「さらば宇宙戦艦ヤマトという作品は、中二病というキーワードで割とうまく説明できると思うのだ」
「なぜ中二病?」
「つまりね。テレサの呼びかけは【誰か】に対してのものであり、別に古代に対して来いと言ったわけでも、ヤマトに対して来いと言ったわけでもない。そもそも受信したのは相原であって、古代ですらない」
「それにも関わらず、自分が行かねばならないと思い込んだのが中二病ということだね」
「そうだ。古代と元ヤマト乗組員は自分のこととして考えた。これが中二病」
「でもさ。古代の年代なら分かるけど、大人達はどうなんだよ」
「そう。そこだ。実は藤堂は古代の中二病を分かった上で煽って発進させた策士」
「藤堂は大人ってことだね」
「そうだ」
「じゃあ、佐渡は?」
「佐渡は藤堂の仲間だから、同類。分かった上で同行している」
「徳川は?」
「カットされた部分で、ずっと徳川がヤマトを整備していたという説明がある。要するに、徳川はまたヤマトを動かしたいだけで中二病だろうと関係ない立場」
「真田は?」
「古代の兄貴として、中二病祭りに参加してしまった」
「えー」
「結局、問題の重要性が認識されて地球艦隊が発進した時点でヤマトの中二病患者達の使命は終わった……かのように見えたが、地球艦隊は壊滅してヤマトの中二病患者達は現実そのものに立ち向かうことを強要されてしまう」
「全体が中二病ではなく、冷めた視線が外部にあることがさらば宇宙戦艦ヤマトの特徴ということだね」