「たぶん10年か15年前ぐらいのあるアニメを見たがね」
「うん」
「下手だった」
「ぎゃふん」
「まあ基本的にビジュアル重視だが物語の軸が無い。表面的に大人っぽい話をしているように見せかけているが、物語が大人っぽいわけではない。単純に、理不尽なだけ」
「大人の世界は理不尽ではないのかい?」
「大人の世界は、誰もが合理的に振る舞おうとするが、誰もが十分に合理的にはなれずに理不尽な状況が発生するだけだ。でも、ダメなアニメはそういうメカニズム抜きで理不尽さだけが積み重なっていく」
「なぜだろう」
「それが【人間を描くこと】だという錯覚が多いからじゃないか?」
「えー」
「人間を描くのが下手な人がそれでも頑張って【人間を描いている作品】を真似するとそういうことになるのかもしれない」
「それじゃダメじゃん」
「ダメなんだよ。そういう作品はたとえヒットまで行けてもメガヒットに行くのは難しい」
「しかし、それがヤマトとどんな関係がある」
「いや、印象がヤマト2199に似てるなと思って」
「それは、その作品とヤマト2199はダメだという意見かい?」
「そうじゃない。2作品に限定されず、典型的にどこにでもある業界の欠陥じゃないのかな」
「なぜそう思うの?」
「単に不愉快な描写を積み重ねただけの不愉快なアニメならけっこう目にするからさ。2本や3本という数じゃないぜ」
「それは何を意味するわけ?」
「もしも、【人間描写など見たくない】と言っているオタクが言っている【人間描写】の正体が単なる【不愉快な描写の連続】だとすれば、見たくないと思うのは当然。おいらだって見たくないぜ」
「でも量産されているわけだね?」
「業界の内情までは知らない」
オマケ §
「抑圧は解放のために行われる。実は上手く解放されている限り、作品は反感を買わない」
「解放が下手だと反感を買うわけだね」
「下手をすると解放しないで抑圧だけ続くアニメもあるからなあ」
「そりゃ、そっぽを向く人が出ても仕方がない」