「1つ思い出したのでメモがてら書いておこう」
「うん」
「ヤマト1974で沖田艦は冥王星から火星を経由して地球に戻る」
「そうだね」
「それっきり出番は無い」
「確かにその通りだ。ドックに鎮座してそれっきりだ」
「ここで、二つの解釈がある」
「どんな解釈だい?」
- もう飛ばない (動かせない解釈)
- ここまで飛んできた以上、飛び続けることはできる (動かせる解釈)
「2つの解釈があるって事だね」
「そうだ」
「ヤマト2199は動かせる解釈だね」
「その通りだ」
「では君の解釈は?」
「動かせない」
「それはどんな感じだい?」
「日本海軍の多くの艦艇が呉に戻ってそのまま動かない状態になっていた。ああいう感じだよ。一部の動かせる艦艇以外は全部その場で砲台になるだけ」
「沖田艦は動かせないと判断した理由は?」
「【かなり損傷が激しい】となっていたから、辛うじて動いているレベルの機器も多かったのだろう。人員もかなり消耗していたはずだ。乗組員の多くはそのまま入院だろう。たとえ怪我をしていないとしても、過労でしばらく動けまい。もし動かすとしても、修理と人員の再編成は必須だろう。しかし、ヤマトに18歳の少年を詰め込むような地球に、はたして再編成できるだけの人員が残っているのか。あらゆる資材をヤマト優先で注ぎ込んでしまったのに、作業のための資材があるのか。あるとしても、人手はあるのか」
「かなり厳しいと思うわけだね」
「もし、動かせればヤマトが高速空母に攻撃されていたときに出している。虎の子のヤマトをそこで破壊させるわけにはいかない。ついでに、ワープテストまで同行して武器が使えないヤマトを守ったはずだ。そこまでは問題なく同行できるからな」
「だから、沖田艦はもう動かせない状態だと判断したわけだね」
「そうだな」
「それだけ?」
「おそらく、沖田艦からまだ使えるいろいろな装備を外してヤマトに持ちこんだはずだ」
「ますます沖田艦は動かなくなるね」
「しかし、ヤマト2199は沖田艦を動かしてしまった」
「ヤマト2199は緊張感が無い、と言われる1つの原因だね」
「修理も整備もしないで便利に動く機械は漫画だよ、漫画」
「【漫画だよ、漫画】はガンダムの台詞ですがな」
「結局さ。電源を一度切ったら二度と動かない機械とか。そんなのは良くある話。多数のサーバを管理しているサーバ管理者なら分かる話だだろう」
「明確に故障していなくてもそんなものってことだね」
「大損害を被っていたら、一度地球に着陸して電源を切ったら、もう動かない機械がいくつもあって当然だと思うよ」
「だから沖田艦は飛べないわけだね」
オマケ §
「これは一言で言うと?」
「工学なめるなよ」
「でも、世の中に【工学なめるなよ】という事態は多いね」
「工学者よりも、頑固な職人を上位だと思う状況とかな。よくある話だ」
「アニメでも多いね」
「ファンタジーならいい。物語の方便であり得ない機械が出るのもいい。でもね」
「大企業の研究者集団より町工場のおっさん一人の方が優秀という話になると、話の説得力がガクッと落ちるわけだね」