「実は一つ盲点があった」
「盲点とはなんだい?」
「自分はアンドロメダより主力戦艦が好きだと公言していた」
「聞いたよ」
「でもね。実は、主力戦艦にも許せる主力戦艦と許せない主力戦艦があることに気づいたのだ」
「なぜ今更」
「画像検索しても俺設定の主力戦艦風と、公式の主力戦艦が混在してよく分かっていなかったのだ」
「気づいた理由は?」
「実はヤマト2202の1/1000主力戦艦(ドレッドノート)発売という情報が回ってきてね。これが艦橋の上にでかい艦橋砲が付いているアンバランスな不細工でね。なんじゃこりゃと思ったのだが、ハタと気付いた。画像検索すると、同じような艦橋砲が付いている主力戦艦が一杯引っかかる。どう考えても、発売前のプラモデルでこんなに出てくるのはおかしい。そこで調べた」
「どう調べたの?」
「復活篇の主力戦艦は全く違うことが分かっている。SBヤマト、ヤマト2199に主力戦艦はいない。さらば/2の後で主力戦艦を扱っているタイトルはそれほど多くない。おそらくゲーム系。PS版さらば宇宙戦艦ヤマトではないかとあたりを付けて設定資料集の古書をネットでーダー。ちょっと高かったけど買った」
「ふむふむ。それを見た結果は?」
「大当たり。やはり大きすぎる艦橋砲が付いている。この不細工な主力戦艦の震源地はおそらくPS版さらば宇宙戦艦ヤマトと考えて良い」
「なるほど。2202は濡れ衣で、真の悪はPS版さらば宇宙戦艦ヤマトなのだね?」
「だが、話はそれで終わりでは無かった」
「まさか」
「PS版さらば宇宙戦艦ヤマト、キャラ設定は独自性が強いものの悪くはない。ところが、メカ設定は全部どこかおかしい。要するに改悪されている。もともと良いデザインでは無い場合も多いけどね。それ以下になってる。そもそもパースの狂いやバランスの致命的な狂い、画稿間の矛盾などが多い」
「えー」
「じゃあ、前作はどうなのかと思ってPS版宇宙戦艦ヤマトの設定資料集を開くと、これもおかしい。ヤマトは各部が強調されていると説明されているが要するに太っているだけ。ブラックタイガーも尻尾が伸びて。ガミラス艦も狂ってる」
「それで?」
「うん。ヤマト2199に含まれる出来の悪いメカの8割ぐらいが、要するにPS版由来だと分かってきた。尻尾の伸びたコスモファルコン、駄作の塊彗星帝国艦など」
「ヤマトとガミラス艦はどうなんだ?」
「ヤマトは玉盛さんのセンスが優先されていて、PS版の影響をあまり受けていないのだろう。ガミラス艦はガミラススキー出渕総監督の影響下にあって、これもPS版より総監督のセンスが優先されているのだろう。ヤマト2199前半のガミラス兵器に特に文句はない。後半になって変な要素が入ってくるが、PS版由来というわけでもないようだ」
「つまり、ヤマト2199の彗星帝国艦はそういう歯止めが無くストレートにPS版のデザインが流入しているわけだね?」
「おそらく、コスモファルコンにも入ってきている」
「そして、今回ヤマト2202にも浸透してきたのだね?」
「ヤマト2199を踏襲すれば必然的にダメな彗星帝国艦が継承されてくるな」
「それに加えて主力戦艦にも影響が来たわけだね?」
「たっぷりと来たようだ」
「凄く恐い話になってきたが、それが結論かい?」
「いや、単なる影響だけの話なら、おそらく復活篇の主力戦艦(ドレッドノート)も、影響下にある。艦橋の上の方が横に広がっているデザインは、バランス的に大きすぎる艦橋砲が載っているPS版主力戦艦に近い。でも、復活篇の主力戦艦は艦橋の高さが低いのでアンバランスにはなっていない。そこは当時の小林さんのセンスの良さで処理されているのだろう」
「SBヤマトは?」
「たぶん影響は全くないと思う。そういう細かい部分には拘泥していないで、違う世界に行ってしまった。良くも悪くもね」
恐い話の続き §
「話はそれでおしまい?」
「そうでもない」
「まだあるのかよ」
「PS版宇宙戦艦ヤマト、さらば宇宙戦艦ヤマトは基本的に3DCGのゲームだからね。モデリングしなければならない。実は無理のある平面画稿の設定資料を3Dデザイナー側でアレンジして問題ないバランスに落とし込んでいたのではないかという疑いが出てきた」
「覚えていないの?」
「プレイしたけどほとんど覚えていない。さらば宇宙戦艦ヤマトはさらばエンドと2エンドを両方クリアしたはずなのだけどね。印象が残っていない」
「それは、つまんなかった、ということだね」
「まあな。超巨大戦艦から砲台が分離して戦ったことは覚えているが【だから何】の世界だ」
「それで?」
「いずれ、PS版さらば宇宙戦艦ヤマトはもう1回プレイして内容を確認したい」
「もしそうなら、昔の映画さらば宇宙戦艦ヤマトと同じで、デザインの欠陥を現場がカバーしたことになるね」
「開けてはならない箱、さらば宇宙戦艦ヤマトを開けてしまったPS版の結末を再確認せねば」