「設定至上主義の物語は必ず破綻する」
「設定至上主義とは?」
「何より設定を重視する。設定の整合性や豊かさ広がりなどだ」
「それらが充実するとなぜ破綻するの?」
「物語にはちゃぶ台返しが必須だからだ」
「ちゃぶ台返しとは?」
「意外性だ」
「意外性とは?」
「サプライズだよ」
「つまりなに?」
「つまり、起承転結ならば、起承で物語の設定を語るがそれではサプライズを与えられない。そこで転に至ってそれまで語った設定をご破算にしてちゃぶ台返しを行う。それが物語の基本形」
「なぜサプライズは必須なの?」
「見ている人が飽きるからだよ」
「共感しているなら飽きないのではないの?」
「それもそうだが、共感は誰にでも求められるものではない」
「では、ヤマトよ永遠にだとどうなの?」
「永遠にの場合、用意されたサプライズは以下の点だ」
- 長い航海の結果達したのは未来の地球
- 暗黒人は実は生身の身体が欲しい機械化人だった
「一応サプライズだよね?」
「でも、実は未来の地球はすぐに【嘘だよーん】と分かってしまうので、サプライズがサプライズに成り切れない」
「機械化人は?」
「それこそ、設定語りでしかないのだよ」
「それまで明かされていなかった地球を攻めた理由が明らかにされただけなのだね」
「そうだ。結局、本当の意味でのサプライズが無いまま映画が終わってしまう。サーシャが殺されて感情にまかせて波動砲を撃つなんて、本来なら中盤の展開だよ」
「じゃあ、永遠にはどこが決定的に破綻しているわけ?」
「だからさ。古代はサーシャをふっきらなければならない。雪はアルフォンをふっきりらなければならない。そこで、サーシャに気がある古代、アルフォンに心引かれる雪という当初の設定がちゃぶ台返しされ、古代と雪はよりを戻せるようになる。本来の流れはそうなのだが、実際の映画は死んだサーシャのことはいつの間にか忘れている古代と、死んだアルフォンのことはいつの間にか忘れている雪が一緒になってハッピーエンドになってしまう」
「それじゃ、サーシャもアルフォンも浮かばれないね」
「サーシャファンもアルフォンファンもな」
「ひ~」