「新見に人気が出るわけだね、という言葉を聞いてハッと気付いた」
「それはなに?」
「確かに新見人気は理解可能だ。出番は多いし、反乱の首謀者の一人だし、営倉に出たり入ったりしたし、ドリルミサイルも逆転した」
「うん」
「でも、スタッフは岬百合亜に人気が出ると思っていたらしい」
「そうらしいね」
「だがよく考えると、岬百合亜にはほとんど出番が存在しない。単に、子供っぽくて可愛い、という属性があるだけ。出番があるように見えるのはユリーシャとしてであって、岬百合亜としてではない」
「待てよ。ということは、ユリーシャとしての出番を除外すると、本当にその他のモブキャラじゃないか」
「そう。魅力を見せる見せ場が存在しない。これで人気など出るわけがない」
「じゃあそもそも問題はどこにあるんだい?」
「結局、ユリーシャに憑依されるキャラになった時点で、岬百合亜そのものに人気が出る可能性は絶たれたと思って良いだろう」
「物語的に無理があったわけだね。岬百合亜に関しては」
「だが、それでも何か魅力を印象づけるエピソードは可能だったと思う」
「ユリーシャ抜きの期間もけっこうあったわけだね」
「もう1つね。実は挽回の機会があった」
「それはいったい?」
「完全新作劇場版だよ」
「ああ。分かった。そこで、ヒロインとして活動できればまた印象を変えられるチャンスはあったわけだね」
「そう。帰路にユリーシャはいない。本人のキャラを生かすことは可能だったと思う」
「ということは、相手役は保安部の坊やか」
「そうパイロットの坊やじゃないわけだ」
「そうすると何かメリットはあるの?」
「ある。未知惑星の探査に戦闘機パイロットを連れて行く理由はあまりないが、保安部員なら理由がちゃんと分かる」
「仲間を守るためにはいた方が良いわけだね」
「それに、戦艦大和マニアの工作部員の女がヘレンケラーではあまりしっくり来ないのだが、もっとオトメチックっぽい岬ならしっくり来そうだ」
されど §
「でもなあ。出番があってもYRAみたいな子供じゃなあ。逆にヤマトから艦載機を引き離しかねない」
「人気を引き離しかねないだろう」
オマケ §
「子供がヤマトに乗ったらおかしいの?」
「厳密に言うとおかしくない。ディンギルの少年の例もあるし」
「じゃあ、何がおかしいの?」
「それなりの年数の訓練を積んでいるはずの専門職をやっていたら違和感がバリバリになる」
「なるほど」
「結局、何か特別なヤマトに乗る理由があれば、子供がヤマトに乗っていてもおかしくはない」
「古代美雪は艦長がヤマトの艦載機で助けてきたからヤマトに運び込まれたのであって、それはそれで理由があるわけだね」
「何か乗っている強い理由が明確になれば、岬にも存在感がでたろう」
「惜しまれるわけだね」