「フィーバー宇宙戦艦ヤマト復活篇のおかげで、久々に見たよ」
「劇場版アニメ第1作だね」
「子供の頃は、TV第1シリーズのダイジェストとして評価したのだが、今もう1回見ると、実はぜんぜん違う感想が出てきて大焦りさ」
「えー。なんで今更違うの?」
「映画として見たとの評価は違うと思ったからだ」
「えー」
「まずはどうでもいい感想から」
- いきなり黒い画面に主題歌。感動だ
- 映倫19145なのだ。大和が沈んだのは1945年なのだ
- 沖田艦 火星で古代と島を収容するとき「収容エアロック開け」。つまり、内部は与圧されている
- 「このドックは昔水で一杯だったんだ」ということは、水が失われることを予見してドックを作ったことになる。水が一杯では使えないから
- 100式探索艇で出撃するとは不自然だが、相手が偵察機ならありかもしれない
- 「エンジンが出力過剰だ」 オーバーヒートじゃないならいいじゃないか
- 沖田の演説の時、島の後ろの男は太田っぽいが、古代の後ろの男は南部っぽくない
- 名前のテロップが何回も入る。すくなくとも古代も島も2回以上
- 波動エンジン。接続の命令が出る前に徳川はレバーを倒している
- イスカンダルの波動エンジンで大和は飛べるようになった、とナレーションで言っているがその解釈だとおかしい。設計図が来る前からヤマトは改造されていたはずだ
- ビデオパネルが揺れているのがいいねえ
- ガミラスミサイル。全弾命中……しそうになったとは、実は腕前が凄くいい。
- 実は太陽系を出るまででほぼ55分。ほぼ半分。
- 戦闘空母、せっかく甲板をひっくり返して出した砲塔で撃ってない
「どうでもいい感想って何だよ」
「重要な感想はいくつかある」
耳慣れないBGM? §
- デスラーがおかしくなられているときのBGMが聞き慣れない
「たぶん、CD化されている音源はほとんど全部持ってるはずだが耳慣れない」
「えー」
「ちなみにTV版の同じシーンの音楽は違っていて、こっちは良く聞くBGMだ。明らかに違う曲」
青いデスラー問題 §
- ワープの報告を受けているヒスとデスラーの肌が青い。シュルツとガンツと高速空母のガミラス兵士は肌色なのに。TVシリーズの同じシーンでは肌色。TVシリーズはガミラス女が3人脇にいるが映画版ではいない。このカットは新作画ではないが、おそらくセルを塗り直して新撮影している。TVシリーズのヒスは気持ち悪い紫っぽい肌の色で、青とも肌色とも違う
- ヒスの紫は、塗り直さずに青い肌に見せかけられる
- 肌色のシュルツと通信しているヒスはこの紫で出てくる
- デスラーは青で統一しようとしている
- デスラーの光線演出で一瞬だけ肌色になる
「というわけで、実はデスラーの肌は青という解釈で統一しようという意思は感じられる」
「設定の一貫性だね」
構成の問題 §
- ああそうか、瞬間物質移送機を見せるためにワープテストが前半の目玉という構成なのだ。波動砲じゃなくて
- 決戦後にスターシャから通信があって終わりに見せかけるが、そこでひっくり返す。ひっくり返すところが映画らしい
- ヤマトには潜水艦としての能力があると伏線で示しておく。そしてガミラス星でもぐる
- ヤマトには波動砲がある。だからアルファ星はカットしない
- なぜ、イスカンダルはTVシリーズのフィルムで置き換える必要があったのか。実はスターシャの生死は問題では無かった。古代守が生きていてこそ最初に示されたた古代守の死というテーマを回収して終われるから
- 最後のどんでん返しは古代守の残留。スターシャの死よりも良い
「これってどういうこと?」
「つまり、映画としての筋をできるだけ通そうと努力した跡が見られる」
「それだけ誠実だってことだね」
「しかも、それを前提にして見ると、スターシャ死亡編を新作画で作ったのにそれをカットしてTVシリーズのフィルムをつないだ理由も分かる。森雪の腕の負傷で矛盾するにも関わらず、この構成の方が映画としては筋が通る」
「でもさ。SPACE BATTLESHIP ヤマトは古代守死亡じゃないか。SPACE BATTLESHIP ヤマトはだめってこと?」
「そうじゃない。SPACE BATTLESHIP ヤマトは弟が死んで兄の死というテーマが回収されるんだ。構成が違う」
ラストの問題 §
- 放射能除去テストは新作画?
- 最後に地球を見ている一同も新作が? 藪も隊員服の雪もいる
- 名も無い隊員だけのカットも
「実は、細かいところで筋を通すための新作画をいくつもやっていると思えば、デスラーの肌の色を入れ替えることもあり得る話だと分かる」
「なるほど。そこに話が繋がるわけだね」
まとめ §
「まとめるとどういうこと?」
「この映画は僕らが好きだったテレビのヤマトのダイジェストでは無い。1本の映画なのだ」
「それって良いこと? 悪いこと?」
「テレビシリーズにはまったファンの心情を代弁しない作品であるが、1本の映画としては出来が良かった。だからファンが付いた。でも、感覚の食い違いは残してしまったかもしれない」
「結局、良かったの? 悪かったの?」
「整合性へのこだわりが強い点は長所のようにも思えるが、実は整合性と面白さとはあまり関係が無い」
「分厚い設定資料がアニメをつまらなくした、という話と同じだね」
「だから。本当はもっとぶっちゃけて良かったと思う。その方が人間味があって良かったと思う」
「そうか」
「だけど。こだわりと映画愛の深さは良く分かった」
「そこはいいわけだね」
「うむ」
主題の提示と回収 §
「だから序盤の出来事の順番が変化している理由も分かる」
「というと?」
「古代守の死がスタートラインにある以上、古代進の登場はその後に延期される」
「それが映画としての構成ってことだね」