「映画というのは、時間に制約がある」
「うん」
「だから、原作無視は常に行われる。忠実にやったらとても2時間に収まらないからだ」
「そうか」
「だから森雪の所属も変わる。島の部下では古代と絡めないからだ」
「そうかもしれないけど」
「ではここで問題だ。古代の部下といっても、艦内の約半分は古代の部下だ。なぜ森雪はパイロットなのか」
「理由があるの?」
「ある。やっと気付いた」
パイロットの理由 §
「まず戦闘班長古代の部下はどこにいるか」
「ええと、おおむね戦闘に関連した部署全てだよね」
「おおざっぱに考えると以下の全てがそうだろう」
- 波動砲
- 主砲
- 副砲
- 艦首ミサイル
- 煙突ミサイル
- パルスレーザー
- ブラックタイガー
- 波動爆雷その他
「それがどうしたの?」
「森雪はこれらのほぼ全てに絡まない」
「うん」
「森雪が主砲を撃ったことは無いはずだ。土門は撃っても森雪は撃ってない。たぶんな」
「そうだね」
「他の兵装も同じだ」
「うん。森雪はおっぱいレーダーで敵を見つける程度だ」
「ブラックタイガーにも乗ったことは無い」
「百式探索艇は操縦してるよね。ビーメラ星で」
「でも、そこはおそらく島の管轄だ」
「そうか。百式探索艇は戦闘機ではないわけだね」
「ところが、ここで1つだけ盲点がある」
「というと?」
「コスモゼロだよ」
「ええっ?」
「森雪は完結編でコスモゼロの後席には乗っているんだ」
「そうか」
「言うまでも無く、古代の愛機コスモゼロは戦闘班の管轄だろう」
「そうか。コスモゼロだけは森雪と縁があるんだ」
「だから、もしも森雪の所属を古代の配下に変えるなら、他のどの部署よりもパイロットが適任だったのだ」
「でもSPACE BATTLESHIP ヤマトの森雪はコスモゼロに乗ってないよ」
「でも、その代わりにブラックタイガーでは無くコスモタイガーに乗っているんだ」
「そうか、コスモタイガーは古代も乗った機種だけど、古代専用では無い量産型だから森雪に割り当ててもおかしくないのか」
別解は本当になかったのか §
「森雪をパイロットにするという以外に本当に手は無かったのか」
「最初から古代が艦長代理なら絡めるよね。森雪が生活班でも部下だから」
「でも、沖田や島との関係がおかしくなっちゃう」
「じゃあ採用できないな」
「他には?」
「古代が航海班で島が戦闘班というのは?」
「森雪以上に重要なキャラの肩書きが変わってはブーイングはこれまで以上だろう」
「これも無理か」
「そういう意味で、森雪の配置転換は最善では無いが、次善としては悪くないだろう」
「そうかもね」
オマケ・もしも島と古代が逆の配置なら §
「ダメだ島、航海のスケジュールが遅れてしまう。戦闘には賛成できない」
「なら具体的な根拠を示してくれ。いったい何日までなら許容できて、何日からはダメなんだ」
「そ、それは……」
「緻密なスケジュールも立てられず、根拠も明快に示せないなら古代の反論は却下だな」
「いや、でも、地球ではヤマトの一刻も早い帰りを多くの人が待っているわけで……」
「敵さえ倒せばあとの航海がスムーズになってスピードアップできるんだ」
「いや、それは屁理屈というもので……」
「屁理屈じゃ無い。物事の道理だ」
「しまった。余計なことを言ってしまった」
「何か言ったか?」
「待った。今の一言は無し」
「待ったはナシだ。ヤマトの航海は将棋じゃないんだぞ」
「だったら将棋ぐらい待ったしてくれよ」
「そ、そうだな。もう1回は将棋で待ったしてやるよ」
「やったー!」
「いいわねー、男の人って」
「そ、そうか?」