「なんでまた戦隊とかライダーなんて見に行ったんだよ」
「昔のヒーローと共演するパターンは飽きた。新ヒーローの顔見せも、今はもうくどい。いずれにせよ、もういいやと思っていた。それも事実。でもね、キョウリュウジャーはミュージカルだと聞いてちょっと考えが変わった」
「それで?」
「確かに、それなりに面白かったよ。新鮮で刺激があった」
「飽きた件は?」
「実はね。昔のヒーローとの共演とか、新ヒーローの顔見せが一切無かった。奇をてらった構成もなく、ストレートな2部構成。これはちょっと意外だけど、本筋に回帰するのは飽きさせないための1つの見識であり、戦略だろう」
「劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック」 §
「戦隊ってさ。本質的にお約束の縛りが強すぎてダメな映画しか作れない制約を持つ」
「じゃあ、この映画もダメってこと?」
「ダメなところを言えばきりがないのだが、ストーリー構成、台詞、アクション、カメラなどでの工夫が多く、飽きさせないように作ってある。そこは逆に見事」
「制約が多いからこそ工夫も多いわけだね」
「普通にやったら、大人は寝るしか無い映画になるが、そこは真剣に工夫を重ねて作品として成立させている」
「どこがいいの?」
「いいところは多くあるが、基本的にキングの恋愛話を軸にシンプルかつストレートにストーリーをまとめてある。いちいち指を鳴らす鳥さんも格好いいし、可愛い格好で両手を拘束されていじめられるヒロインもいい」
「それだけ?」
「あとライブのライブ感も凄くいいよ。全員で踊っちゃう爽快感もある」
「劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land」 §
「ウィザードは?」
「みなまで言うな」
「は?」
「マヨネーズだね。泳ぐマヨネーズ。あれが一番面白かった」
「もうちょっと感想を」
「じゃあ、おっさん、あんちゃん、子供、おかまのドーナッツ屋まで変身するところ」
「もうちょっと何かある?」
「そうだな。キョウリュウジャーの映画と比較して、ちょっと盛り上がりに欠けた。たぶん、魔法使いに感情移入できないからだ」
「なんで感情移入できないの?」
「魔法使いじゃないので」
「そんな理由かよ!」
「おそらく観客もほとんどが魔法使いじゃない。全員と言い切らないのは可能性として1人ぐらい本物がいるかもしれないので」
「えー」
「だからさ。鳥が指を鳴らしてブレイブだって言えば、それは分かる。いや、意味分からないけど何となく分かる。でも魔法世界の危機は分からない。そもそも、用途不明の魔法力をみんなが疑問を持たずに支払っている時点で良く分からない」
「でもマヨネーズは分かるんだね?」
「それは分かる」
「他に分かるところは?」
「最後にね。思わず女刑事のベルトを調べようとして殴られるところ。たとえ最後の希望であっても、スケベは殴られる」
「ひ~」
「結局さ、東京エネタワーもそうだけど、リアルな世界観と安易にデフォルメされすぎた設定は相性が悪いんだろう」
「でも、それを言い出すとどこにも逃げ場が無くなる特撮ドラマがいくらでも……」
「みなまで言うな。見どころがあればいいのさ」
「それがマヨネーズ……」
「いや、コヨミの出番が多くて十分に可愛かったよ」
「そっちかい」
オマケ §
「プリキュアほとんど見てないんだけど、予告で見た新作のプリキュアはちょっと良かったな。時間があれば見てもいいかもと思った」
「どこが良かったの?」
「お約束に走らない皮膚感覚の生々しさがあった。でも、それは本質的にオタクの趣味に反するものであり、どう受容されるのかは分からない」
「もっと分かりやすく言うと?」
「主人公の結婚が描かれるようだが、他の男のものになってしまうヒロインをオタクが愛せるかは知らない。少なくともアイドル声優は非処女と分かった時点で叩かれる現象はあるらしい」
「怖いな」
「それから、ピクサーのプレーンズ。まあ『そういう映画もある』というレベルかと思ったら。予告を見たら、青い逆ガル翼のデフォルメ飛行機が出てくるカットがあった。コルセアか? 急に興味が出てきた」
「本当にコルセア?」
「調べたら本当にスキッパーというキャラがコルセアらしいぞ」
「ひ~」