「ヤマト2202で『おや?』と思ったのは、ガトランティスに降伏という概念が無いように描写されていること」
「そもそも降伏ってなんだい?」
「負けを認めるから戦いは終わりにしましょう、ということだ」
「なぜ降伏という概念が存在するの?」
「皆殺しにすると、皆殺しになると分かった敗者は死ぬ気で抵抗して損害が増えるからだ」
「つまり、皆殺しは効率が悪いわけだね?」
「そうだ。ヤマト2202のガトランティスは効率の悪い国家運営を行っていると考えられる」
「でも、降伏を認めない敵は恐いよ」
「恐いという演出でしかない」
「話はそれだけ?」
「いや、ここからが本題」
「というと?」
「実は、さらば宇宙戦艦ヤマト冒頭でガトランティスが奴隷を労働させて倒れると殺しているという描写があるのだが、皆殺しをしたら奴隷を補充できない」
「えっ?」
「つまり、以下の相違があるものと思う」
- さらばガトランティス→奴隷が使えなくなったら殺して次を補充する
- 2202ガトランティス→奴隷は使わない
「なるほど。大きな相違だね」
「更に、ズォーダーの位置づけも変化する」
- さらばズォーダー→宇宙の全ては俺の物。全員平伏せよ。
- 2202ズォーダー→宇宙の全ては俺の物。俺の物にたかっている虫は皆殺し
「つまり、『血の一滴まで俺の物』と考えるか、『邪魔な虫の血など排除しろ』という考え方の差だね」
「そうだ。血の一滴は俺の物じゃなくて、血の一滴は俺の邪魔者なのだ」
「まとめるとこういうことだね」
- 2202ガトランティスは、何らかの理由で、宗教的な信念に突き動かされて効率の悪い戦い方をしている
- 2202ガトランティスには奴隷を獲得するための戦争という概念がない。奴隷という概念そのものが無いかも知れない
- 2202ズォーダーは、宇宙の全ては俺の物とは考えていない。俺の物と俺の物を不当占拠している者がいると考えている
「でも、何か他に傍証は無いの?」
「非効率という点では無いことも無いぞ」
「どんな傍証?」
「魚のように群れをなすガトランティス艦の映像。ビジュアルとしての新味を出したくてやったのかも知れないが、ただ単に群れを成しているだけの烏合の衆で弱そう、と見えてしまったのも事実。魚のように描かれていると、戦艦じゃなくて漁船で一網打尽にできそうだという印象にしかならない」
「つまりなんだい?」
「2202ガトランティスは、非効率ってことだ」
「敵が非効率でいいの?」
「大帝国にヤマト一隻で勝つと言う無理のある話を成立させるなら、敵には弱点が必要だよ」
オマケ §
「で、奴隷を否定したガトランティスにいた科学奴隷って何者?」
「知らん。きっと別のガトランティスだろう」