣装以外にもあるの?」
「あるある。1つはもちろん作中の衣装の再現だ。人気アニメXX学園の制服を忠実に再現という感じの衣服だ。もう1つは、かっこいいシンボルとしてアニメのキャラや台詞、シンボルなどを取り込んだTシャツなどだ。たとえば、ジオンのマークが入ったTシャツとかあるよね」
「それで?」
「だからさ。後者の系譜は明らかにファッション性が高いわけだよ。たとえばセーラームーンのコスチュームで街を歩いたら明らかにおかしいけどさ。ホワイトベース隊のシンボルマークが背中に入ったトレーナーを着て歩くのは別におかしくない。実際、MEN'S NON-NOには『ゴムゴムのガトリングバンダナ』がオマケに付いていたぞ。もちろんコスプレ用じゃない。ルフィのトレードマークは麦わら帽子でバンダナなんて巻いてないからな」
「ああ。分かったぞ。僕らは色眼鏡でオタクの世界はファッションなんて無縁と思っているが、実際にはオーバーラップしている領域があるわけだ」
更にMEN'S NON-NOの感想 §
「木村拓哉さん、ワンピースのキャラはみんな好きと言っているが嘘では無いだろう」
「どうして?」
「おいらも言いたいことは分かるからさ」
「なるほど」
「他にはライダーの話があるのもいいね」
「どうして?」
「最近、おいらもライダーずっと見ているからさ」
「ははは」
「あと、間食はしないというのもいい話だね。間食すると食事の時のお腹が空かないという理由もいいね」
「じゃあ、このMEN'S NON-NOは君としてはオーケーなのかい?」
「大オーケーだ。面白い本を買って良かった」
「ワンピースと木村拓哉さんの間に実際にはあまり縁がなくても?」
「いやそうでもない。過去の発言をたぐると分かるが、おいらはかつて、ヤマトの後継者はガンダムではなくワンピースであろうと述べている」
「えっ?」
「だからさ。直接的な後継者ではないが、海と船路線の後継者はワンピースになるんだよ」
「そうなの?」
「人類滅亡の日(エース公開処刑)まであとXX日!」
「うはは」
「そういう意味で、ここに木村拓哉さんとルフィが並んでいる写真があるのはまるで自説の証明みたいに見えて尚更驚くのだよね」
MEN'S NON-NOの感想完結編 §
「以上でMEN'S NON-NOの感想を終わる。以上」
「おつかれさま」
「と思ったら違った」
「えっ?」
「木村拓哉さんのページが終わって2回めくったら黒木メイサ」
「ええっ?」
「そっちもヤマト関係無い企画なんだぜ。100人の美女という記事で黒木メイサさんはその1人に過ぎない。でも、2回ページをめくったら黒木メイサさんなんだよ」
「ははは。それは楽しい構成だね」
売店 §
「売店の横のコーナーは、半分があしたのジョー主演が表紙で、残り半分が木村拓哉表紙本であった。AKB48は別コーナーで勢力を拡大していたが、まさか最終日を迎えるヤマト関連本の割合がこれほど大きいままとは思わなかった。これもヤマトマジックだろう」
席はB6 §
「府中の劇場のプレミアスクリーンでB6という席を確保した」
「B6? G2とかL5と違ってネタにならない番号の席だね」
「馬鹿者、そんなことをオールド鉄道ファンに言ってみろ」
「えっ?」
「B6つうたら明治時代の有名な蒸気機関車だぞ」
「デゴイチしか知らない……」
「シロクニぐらいしっておけ。999の牽引機関車だ」
「それなら知ってるかも」
席はB6再び §
「府中の劇場のプレミアスクリーンでB6という席を確保した」
「B列の6番目だね」
「B列のほぼ中央として確保した席だが大当たりだ」
「そんなに?」
「いい席だ。無駄にするな。と言いたいぐらい良い席だ」
「というと?」
「ともかく目の視野角に対して適切なスクリーサイズなのだ。画面のコーナーまで楽に視界に入るが、細部を観察するアップにも適する。しかもほぼ正面。ベストバランスだ」
「そうか。B6がいいのか」
「いやいや。それは府中のプレミアスクリーンの話。席の配置とスクリーンサイズなんて劇場ごとにいくらでも変化するからさ。それに人の好みもある」
日本の家は高すぎる! §
「結局、タマホームは最後の上映までヤマトを応援してくれた。足を無向けては寝られない」
「どっちがタマホームの方角なんだ?」
「日本全国らしいから全方位にタマホームがあるっぽいぞ」
「じゃ、どっちを向いても寝られないじゃないか」
「ぎゃふん」
「話は終わりかい?」
「実はタマホームをずっとサマホームだと思っていたが、聞いていると確かに聞き間違いやすい発音だった」
「そうか」
「でも、画面に出ている文字は確かにタマホームだったみたいだ」
客数 §
