「予測していなかったが、遙かなる星イスカンダルのアンソロ本を発掘できた」
「いつ買ったんだ?」
「出版された頃」
「そんなのばっかりだね。宇宙戦艦ヤマト伝説も実は買ってたんだよね」
「そう。最強の方法は部屋の隅で眠っている本を発掘することだと良く分かった」
「で読んだ感想は?」
- 玉石混淆。上手い人も下手な人も、中身は良くても絵がダメな人もいる
- ストーリーがあまりにもダイジェスト過ぎる (冥王星から七色星団時飛ぶって)
- 竹本泉や永野のりこがイラストページを描いている
- 竹本泉の【うじゃうじゃ】が載ってるヤマト本とは信じられない
- 竹本泉がガンツ描いている
- 永野のりこの【アレ】が載ってるヤマト本とは信じられない
- 永野のりこがヤマトを描いている。甲板にサルマタケが映えて艦橋の上にパンツがはためいたヤマト
- 島本和彦上手い。特にガミラスの海底で波動砲発射寸前に何かに気づくデスラーという描写は、本家を圧倒的に越えた秀逸さ
- 島本和彦さん、5コマも使って沖田の顔アップに持って行き、次の見開きで沖田の後ろ姿につながる描写は圧巻。凄い。凄いよ。圧倒的だ。
「結局、君の印象に残っていなかった理由はなんだい?」
「基本的に圧倒的に食い足りない。質の善し悪しがバラバラで統一した印象が得られない上に、ストーリーが本当に散発的で全体が分かりにくい」
「印象が残りにくい構成ってことだね」
「表紙も良くない。縦にキャラとメカが細長く並んでいるが、それがまた印象に残りにくい」
「それだけ?」
「あと、全体の構成が良くないね。島本和彦さんは上手いのだが、登場するのはかなりあと。しかもトリじゃない。前半がしょぼいので、通して読むと後が上手くても印象に残りにくい」
「結局どこに問題があるの?」
「絵が下手すぎるなあ、という部分と、作者の思い(キャラの思い)が自分の世界にトリップしてしまってヤマトの話としては感情移入できない部分がある」
「どういうこと?」
「第2話だと爆発の煙から出てきたヤマトが【ヤマトは無傷】のはずが船体がゆがんでいるように見えてしまう。本当は空気がゆらめいている表現のつもりだと思うけどね。そうは見えなかった」
「分かった第3話以降はもういいよ」
「結局、【思い】という部分は、島本和彦さんの描いている言葉は分かる。でも、分からない言葉を喋るキャラがしばしば出てくる。そうなると、話が上手く読み取れない」
「他に何か?」
「一番最後に描いている【ときた洸一】さんってガンダムの人だろ? 名前をみたことがある」
「それがどうした」
「やはり、自分が名前を知っているぐらいのプロは絵も内容も安定感があるなと思った。ちょっと子供っぽい表現だなと思ったのは、作品の捉え方と描き方の問題だからどういう意図でこうなっているのか聞かないと何も言えないと思うけどな」
ヤマト2199の事実上の原作 §
「確かにこれはヤマト2199の事実上の原作だよ。偽装を解除する前に高速空母撃ったり、ドメルの退艦命令を部下が蹴ったり。ムラサメ級みたいなのが描いてあったり」
「ふーん」
「でも、結局良くないところばかり拾ってヤマト2199に反映させた感じを受けた。良いところは他にあったはずだ……と思いながら読んでいた」
「たとえば?」
「島本和彦さんの凄みのあるデスラーも沖田も、ヤマト2199には一切反映されていない。結局、酸の海で戦ってないからだ」
「そこが問題か」
「永野のりこさんが描いた【男おいどん】的なヤマトも、結局ヤマト2199には全く反映されていないし」
まとめ §
「結局、これは【コミック・アンソロジー】なんだけど、【同人誌アンソロジー】にプロもプロの仕事をしている感じで全体がもわっとしてつかみ所がない。そこが印象が定まらない理由かな」
「そうか」
「あとは前半が弱い。表紙もメッセージ性に乏しい」
「良いところも言ってくれよ」
「サルマタケが生えて艦橋の上にパンツがひるがえっているヤマトは、この時代でのみ可能だったのだろう。松本零士が著作権を持っていると見なされていた時代だ」
「なんでサルマタケにこだわる」
「いや、普通はこだわるだろ」
「どんな普通だよ」
「それがおいどんの普通たい」
オマケ §
「火星人にカオールと挨拶させる竹本泉さんが本気でやれば、もっと凄いものを描いてくれたような気がする」
「島大介主演の【しましま曜日】とか?」
「それは違うって」
「じゃあ、永野のりこさんは?」
「松本零士の絵柄を真似て男おいどんをやってくれるかもしれない」
「男おいどんはヤマトじゃあらへんがな」
オマケ2 §
「以外と好きなんだぜ、永野のりこさんの作品」
「まさか」
「たぶん、【グエンドリン】が何か分かるか否かで印象が大きく変わる人だと思う」
「なんだそれ」
「前に【グエンドリン】の本を買ったことがある」
「だからそれは何だよ」
「良い子は見ちゃダメ」
「ひぇ~」