「2010年代前半ぐらいは、ヤマトファンの皆さんと出会って、この先彼らとお付き合いしてそして死んでいくのだろうな……という気がしていた」
「ふむふむ。彼らとは話が合ったからだね」
「いや、合わないことも多かったけどね。でも、話が通じた」
「それで?」
「でも、その予測は思いっきり修正を迫れている」
「それはどうして?」
「最近は、話が通じないからだ」
「それはどうしてだい?」
「理解できない話題がどんどん増えているからだ」
「どんな話題だい?」
「宇宙船の名前が分からないとか、武器の名前が分からないとか、キャラの名前が分からないとか」
「まさか」
「旧作に存在せず、本編でもチラッとさりげなく名前が出るだけとか。場合によっては設定資料集には名前が書いてあるとか。そういうものはまず分からない」
「何もかも覚えるために、舐めるような作品を見たりはしないわけだね」
「そう。まあ普通はそこまで頑張らない」
「旧作では舐めるように見ていたよ」
「まあ、過去にはそういうこともあったよ」
「既に過去かよ」
「やりたいこと、やるべきことを大量に抱え込んでしまったからね。やって意味があることをやりたいよ」
「それは、新作を舐めるように見ることはやらないという意味かい?」
「そうだ」
「なぜだ」
「何を発見したところで、現在進行形の作品は公式の鶴の一声で何もかも塗り変わってしまうからさ」
「既に終わった過去の作品だから分析してあげる意味があるわけだね」
「そうだ。だから、大ヤマト零号とかコスモウォーリアー零のような過去作の残骸は調べる意義がある。現在進行形で生きている作品は調べない」
ところが §
「ところが、それにも関わらず、ヤマトファンの宴会に参加すると意外と疎外感がない」
「えー」
「確かに今なら第4章の内容はネタバレ厳禁だ」
「既に見た人と見ていない人がいるからだね」
「でも、第3章までの話題はネタバレ厳禁には含まれない。しかし、そういう話題が多数派を占めるかと言えば、そうでもなかった。意外と旧作の話題が多く聞かれた。さりげなく出されるジョークも旧作ネタが多いと感じる。ヤマト2202の上映イベントに参加している人でも、厳しい注文を付けている人もいたし。それどころか、ヤマト2202見てない人も参加している」
「つまり、君にも行ける場所なのだね」
「そうだな。おそらく人の縁だけあれば行ける場所」
オマケ §
「話がまわらない理由は、おそらく濃度が足りない」
「濃度が足りないとは?」
「何かマニアックなこだわりで盛り上がりたければ、一人ではできない。一緒に盛り上がる人が必要だ。しかし、現状そういう人がいても、人数が足りていないような気がする」
「みんなヤマト2202バンザイとか山南バンザイとか古雪バンザイじゃないの?」
「意外と趣味嗜好はばらけている感じだと思うよ」
「そもそも、山南バンザイ派と古雪バンザイ派は一緒には盛り上がれないってことだね」
「ヤマト2202バンザイといっているだけなら一緒に盛り上がれるが、各論に踏み込むと見ている場所がおそらく違いすぎて話が繋がらないと思う」
「そうか。分かったぞ。ヤマト2202バンザイというだけなら話が一瞬で終わってしまうわけか」
「宴会だからどんどん話が別の方向に流れてしまう」
「チケットの確保に苦労したとか、そういう話に流れちゃうわけだね」