「満席の可能性はあくまで最悪のケースに対するリスクを配慮しただけで、別に満席になるとは思っていなかった」
「そうか」
「昔、某映画の最終日最終回を見たがガラガラだった経験からすると、どこまで客が来るが怪しいレベルだと思った」
「じゃあ、ガラガラだったの?」
「いいや、紙兎ロペ開始時に既に自分以外に10人はいた。最終的に15人ぐらいだと思う。1~2人のずれはあるかもしれないが。でもおいらを入れれば15人を超えるのは確実だろう」
「へぇ」
「だから、席が空いているという意味でガラガラは確かにガラガラなんだけど、予想以上に客は入ったと思う」
「もう1週間ぐらいアンコールで上映してもいいのにね」
「最終日だから人が来るのだろう。まだ続くと分かったら来ないかも知れないよ」
ジョーコール・アイデア不発 §
「実は1つアイデアがあった」
「なに?」
「無限に広がる大宇宙……とナレーションが入ったらジョーに対する声援をみんなで飛ばす。立て、立つんだ、ジョー!」
「それで?」
「劇場の人が混乱する。あしたのジョーは明日からのはずなのに」
「でも、実際はコンドルのジョーに対する声援ってことだね」
「たぶん、最終日にヤマト見に来るような客なら8割は意味を分かってくれると思ったけど、結局みんなに呼びかけて実行することはなかった」
「なぜ?」
「思いついたのが遅すぎて声を掛けるのが手遅れ。それに8割が分かっても2割の客に悪いしね」
ナウシカ §
「昨日はSPACE BATTLESHIP ヤマトにナウシカが入っていると書いたが、もう1つ見つけてしまった」
「なに?」
「腐海(ガミラス星)で『綺麗』と言っちゃう」
「確かにそうだね」
チーム古代? §
「かなり前に佐々木や太田が識別可能になったのだが、でもまだ不足だった」
「えっ?」
「今度はチーム古代を識別したくなった」
「加藤山本古屋あたりは既に分かってるんだろ?」
「まあな。でも、杉山や飛田のあたりは良く分からない」
「どうしてチーム古代なんだ?」
「結局、ヤマトには彼ら以外にもパイロットが大勢いるから彼らだと識別して解釈できることが重要だと思ったからだ」
「それで?」
「少し区別が付いてきたが、まだ曖昧だ。しかし、深める前に上映が終わってしまった」
藤堂 §
「何回も見ていると見所がどんどん変わってくる」
「というと?」
「昔は沖田を見ていたが、今は藤堂だ」
「何を見てるの?」
「沖田にヤマトをくれといわれて藤堂は驚く。最初、自分だけ逃げ出す気かって驚きもある表情だが、話を聞いて徐々にもっと壮大なスケールの話だと理解して表情が変わっていく」
「その表情の変化がいいわけだね」
「あとさ。波動砲発射後、藤堂の司令室で別カメラの映像が出せますと言った女性。彼女は偉い。自発的になすべき仕事をしている。一方で、『ヤマト、無事です』と叫んだ男はちょっとオーバーアクション過ぎ」
「思い入れが深すぎてオーバーアクションになっているという演技じゃないの?」
「ならば、もうちょっと工夫の余地があると思う。藤堂の渋い演技に上手く噛み合ってない感じだ。老獪な役者ならもっと上手く演技できると思う」
カメラの問題 §
「俳優を写すカメラは凄く上手い。舌を巻くほど上手い。フレームアングルもいいけど、自由に振り回す動きも見事」
「そのへんの感想はまだあまり出ていなかったね」
「最後になって出てくるとは奥が深いぞ」
疑惑 §
「良く分からないのだが、カット入れ換え疑惑が出てきた」
「は?」
「車の運転台に、空間騎兵隊員が死んだ運転手の代わりに入るカットがある」
「うん」
「そこ、昔は斜め前から見たカットだった気がするが、今日は斜め後ろから見たカットだった気がする」
「それで?」
「他にも何カ所か『あれ?』という部分があった。アナライザーが壊されるシーンが少し長いような気がする等だ」
「それは客観的な事実なの?」
「それが分からないから悩んでいる。単に見ている側の体調や気分や席の位置に依存する印象の差でしかないのか、本当の違いなのか、何も確信を持てない」
最終まとめ §
「では最後にまとめてくれ」
「燃え尽きたぜ。真っ白に」
「どれぐらい真っ白になったの?」
「そりゃもう、帰るときには一切の寄り道を考えられず、まっすぐ帰ったほどだ」
「時間にゆとりがないってこと?」
「いやいや。自分の心にゆとりがないってことだ」
「心が燃え尽きてるわけだね」
「そうだ」
「明日からどうするんだい?」
「本当に後先考えないで突っ走ったので、まだ何もアイデアはない」
「1日1ヤマトネタは?」
「まだ書いていないストック原稿と、まだ原稿になっていないストックネタは山ほどあるからそれを消化するまでは続くだろう」
「そうか」
「でも、一つの区切りが訪れてくれた気はするよ」
