「じゃあさ、バンダイの2199シリーズとファインモールドの艦隊旗艦はどこが違うわけ?」
「立体化の方法論が【キャラクターモデルの精密化】にあるのか、それとも【スケールモデルのセンスで解決されたキャラクターモデルの立体化】にあるのか、の違いだろうと思うよ」
「そのあたりは、沖田艦だけの問題?」
「いや、Xウィングなどでもおそらく共通だと思う。ファインモールドの1/72Xウィングと、バンダイの小さいXウィングは作ったから。本当は大きいXウィングも作るともっと明確だと思うけど。まだ作ってない」
「スターウォーズ好き?」
「いや別に。シャーマンの車体が埋まってるXウィング以外は実はどうでもいい」
「じゃあさ、君の目から見えるバンダイの2199シリーズってどんな感じなんだ?」
「軍艦型のキャラクターグッズが精密になったもの。ゴールは設定資料に対する100%の忠実」
「設定資料は、スターウォーズならプロップと言い換えても良いわけだね」
「そうだな」
「ではファインモールドの模型に対する君の感想は?」
「設定資料に不足しているものを積極的に補完していく感じ」
「設定資料はゴールではないの?」
「どこかに実物があるとすれば、何か欠落した要素が存在するはずだ……という感じで何かを付け加えている気がする。存在感、空気感のようなものも含めて」
「つまりなんだい?」
「バンダイ製品は精密だし正確なのかもしれないが、何かが食い足りない。設定資料という形で表出しないものはあまり取り込まれないし、客も望んでいない」
「客も設定資料に忠実であることを求めるわけだね」
「そうだ。違っていると改造してしまう人が出てくる」
「じゃあ、その差って君に取って何を意味するんだい?」
「うん。バンダイのキリシマは軍艦のラインに見えなかった。でも、ファインモールドの艦隊旗艦は軍艦のラインに見えた」
「その差はどこから来ると思うんだい?」
「たぶんバンダイのデザイナーは普段仕事でガンダムの設定資料を見て暮らしている。ファインモールドのデザイナーは普段仕事で実在する兵器を見てまわって暮らしている」
「その差は重要?」
「重要だよ。製品が雲の上に飛んでいかずに済む」
オマケ §
「電飾ギミックを入れろ。精密さも失われちゃいかん、等と言われて値段もひたすら肥大化していくが、キャラクターグッズなので軍艦らしさはどこまで値段が高くなっても別に向上しない……というのがおいらの印象だな」
「そもそもバンダイは作中のイメージの再現、設定資料の再現を重視していて、らしさの再現は重視していないわけだね?」
「かもしれない」