「あんまりよく分からないが、こういうパターンがあるらしい。自分にはあまり心当たりはないのだがね」
「それで?」
「でも、それはあまりにも嘘くさい。本当に美味いものを食ったことがない人間の考える妄想」
「ひぇ~」
「まあそういう意味での批判は既にあるようだがね」
「なるほど。で、それがどうした」
「宇宙戦艦ヤマト2199で、メルダがパフェに目の色を変える描写は、嘘くさいなと思って見ていた。しかし、考えて見ればこのパターンそのもの。様々な食文化が流入する大帝国の一等臣民が、幅広い味覚を知らないはずがない。パフェごときで目の色が変わるというのは今一つ考えにくい」
「つまり、メンタリティが同じでありすぎるわけだね」
「そう。メルダは地球の一般市民レベルと同じでありすぎる。まあ、これは古代とバーガーの関係についても同じことが言えるわけだがね。バーガーのメンタリティも地球の一般市民レベルと同じでありすぎる。というか、バーガーのメンタリティは地球でも古くさい差別的なメンタリティに属してしまい、広がりを欠く」
「女子供は後でブルブル震えていろ、オレが守ってやるという間違った男性上位のマッチョイズムだね」
「結局さ。大帝国の誇りある臣民の代表としてヤマトに出現したメルダなのに、存在がそこから広がらない。広がらないどころか、矮小化されていくだけだ。本当なら、より広い世界を知るメルダが大宇宙の驚異を山本に説くのが筋だったと思うが、実際はヤマトの驚異を格上の大帝国に臣民に教え諭してしまう内容になってしまった。残念なことだ」
「三日分の食料をもらって飛び去るところまでは悪くなかったのに、その後は残念ということだね」
「しかし、【お嬢様が初めてのファーストフードに感動する】という設定が素直に受け入れられる人たちが多くなったのなら、まあ無理もないか。そういう内容でしか作品は作れない」
「経験が乏しくなれば、想像力の翼も萎縮するってことだね」
オマケ §
「サクラ大戦活動写真で、みたらし団子を食った織姫がニョッキという食べ物に似ている……というのは広がりがあった。もうあの当時とは同じに語れないってことだろう」
「日本は小さくなる一方だってことね」
「案外、このまま小さくなって20年後には残っていないかもしれないよ」