「寂しいのかな?」
「いや、もっと前向きに捉えないと。終わりはいいぞ。物事は終わりがあるから素晴らしい」
「じゃあ、次に一体君は何ができるんだい?」
「そうだな。とりあえず……」
「とりあえず?」
「別に欲しかったわけではないが、MEN'S NON-NOを買ったらオマケにバンダナ付いてきたので、ゴムゴムのガトリングバンダナを頭に巻いてみた」
「おいおい」
「バンダナ、けっこう巻くのが難しいな」
「まぶしすぎる地球にI LOVE LIVES!」
「それは星のピアス虹のバンダナ」
「ところでミライザーといえば?」
「バンだな」
口上 §
「以上をもちまして、SPACE BATTLESHIP ヤマト祭り、一巻の終わりとさせていただきます」
「次はヤマザキ春のパン祭りだね」
「ちがーう」
「でもストック原稿がまだあるということは、同じノリがまだまだ続くってこと?」
「イエース」
「じゃ、何が終わったの?」
「おいらの気持ち」
オマケ §
「でも、ここでワンピの話に飛び火するのも興味深い」
「どうして?」
「実はワンピの61巻を買ったばかりだ」
「どうして? 君はアニメで見る派だったはずじゃ?」
「ちょっとね。アニメのあまりにスローなペースに嫌気がさして、コミックで読む方針に変えようかと思って。ストーリー的にも分かりやすい良い区切りだし」
「時間が勿体ないってことだね」
「映画館の時間はもっと早く流れる。それに慣れると耐え難いスローさだ」
オマケピース §
「あえて聞くぞ。君はどこまでワンピ語りができるんだ?」
「いちばん好きなシーンはナミがアーロンに騙されたことに気付いてナイフで自分の腕のアーロン海賊団の刺青を刺すところ」
「そんな残酷シーンがいいのか?」
「いや、そこでそれを止めるルフィがいいのだ。で、散々ナミはルフィを悪く言うが、ルフィは怒らない。ルフィもまたナウシカタイプのキャラだからな。最後にナミがルフィに助けてというんだ。すると命の次に大事だシャンクスの麦わらをナミの頭にかぶせてアーロンと戦いに行くんだよ。しかも、その時点での仲間は既に一緒に行く準備を完了している」
「そうか」
「特定のシーンではなくエピソードなら嘘つきノーランドの話がいいね。酒場で散々バカにされても手を出すなとルフィは命じて自分も何もしない。あれは素晴らしいよ。当初ナミは手を出すなと厳命する立場だったのに、これが入れ替わる。怒ったナミはやっていいと言うのにルフィはやるなという」
「ひいきのキャラはいないの?」
「フランキーは変態だし、ブルックは骨だけど、あえて今の気分で1人だけ選ぶならペローナだな。ホロホロ女だ」
「ああいうのが好きなのか」
「単に可愛いだけの女なんてもう意味は無かろう」
「そうか」
「ああ、そうだ。そういう意味では女ヶ島で戦闘中に相手の背中を隠してやるルフィというシーンも好きだぞ」
「奴隷だったという経歴を隠すために絶対に見せたくない背中だね」
「たしかそうだ」
「で、Dの名を持つ男達ってどんな意味があるの?」
「知らん。まだ作中で明らかになってない」
「しかし、ヤマトほどワンピで盛り上がる気は無さそうだね」
「まあ確かにそうだ」
「どうして?」
「さて難しい問いかけだな」
「答えは無理?」
「フィーリングとタイミング、としか言いようがないな」
「それじゃしょうがないな」
「ああいや。何となく分かるぞ」
「なに?」
「規模が大きすぎて、把握しきれないんだ」
「えっ?」
「登場人物多すぎ、設定多すぎ、巻数多すぎ、特にアニメは無意味に長すぎ。はっきり言って単に毎週見ているだけで力尽きる」
「わははは、それは確かにそうかも」
「ああ、そうそう。今ならマルコも気になるキャラかも知れないぞい」
「そうか」
「あと61巻だと偽のナミが自分はナミだと本物のナミだと脅すところがいいね」
「分かった。もういいよ。じゃ、次はヤマトを語ってくれ」
「長くなるがいいか?」
「どれぐらい?」
「うーん、2年ぐらい」
「そんなに聞いてられるか!」
「けれど、マルコ。おまえは来たんだ。海軍本部に続く、この道を♪」
オマケを訪ねて三千里 §
「というわけで、ここで問題はリハビリであると、一晩明けて思った」
「というと?」
「いつでも映画館に行けばSPACE BATTLESHIP ヤマトを見られる環境に慣れすぎた」
「そうか」
「だから、SPACE BATTLESHIP ヤマトが終わった現実を身体にしみこませていかないとならん」
「それを一晩明けて痛感したんだね」
「そこが結局出発点ということだ」
「なるほど」
「さあ出発だ。今、日が昇る。スターシャのいるあの空の下、はるかなる星イスカンダルを目指せ♪」