「話としては少し前の事だ」
「これも遅延された話題ってことだね」
「リアルタイム性のない話題だから後ろの方に突っ込んだら順調に遅れてしまった」
「順調に遅れる……、イスカンダルへの旅みたいなものだね」
本題 §
「子供の頃のノートが出てきたので、それに関連して、昔考えたヤマトの続編というのを思い出した」
「考えたのは子供の頃?」
「いや。かなり後の方だな。おそらく大学生以降」
「それで、どういう内容?」
「幻想的な内容で、乗組員のいないヤマトがなぜか動いてお姫様を助けに行くのだ。助けた後はお姫さまを1人だけ乗せて飛ぶ」
「かなりの幻想だね」
「ただし、ヤマトが勝手に自分で飛ぶのは完結編にもある描写で、行きすぎてはいない」
「おっと」
「そして、戦闘は基本的に肉弾戦になる」
「ヤマトがロボに変形するの?」
「そんなことはしない。艦首の切り欠きで相手の肉をえぐったり、横に向けたショックカノンを相手の腹に突き刺して撃ったりする」
「ひぇ~」
「幻想的な巨人相手の戦闘だ」
「結局、何がしたかったのよ」
「だから、ヤマトを騎士と捉えて、ヤマトそのものを主人公にしてみたかったのだよ」
「古代君抜きで?」
「そうだ。ヤマトそのものを主人公にしてみたかったのだよ」
「それも無茶苦茶だね」
「そういう前提で考えると、復活編は納得できるのだ」
「どうして?」
「ヤマトが旗艦だと他の艦も頑張れる。これはヤマトそのものに特別な価値が存在するからだ」
「なるほど。特別扱いなのだね」
「しかも、最終的に古代君の命令とはいえ、イリア王女を助けるのだよ」
「騎士としての振る舞いだね」
オマケ §
「でも船は女性形だ」
「わははは。ならば騎士じゃだめだ。助けられるのを待っているお姫様のヤマト」
「名前はヤマト撫子」
「可愛いドレスを着てひたすら祈っている鉄の塊」
「ヤマトが服を着るのは無理がある」
「じゃあ全裸で祈る」
「波動エネルギー、あなたは波動エネルギー世界の住人なのですね?」
「私は祈り続けます。永遠に」
「ヤマトなのに戦ってくれないのか!」
「勝利か、くそでもくらえですわ!」
「幽閉されながら言っても説得力がない! 勝ってから言え!」
オマケ2 §
「どうでもいい余談だが」
「うん」
「物語は神話になるとそこから先に進めなくなって実質的に終わってしまう、という考察を昔述べた」
「それで?」
「上のヤマトのアイデアは、要するにヤマトを神話にしてしまう構想だ。続編がもうあり得ない世界に行ってしまう」
「じゃあ、良くない構想?」
「そうかもしれない」
「実際の復活編は、その点で良い構想?」
「そうかもしれない」