「というわけで、ガレキお宝発掘隊は更に発掘調査を進めた」
「暇だね」
「というわけでもない」
「というと?」
「まあいろいろ事情はあるのだが、1つだけ重要なポイントがある」
「何?」
「本来、おいらには模型のキットに関するポリシーというものがある」
「説明してくれ」
- 模型のキットとは作るために存在するものである
- 例外的にキットそのものが好きであるとかコレクターであるという人種はあり得るが、これは特にそれを愛好した特殊な人種である
- 従って、下手でも失敗しても手抜きでも、作った方が作らないことより必ず価値がある
- 作っていない模型キットの価値はゼロだからである
「なるほど」
「しかし、従来はこの自分のポリシーを上手く扱えていたとは言いがたい」
「どうして?」
「模型雑誌を見たり、イベントに行ったりすると、やはりプロの作例を見て『上手く作らねばならない』『失敗してはならない』『手を抜いてはならない』という意識が生まれてしまうからだろう」
「なるほど。模型雑誌は買わない、イベントにも行かないと決めた時点で初めて間違った呪縛から解放されたわけだね」
「もちろん、プロの立場なら間違って無い。アマチュアでも本格的なモデラーなら間違って無いかもしれない。でも、おいらみたいななんちゃってモデラーに適用して上手く行く条件ではなかったのだ」
「ははは」
「というわけで、発掘調査結果行くぞ」
発掘調査結果 §
「ヤマト関連のお宝の全てではないと思われるが、出てきたのはこれだ」

- 森雪 Ver.2
- さらば宇宙戦艦ヤマト 1/700 護衛艦
- さらば宇宙戦艦ヤマト 1/700 駆逐艦
「こんなキットがあったのか」
「おそらくワンフェスの当日限定版権だ」
「なぜこれだけなの?」
「他にもう1つぐらいあった気がするが、結局、作らないと意味が無いというポリシーからして、未組み立てのキットがあるのに他の新品にはなかなか手が出なかったのだ」
「なるほど。難しい状況だね」
「上手く作らねばならないと思い込むとなかなかな手が出ない。そのうちに部屋の奥に埋もれてしまうのだ。かといって、新しいアイテムも買えなくなってしまう。良くない傾向だ」
「今なら作れるわけだね?」
「そうさ。かなり下手でもいいと割り切れているからな」
しかし §
「でもその顔は悩んでいるように見えるぞ」
「そうだ。森雪はどういう色で塗るか、悩むぞ」
「えっ? 黄色い制服に黒線で決まりじゃないの?」
「準備段階でそうじゃない塗り分けもあったし、ブラックタイガー隊風に塗ってみるという試みもある」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトを考えるとそれもありか」
「あるいは服は黒で仕上げるという方法もある。黒は女を美しく見せるからな」
「悩みは多いね」
「コスモガンを構えたポーズのキットなので、生活班よりは戦闘班っぽい解釈で塗ってみたいところだ」
オマケ §

「一緒に出てきたのはこんなところだな」
- 熱血最強ゴウザウラー 小フィギュア2体
- 絶対無敵ライジンオー 小フィギュア2体
- とんでぶーりん 国分花林
- てやんでえ おタマ
- ジーンダイバー 唯
- 六覇国伝 でふぉるめコウノお嬢
- ムカムカパラダイス鹿谷初葉
- アルビオン レーザー推進システムバージョン
- 仮免巫女トモコ
- ママは小学4年生なつみ&みらい
「念のために説明しておくがほとんどオタクのボリュームゾーンを外したドマイナーラインナップだぞ」
「アルビオンってオタクも大好きなガンダム0083だろ?」
「でも艦船なんだ。オタクが刺身のツマぐらいにしか思ってない艦船だ。オタクが主役だと思うモビルスーツなんてガレキでは買ったこともない」
「ははは」
「更に言えば、ムカムカパラダイスとか、絶対にオタクもほとんど意識してない世界だろ。とんでぶーりんだってけっこう怪しいぞ」
「スーパーヒロインもの……じゃないよね。女の子が変身すると豚になるし」
「かろうじてママ4はある程度意識があるかも知れない」
「一応、美少女ものだしね」
「でも当時のリアルタイム層に限られるかも」
「若い人は怪しいね」
「六覇国伝とか仮免巫女トモコになると、アニメですらないから知名度も怪しいぞ」
「ログアウト文庫だったっけ?」
「さてジーンダイバー 唯というのはポイント高いぞ」
「どうして?」
「当時からリアルタイムでバーチャルシリーズを見てた証明だからだ」
「そうじゃなきゃこんなアイテム買わないってことだね」
「そうだ。当時JAFCONとかワンフェスに行くと莫大なガンダムとセーラームーンとエヴァンゲリオンのアイテムが溢れていたが、それらの全てを無視してこういうアイテムを買ってきたのだ」
「恐竜惑星にも一言言えるわけだね」
「もっとも、ジーンダイバーの方が好きだからそっちの方が言えることは多いけどね」
オマケ2 §
「今の心境を一言」
「ジオンはあと10年戦える」
「は?」
「他にもキットは山ほどあるぞ。それらを含め、これらのキットを、一ヶ月に2個程度のペースでロールアウトさせて見ろ。何年も新作キットなんて買う必要が無い」
「それだけ過去に投資したってことだね」
「そうだ」
「じゃあ、金が無いというのは新作を買わない理由ではない?」
「むろんだ。既に言った通り、キットは作るために存在するのに作らないのは無意味そのものだ。だから、まず作ることが前提である。まだ作っていないキットが山のようにあるのに、なぜ新作を買うのだ」
「時代遅れになったりしないか?」
「ははは。心配性だな、のび太君は」
「違うの?」
「今はもうカテジナさんの彩色完成フィギュアまで売ってる時代だそうだが、もちろん、それを知っているか知らないかというのは本質とは何も関係が無い。それを意識するのはおかしいですよ、カテジナさん」
「どうして?」
「2011年現在の解釈で色を決めて塗るという行為は現在進行形だからだ。たとえキットが1990年代製であっても、色を決める解釈はけして古くはならない」
「そうか。分かったぞ。古い森雪のキットでも、あえてSPACE BATTLESHIP ヤマトの解釈で色を決めたりするとそれは古くないんだ」
「そうだ、今現在の他人の目を意識して今現在の自分が色を決めて今現在の自分が塗るのだ。けして古くはならないさ。それに一周するとかえって新しいという話もあるらしいしな」
「はははは」
オマケIII §
「2011年現在の解釈で色を決めて塗るという行為は現在進行形だからだ。たとえキットが1990年代製であっても、色を決める解釈はけして古くはならない」
「そうか」
「だから彩色済みフィギュアには何の興味も無いのだよ」
「そうか。最初から色が付いてると色も含めてどんどん古くなるわけだね」
「だからさ。作れないから完成品が欲しいという人もいるけど、それは決定的に価値観がおいらとはずれている相手だと思うわけだよ」
「確かに」
「どんなに簡単に組めるように工夫したとしても、やはり自分で作ったものと、買ってきた完成品では受け止め方は同じにならない」
「自分の手の中で変化する感動がないってことだね」
「ちなみに、クラシックに歌詞を付けて歌ってますとか言っても、それってどこのママ4のエンディング?って思っちゃうしね」
「わははは。それこそ新しくないわけだね」
オマケコレ §
「部屋のどこかにメカコレのヤマトが眠っている可能性がある」
「おっと」
「今ならこれも作って良さそうな気がする」
「上手く作る呪縛から解放されたから自由ってことだね」
「というか小さいから凝りようがないしな。適当に作るしかないよ」
「そうか」
「万一手持ちのキットを全て作ってしまったらメカコレの艦隊を揃えるのもいいな」
「結局ヤマトかよ」
オマケクエイク §
「この後で地震があった」
「凄かったね。いつまでも揺れてるし」
「そのとき、一部棚の上の物が落ちてきた」
「災難だったね」
「その際、こんなものまで落ちてきた」

「ははは。まるでお宝に僕も加えてくれと言っているようなものだね」
「特別サイン入り限定パッケージだぞ。初回限定マウスパッド入りだ」
「なんか、凄いね」
「ついでに言うと、秋葉原の発売イベントにわざわざ行って生ささきいさおの歌を聴いてきた記憶まであるぞ」
「わははは」
「でもその割にタイピングゲームは僅かしかやってないぞ」
「クリアしてないんだ」
「結局、生ささきいさおに満足してゲームはどうでも良かったらしい」
「わはははは」